音楽チャートの見方(ダウンロード編)

 毎週のように伝えられている音楽チャートですが、集計対象となる業者の違いによりそれぞれ異なる数字が出されており、どれをどう見ていいのかが分からないと言った事もあるかと思います。そこで今回はストリーミングダウンロードCD売上と分けてBillboard Japan、オリコン日本レコード協会それぞれの違いを解説したいと思います。ここではダウンロード売上についてです。

 

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 21世紀に入りインターネットのブロードバンド化が進み、より多くのデータのやり取りが可能となり、フルサイズでの楽曲のインターネット販売も可能となりました。特に欧米ではアルバムをメインとしたプロモーションが主流で、1曲単位で購入出来るダウンロード販売は新たな音楽ビジネスとして音楽産業を支え続けてきました。

 日本でも「着うた」と言った独自のモデルを出しながらも、徐々にダウンロード販売が浸透していったものの、オリコンが利益率の低さから表立たせた際の業界全体への経済的影響を考慮し、過渡期を迎えた2016年までダウンロードのランキングを制作しなかった現実が、日本において「ヒット曲の空白年代を生みだしてしまった」要因として問題視されています。

 現在ではストリーミング配信が主流となり、音楽ダウンロード市場は斜陽産業化の一途を辿っていますが、この3社にどのような違いがあるのか。それぞれ見て行きましょう。

 

Billboard Japan

 2008年のチャート開始当初はチャート要素として含まれていなかったものの、3年目となる2011年度から「アメリカ・ニールセン調べによる)iTunesでの売上による類推と言う形で1曲単位でのダウンロード売上がチャート要素として取り入れられた。この方式は以前と比べ対象となる曲は少なくなったものの、現在でも販売業者に対して売上の発表を許諾していないレーベルの楽曲に対し行われている。なお、アルバムのダウンロード売上については2015年度下半期から同様の方式で導入されている。

 ダウンロード販売業者からの売上を取り入れ始めたのは2016年2月から。現在は5社からの売上データが、ストリーミング再生数の集計も行っているGfK Japanから提供を受けている。なお売上として採用されるのはGfK Japan集計分か、iTunesによる類推分のいずれかであり、両方が合算される訳では無い。

  上記にある通り「販売業者に対して売上の発表を許諾していないレーベルの楽曲」が一部存在しており、これらの曲に関しては各販売業者別のランキングでも対象外となっている。これらの売上実績を補う措置としてBillboard Japanでは、全ての楽曲を対象としたiTunesでの売上データをアメリカから入手し網羅性を高めている。ただこれに関してはiTunesでの売上が高い場合、実際の売上より高い数字になる可能性もあり、オリコンと比べ、不自然に売上が高い場合はこれが原因の可能性があります。

 なお、シングルCDのパッケージをバンドル単位(全曲一括)でダウンロードした場合、またデジタルシングルでのバンドル単位のダウンロードは表題曲、もしくはリードナンバーのダウンロード数に合算されます(全曲にダウンロード数は付かない)。これもオリコンと比べ高い数字になった場合の要因となります。

 アルバムのダウンロード数はバンドル単位でのダウンロード数に限定されており、諸外国のように収録曲が1曲単位で一定数ダウンロードされると、アルバムの売上に換算される措置は行われていません

  Billboard Japanでは原則金曜日に、水曜日までの週間売上中間発表が行われます(祝休日の場合は休止される)。

 

 ・オリコン

 オリコンではかつて「トラックスランキング」と言う、Billboard Hot 100と同形式のランキングが2004年9月から2008年3月まで存在しており、そこでは着信メロディのダウンロード数もランキング要素として取り入れられていた。音楽配信系のランキングは2006年10月から「着うた」「着うたフル」「PC音楽配信」のランキングをスタート。ただこれは当時の規格に基づいたランキングであり、現在主に言われる音楽ダウンロード配信でのランキングは2016年11月にアルバム、2018年度から1曲単位でのランキングをスタート。現在はBillboard Japanより多い11社から売上データが提供されている。

  ただしオリコンの場合はオリコン自身にもランキング掲載に対しての許諾申請が必要となっており、これが無いと、販売業者に対して売上の発表を許諾していても、オリコンではランキングの対象外となってしまいます。Billboard Japanと比べ、明らかに欠損している曲やアルバムがある場合は、これが原因になっていると見られます。

 なお、シングルCDのパッケージをバンドル単位でダウンロード、またデジタルシングルでのバンドル単位のダウンロードは、1曲単位でのダウンロード数には加算されず、公表されていません。バンドル単位でのダウンロード数は合算シングルランキングにのみ適用されます。

  アルバムのダウンロード数はBillboard Japan同様、バンドル単位でのダウンロード数に限定されています。

  ストリーミング同様、集計開始以前の記録についてはフォローしていないため、あくまでオリコンがダウンロードやストリーミングの記録で「史上初!」と見出しがあっても、集計開始以前のデータが無視されているため、話半分で見るべきでしょう。特にダウンロードは2000(ゼロ)年代後半が最盛期だったため、その部分を無視しての「史上初!」は、その年代にヒットした楽曲に対し失礼とも言えるだけに、誤解を招きかねない記載とも言えます(オリコン調査開始前のダウンロードでのヒット曲に対しての侮辱行為とも捉えかねられません)。

 オリコンでは1曲単位のダウンロード売上はデイリーランキングでも発表されていますが、アルバムはデイリーランキングがありません。

 

日本レコード協会

 日本レコード協会でのダウンロード認定は2006年8月からスタートしており、ストリーミング同様それ以前の記録についてもフォローしている。開始当時は「着うた」「着うたフル」「PC配信」「シングルトラック」の4規格があり、2014年からは「着うたフル」と「PC配信」が「シングルトラック」に統合され、現在は「シングルトラック」がメインとなっている。

 集計対象は非公開だが、データの蓄積面ではBillboard Japanやオリコンより長く、日の目を見ていないダウンロードでのヒット曲を可視化出来る重要な資料と言える(ただこちらもBillboard Japanやオリコンではミリオンに到達していない、Official髭男dism「I LOVE...」がミリオン認定されていると言ったブレが生じている)。

 認定は月末〆の翌月20日発表(土・日・祝で前後する場合あり)。規定の売上を記録し、レコード会社からの申請を受け認定となる。認定基準は以下の通り。

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日本レコード協会・ダウンロード売上認定基準

※ 以降100万単位でダブル・ミリオン、トリプル・ミリオン…となる。

 なお日本レコード協会に加盟している事が条件となるため、インディーズ等、加盟していないレコード会社については対象となっていない。また、準加盟についても対応していない模様(ジャニーズ系が集計されていない?)

 

 

 最後に集計対象となるダウンロード配信業者をまとめてみました。なお、いずれも日本国内からの売上が有効となります

Billboard Japan、オリコン共通の集計対象

iTunesAmazon、mora、mu-mo、レコチョク

 

※ 2022年4月4日にLINE MUSICがダウンロード販売の終了した

linecorp.com

 

オリコンのみ集計対象

オリコンミュージックストア、dミュージックひかりTVミュージックMusic Store、music.jp、ミューケット

 

赤文字は2022年4月時点での拡充

 

 ご覧いただいた方々の参考になれば幸いです。