Billboard JAPANの仕様解説(2022年度版)

※ 以前の記事から2022年度仕様にしたものです。新たな仕様変更が発表、またはその傾向が見られた際には追記します。2022年度の集計は2021年11月29日から、週間チャートでは12月8日発表分からとなります(更新日:2021年12月8日)。

 

・ Billboard JAPANとは?
 一般的に「全米チャート」と呼ばれるBillboardの日本版。2008年からチャートの発表を開始しており、現在は8つの要素を用いている。

 シングルチャート(Hot 100)は1曲単位での集計となり、シングルCDのカップリング曲、アルバムのみ収録されている曲、配信限定などCDでリリースされていない曲もチャートイン出来る(もっとも「シングルランキング=シングルCDのランキング」の認識は日本ぐらいでしかない)。

 アルバムチャートは3つの要素を用いており、本家アメリカにある1曲単位でのダウンロード、ストリーミングによるポイントは取り入れられておらず、あくまでアルバムパッケージ単位での集計となっている。

www.billboard-japan.com

 週間チャートの集計期間は月曜日から日曜日まで(アメリカは金曜日から木曜日となる)。一般的にビルボードチャートと呼ばれているのは、毎週水曜日に発表されるシングル総合チャート「Hot 100」と、アルバム総合チャート「Hot Albums」となり、「Hot 100」は2017年4月以降のCDTVオリジナルランキングのベースとなるチャートとなっています(月曜日に発表されているのはCD売上のみのチャートとなり、正確にはサウンドスキャン発表のCD売上チャートとなる)。

 

 現在Billboard JAPANでは以下の8つの要素を用いており、Hot 100、Hot Albumsではそれぞれ週間300位以内に入るとポイントを獲得し、その合計で順位が決定します。

 

・ Billboard JAPANのチャート要素(チャート解析サービスCHART insightでの並び順に紹介)、変更があり次第追記。

 

CD Sales 重要度:最も低い
 Billboard JAPANにおけるCD売上は、オリコンではなくSoundScan Japan調べのものをパッケージ合算して集計されています(SoundScanはニールセン傘下のグループであり、オリコンとはまったく無関係)。オリコンでの“精査”のような減算対策は行っていませんが、ファンクラブ限定盤やライブ会場限定盤、輸入盤など、オリコンでは計上される一部の特殊販路盤が計上されないものもあります。またオリコンとの計上枚数差は上記理由以外に集計ロジックそのものの違いにより、ほぼ確実に多少の誤差は出ます(ただし、集計対象店舗だけの売上だけではなく、その売上を元に全体の推定売上を算出する大まかな方法については大差ありません)。

 オリコンのように1日単位での発表は行っておらず、Billboard JAPANのHPで原則木曜日に水曜日までの中間速報、月曜日には週間の速報がされます(いずれも5位まで、大型連休・祝日により1日遅れる場合もある)。なおオリコンより早いタイミング(18:00以前)で速報される場合もあります。

 Hot 100においては売上枚数の7.625%がポイント化され、シングルCDの表題曲のみに適用されますが、2017年度以降、週間で一定の売上を上回った場合はポイントが割合減算(係数処理)される措置が取られています(当初は29万枚以上だったが、2021年6月から9万枚以上に引き下げられている。アルバム総合チャート「Hot Albums」ではこの措置はとられておらず、ポイント未発表のためポイント換算は不明)。

2021.12.8 update

 係数処理の適用下限が週間9万枚から更に引き下げられました。どうやら5万枚台は係数処理の対象となりえる状況です。

 

 週間チャートだけを見ればCD売上で稼いでおけばHot 100でも1位になれる可能性は高いですが、持続性と言う意味では他の要素に劣るため、年間ランキングではCD売上だけでは存在感が無くなってきています(そのため重要度を「最も低い」としました)。また2021年度ではCD売上のポイント換算軽減やポイントに対する係数処理の適用下限の大幅引き下げが行われ、CD売上とヒット曲の関連性が薄まっている現状を反映する対応も取られたため、今後は週間チャートでもCD売上だけで1位は取りづらくなる可能性があります。

 ビルボードチャートはヒットチャートです。「推しの人数比べ」ではありません。

 

 Billboard JAPAN以外のCD売上の扱いについて、こちらでまとめてありますので、併せてご覧ください。

amano-yuuki.hatenablog.jp

 

Download 重要度:普通
 ダウンロード売上が取り入れられたのは2011年度から。現在はGfK Japan提供のiTunesamazonmoramu-moLINE MUSICレコチョクの販売実績に加え、これらの集計業者では集計対象外となっているレーベルの楽曲に関しては、集計開始当初から取り入れられている(上記集計対象外となっているレーベルの楽曲を含むiTunesの販売実績(アメリカ・ニールセン提供)から類推した売上を加えた形で構成されています(後者は数字が高めに出る傾向が強い、「iTunesでの売上x7」との推測)。

 原則金曜日にGfK集計分の水曜日までの中間速報が行われ、週間の速報記事はありません。また現時点で週間のダウンロード数はトップ10のみ、週間チャートの詳細記事にて発表されています。

 アルバムチャートは全曲一括(バンドル)ダウンロードの回数に限定され、アルバム収録曲の単曲ダウンロードはアルバムチャートに反映されません(ここは本家アメリカと仕様が異なります)。またシングルCDとして売られているパッケージ、および複数曲が収録されているデジタルシングルの全曲一括(バンドル)ダウンロード数は表題曲、またはリードナンバーのダウンロード数に対してのみ加算され、収録曲全曲に対しては加算されません。

