COUNT DOWN TV ランキング改善案

 今日3月28日深夜で通算1,300回目の放送となるTBSの音楽番組「COUNT DOWN TV」。4月からは月曜日に「CDTV ライブ!ライブ!」が新設され、土曜深夜の放送は「COUNT DOWN TV サタデー」として4月11日から放送される(4月4日深夜に予定されていた「オールスター後夜祭」は中止となったが、「CDTV ライブ!ライブ! ナビ」が放送されるため)。

 

 その「COUNT DOWN TV」の中核を担うのが番組内で放送しているランキングだが、以前の記事で2017年4月よりオリコンを基にしたシングルCD単位でのランキングから、Billboard Japan Hot 100を基とした1曲単位のランキングにリニューアルした事は以前お伝えした通りです。

 

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 ランキングのリニューアルから3年が経過し、認知度も高くなってきたかとは思いますが、それに伴い不満点も出ていているかと思います。今回は↑の記事を軸に、4月の番組リニューアルでの改善点を掘り下げ、これを番組に対し答申していきたいと思います。なお、以下で取り上げるポイント比率は独自調査したものですが、ほぼ実証可能な数字となっておりますので、参考までに見ていただければと思います。

 

CD売上

 CD売上はBillboard Japanが発表しているSoundScan Japan調べの売上枚数と、オリコン調べの売上枚数の両方が用いられています。CDTVでは原則として前者の数字の8%、後者の4%がポイント化され、ランキングに反映されています(SoundScanの枚数に対する係数処理については、ここでは割愛)。

 具体的に言えば…

SoundScan調べ 10,000枚 → 800Pt.

オリコン調べ 10,000枚 → 400Pt.

 となりますが、その週のCD売上の全体数によりパーセンテージが変動するため、必ずしもこの数字が適用される訳ではありません。場合によっては1.5倍以上の補正(逆に下げられる場合もある)がかかるため、週によっては同じ枚数でも得られるポイントが変わる場合もあります。

 こうなると、1週単位でランキングを見るのであればそれ程気にはなりませんが、毎週見ている人からすると、同じCD売上枚数でも得られるポイントが変動してしまうとなると、ランキングの連動性が薄れてしまいます。

 もちろん「ただでさえ週間ランキングではCD売上の影響力が大きいのに、なぜ2社の調査会社両方の売上を用いるのか?」との声もあると思います。SoundScan調べではオリコンが用いている複数購入の制限を設けていない半面、オリコンでは集計対象の売上がSoundScanでは一部反映されない部分もあるための措置と見られますが、CD売上が楽曲人気と比例していない現状からすると、CD売上のポイント比率は引き下げるべきではないかと思います。

 改善点としては

  • CD売上のポイント比率は全体売上を考慮せず、一定にするべき
  • CD売上のポイント比率を引き下げるべき

 この2点では無いかと思います。また、CDの稼働数に当たるルックアップのポイント比率を上げると言うのも手段の一つになりえるでしょう。

 

ダウンロード売上

 ダウンロード売上はBillboard Japanが用いているGfK Japan調べ、および(アメリカ)ニールセン調べの日本国内でのダウンロード売上数が用いられている。GfK Japan調べの具体的に業者を挙げるとiTunesamazonGoogle Play Music、mora、mu-mo、LINE MUSIC、レコチョクの7社となる。CDTVでは売上数の4.75%がポイント化され、ランキングに反映されます。

 従って、

10,000DL → 475Pt.

 となります。CD売上とは違い、このパーセンテージは固定です。

 CD売上と比べかなりポイント化される数字が低く見えますが、具体的に言えばBillboard Japan Hot 100のポイント換算が半減されており、そのため、ダウンロードが強い曲はCDTVではJapan Hot 100から極端に順位を落とす例もあります。

 更にダウンロード数はCD売上に比べ週間1位の数字は低く(だいたい3万ぐらいが目安)、週間10位の数字はCD売上とそれ程変わりないため、このポイント比率ではダウンロードでの売れ筋を見逃してしまいかねません(ただでさえレコチョクがスポンサーから降りて、ダウンロードランキングが放送されなくなったから尚更)。確かにストリーミングの普及によりダウンロード市場の斜陽産業化は避けられませんが、CD売上に比べればヒット曲との連動性については一定の信頼がおけるランキングだけに、ここの反映率の低さは多要素を用いるランキングであれば改善すべき点では無いかと思います。

 ここでの改善手は1つ

  • ダウンロードのポイント比率を引き上げるべき

 ではないかと思います。

 

ストリーミング

 ストリーミング回数もBillboard Japanが用いているGfK Japan調べ、およびプレイリスト型のストリーミングサービスであるdヒッツ、うたパスの再生回数が用いられている(無料ユーザーの再生数も含まれるが割り引かれる、またプレイリスト型の再生数も割り引かれる)。GfK Japan調べの集計業者はAmazon Music Unlimited、Apple Music、AWAHMVmusicGoogle Play Music、KKBOX、Spotify、LINE MUSIC、Rakuten Music、RecMusicの10社。CDTVではBillboard Japan Hot 100と同等の0.0725%がポイント化されています(4月11日のランキングからHMVmusicが集計対象に加わります)。

 従って、

1,000,000再生 → 725Pt.

 となります。ダウンロード同様、このパーセンテージは固定です。

 CDTVのランキングがBillboard Japan Hot 100を基とするランキングにリニューアルした2017年4月から比べるとシェアが拡大しており、2018年年末時点では週間10位で100万再生前後だったものが、現在週間10位で300万再生に近い数字になってきており、ランキング1位はCD売上1位の曲でも、2位以下はストリーミング上位勢が占める要因になっています。

 ただこれにより、ランキングの固定化が著しくなったのも間違えありません。CD売上は発売週のみが高く、それを維持するのは現代となっては困難。ダウンロード売上は上位に留まる曲は一定数あるものの、売上としては週間でも累積でもCD売上と比べれば高くはなりません。しかしストリーミングは上位の固定化が顕著で、再生数もシェア拡大と共に高くなり、それが多要素を用いる今のCDTVのランキングでも影響力を増し、ランキングの固定化に繋がってしまっています。

 先月掲載されたLINE MUSIC高橋明彦COOへのインタビュー記事の中で「日本人は自分が好きなアーティストの曲しか聴かない傾向にある」「新しい楽曲の発見に重きを置いていない」と発言しており、ユーザーの多くが一定の曲しか聴いていない傾向があるため、ユーザーが増えてもランキングの固定化が改善されない要因にもなっているようです。

 この傾向を踏まえると、

  • ストリーミングのポイント比率を引き下げるべき

 ではないかと思います。そうなるとストリーミングとは別計算となっているMV再生数のポイント比率(100万再生 → 310Pt.)も引き下げる必要が出てくるでしょう。

 

 また、これとは別に一定週数ランクインした曲に対してランクイン条件を厳しくする「リカレント・ルール」の導入も検討するべきでしょう。リカレント・ルールについても以前取り上げていますが、現状を考えれば、順位条件よりポイントを減算する方法が適していると思います。

 

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 4月以降、どのようなヒット曲を見せてくれるのか。ランキングの改善有無に関わらず、ヒットチャートとしての機能を今後も維持してもらいたいものです。