CDTVオリジナルランキング上半期ベスト50 まとめ

 7月6日に放送された「CDTV ライブ! ライブ!」内で、毎週土曜深夜に放送されている「CDTV サタデー」で発表されているCDTVオリジナルランキングの上半期ベスト50が発表された。今回はこれについてまとめていきます。

 

 まずはCDTVオリジナルランキングの仕様についてまとめてありますので、こちらをご覧ください。簡単に説明しますと、Billboard JAPAN Hot 100で用いられている8つの要素(CD売上、ダウンロード売上、ストリーミング回数、ラジオ、ルックアップ、ツイート、MV再生数、カラオケ)に加え、オリコンのシングルCD売上(Billboard JAPANのCD売上はSoundScan Japan調べ)を加え、CD売上重視、ダウンロード売上軽視のランキングとなっています。

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 それを踏まえ、早速そのベスト50を見てみましょう。

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CDTV 2020 Mid-Year Best 10

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CDTV 2020 Mid-Year Best 30

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CDTV 2020 Mid-Year Best 50

 このような結果となりOfficial髭男dismの「I LOVE…」が上半期1位、2位にもOfficial髭男dismの「Pretender」が入り、3位にはSnow Manの「D.D.」がランキングされた。このランキングのベースとなっているBillboard JAPAN Hot 100の上半期チャートでは「Pretender」が1位だったが、集計期間(番組内では明示されていなかったが、おそらく1月4日~6月27日分のデータと見られる)が約1ヶ月異なるところから逆転が生じたものと考えられる。

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 では今回のベスト50を詳しく見てみよう。

 

  • 週間1位は重要ではない

 図を見ると、必ずしも週間1位を獲得した曲が上半期でも上位を占めている訳では無い。史上初となったジャニーズグループの同日デビューとなったSixTONESSnow Manを見ても分かるように、週間ではSixTONESが1位になったものの、2位を3回記録し、その後もSixTONESを週間で上回り続けたSnow Manが最終的には上半期ではSixTONESを上回っている。また上半期ベスト10を見ても、週間1位を獲得していない曲が4曲あり、「宿命」に至っては最高順位は6位2回。ベスト50で見ると週間でも10位以内に入ってない曲があり、そのうち4曲は上半期中、週間ランキングで放送範囲(3月までは40位、4月以降は30位以内)にすら入ってなかった(番組に出演したNovelbrightの「Walking with you」も週間最高位は32位でランキングの放送範囲に一度も入っていない)。

 オリコン(CD売上)のランキングであれば1位が2位を大きく突き放し、売上によっては1週間だけの数字で年間上位確定となる場合もあるが、このランキングでは冒頭でも説明した通りCD売上が有利なものの、週間1位を取ったからと言って上半期(年間)で上位に入る訳では無い。これはCD売上以外の多岐にわたる要素をランキングに加えているのが最大の理由であり、特に持続性(悪く言えば依存性)が強いストリーミングの影響が色濃く出ているためである。そのためオリコン(CD売上)ほど週間1位と2位の差は大きくならず、かつ上位の入れ替えが少ない(ただオリコンは入れ替えが激し過ぎるが、CDTVは逆に入れ替えが少な過ぎるとも言える)このランキングでは、瞬発的に1位になった曲より、持続的にランクインを続けた曲の方が優勢になっている。以前のブログでも記した通り、週間1位だけを見るのは「木を見て森を見ず」と同じである。

 ちなみに週間1位を獲得しながら、この上半期ベスト50に入れなかった曲がある。

BOYS AND MEN「ガッタンゴットンGO!」

ラストアイドル「愛を知る」

KinKi Kids「KANZAI BOYA」

 この3曲に共通するのが、週間1位になった週しかランクイン出来なかった点である(KinKiは上半期最終週なので、翌週の42位は上半期の集計対象外)。KinKi以外は厳しく言えば、CD売上だけで1位になって、翌週以降は人気の無さを露呈し跡形もなく消え去ったと言える。CD売上が有利なランキングでありながら上半期ランキングでこのような結果になるような週間1位は逆に恥と知るべきだろう。

 

  • 上半期ベスト50のうち、36曲が今も週間ランキングにランクイン

 上でも触れた通り「持続的にランクインを続けた曲の方が優勢」となるランキングが分かるデータとして、今年上半期に週間100位以内にランクインした回数を明記したところ、実に半数以上の28曲が今年上半期の週間ランキング全て(26週)で100位以内ランクインしている。また上半期ベスト50の中で先週(下半期1週目)の週間ランキングにランクインしているのは36曲にもなる。

 その要因も上位で触れた通り、ストリーミングによるところが強い(ストリーミング配信を行っていないジャニーズ系と米津玄師を除く)。週間で上位に入っていない曲はこれが要因と見ていいだろう。逆にランクインが少ない曲はその点が弱いと言える。ただSnow ManSixTONESは長期的なツイートもありランキングを維持したとも言え、対抗策は無いとは言い切れない(それをヒットチャートに加えるべきかの議論はあるが…)。いずれにせよ、瞬発的に上位に入る曲より持続性の高い曲が評価されるのは、ヒットチャートとして当然の流れと言えるだろう。

 ただそうなると、いくらCD売上が多いとは言え、たった2週間のランクインでAKB48「失恋、ありがとう」が上半期8位、その他48Gに加え同じく2週間しかランクイン出来なかったHey!Say!JUMP「I am」の上半期32位は高く付け過ぎているのではないかとの疑問も生じるでしょう。逆に言えば市場規模が落ち込んでいるとは言え、ダウンロード売上の影響力が低く、Billboard JAPANの上半期ダウンロード上位である菅田将暉まちがいさがし」、Uru「あなたがいることで」、米津玄師は「馬と鹿」「Lemon」と、50位以内に入らなかった「パプリカ」が過小評価されているとも言えます。この点については以前にも記事にしていますので、そちらをご覧いただければと思います。

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 例年通りであれば年越し特番で年間ランキングが発表されると思いますが(ただ年越し特番だとあまり時間が取れないから、また「ライブ! ライブ!」内でやって欲しい)、上半期からどのように順位が変わっていくでしょうか。その点も気にしつつランキングを見ると、少しの変化が大きな変化に繋がるところも分かるかと思います。