 Hot 100ではダウンロードは売上数の12%がポイント化されています(Hot Albumsはポイント未発表のため不明)。2021年3月3日発表分よりポイント換算が引き上げられましたが、ストリーミング(サブスク)の普及により市場規模が衰退しているため、相対的な重要度はそれ程変わりないと見られます。

 

 Billboard JAPAN以外のダウンロードチャートについて、こちらでまとめてありますので、併せてご覧ください。

amano-yuuki.hatenablog.jp

 

Streaming 重要度:最も高い
 ストリーミング回数は2015年度後期から用いられるようになった。以前はプチリリの歌詞表示サービスに対するデータアクセス数が用いられていましたが(現在は使用されていない)、現在はGfK Japan提供によるAmazon Music (Unlimited,Prime Music)Apple MusicAWAKKBOXSpotifyTOWER RECORDS MUSICLINE MUSICRakuten Musicでのオンデマンド型ストリーミング配信再生回数に加え、dヒッツうたパスでのプレイリスト型ストリーミング配信再生回数、更にニールセンが提供するYouTube Musicでの再生回数を合算。オンデマンド型とプレイリスト型の市場規模やシェアを考慮し、それぞれの再生回数に対し係数処理をした上でポイント合算し順位付けしています。なお2020年度からアメリカ同様、有料と無料の再生回数を分類し、それぞれに異なる換算率を用いポイント化しています。そのため、総再生回数とポイントによる順位が異なる場合があります。目安となるポイント換算は0.055%です。2021年3月3日発表分よりポイント換算が引き下げられましたが、市場規模の拡大により、年間ランキングへはストリーミングでの年間順位が不可欠な状態となっており、むしろ以前より重要度は増してきています。

 これもダウンロード同様、金曜日にGfK Japan提供分の水曜日までの中間速報があり、週間のストリーミング数はトップ10のみ、週間チャートの詳細記事にて発表されています。

 

 Billboard JAPAN以外のストリーミングチャートについて、こちらでまとめてありますので、併せてご覧ください。

amano-yuuki.hatenablog.jp

 

Radio 重要度:低い
 CD売上と共に、Billboard JAPAN開設当時からあるラジオオンエアによる要素。プランテック調べの単純なオンエア回数では無く、(ワンコーラス、もしくは60秒以上でBGMでは無い)オンエア1回につき、そのラジオ局の聴取可能人数、ならびにその番組の平均聴取率を考慮してポイント化しランキングを作成しています(公式の説明では「ラジオ放送回数」とだけ書かれていますが、同一順位が下位でも発生していないケースが多いため、上記部分が適用されているものと見られます)。同社が発表しているエアモニ・ラジオオンエアチャートが元となっているようですが、これとは上記の要素があり順位が異なる部分があります。
 多くのラジオ局でパワープレイ(ヘビーローテーション)を得た曲が上位の中心となり、リスナーからのリクエストもオンエアされれば反映されますが、オンエアされない限りは無効となるためリクエストの総数とも限りません。従って全要素の中でもファンの後押しが必ずしもそのまま反映されない要素とも言えます。また全体的には洋楽系が強さを発揮するチャートでもありますが、チャート要素が増え、これだけの要素では総合上位に入れなくなってきているのが現状です。

 2021年9月8日発表分よりポイント換算が増加しているものの、ラジオ全体の聴取率が低く、若者の流行とは違う傾向も強いため、それ程重要度は高いとは言えません。

 

Look up 重要度:低い
 2014年度から用いられている、CDDBへのアクセス数となるルックアップの要素。音楽CDをオンライン環境上の音楽機器(パソコンを含む)に入れた際に、自動的にCDのタイトルや楽曲データをダウンロードする機能がそれに当たり、Billboard JAPANではGracenote社のCDDBにアクセスした回数が用いられ、推定のCD稼働数を示しています(使用する機器、およびソフトにより、FreeDBやallmusicなど違うデータベースにアクセスするものもある)。

 CD売上チャートで問題視されている複数種、複数購入により増大した売上からの購買者実数の洗い出し、さらにレンタルCDなど買わずにCDを手に入れ、楽曲を入手した人数の反映と言った要素があり、また付録として単体では一般販売されていないCDやDVDシングル、輸入盤の稼働数も反映されます。なおレンタルの影響が大きく、CD発売から遅れてレンタル開始される場合は(アルバムの場合はほとんどがこれに当たる)、発売当初は順位が高くないものの、レンタル開始と共に順位を上げる傾向が見られます。
 シングル総合チャートであるHot100はCD売上同様シングルCDの表題曲のみがポイント対象となり、アルバム総合チャートHot Albumsでも集計の対象となります。
 「フラゲ日のルックアップは無効」との話が出てきていますが、月曜日発売、日曜日にフラゲしたCDのルックアップデータが存在する事例が発生したため、この話は否定できそうです。また、年末年始や大型連休により正規発売日より大幅に店頭販売が早く、発売する週より前にルックアップが発生した場合は、ルックアップ数が発売週に持ち越され合算される場合もあります。

 2021年9月8日発表分よりポイント換算が大幅に減少しており、以前のような高い数字を累積でも出せなくなったため、ルックアップの要素もCD売上同様、重要度は(底辺レベルで)低くなるでしょう。

 

Tweet 重要度:低い
 2014年度から用いられるようになったTwitterを用いた要素。Twitterにおいて1つのツイートにアーティスト名と楽曲名が含まれているツイート数を集計し、ポイント化したのがツイートの要素となる(ハッシュタグを付ける必要は無い)。Hot 100のみ有効となるため、闇雲に曲名では無いシングルやアルバムのタイトルを呟いても効果はありません(#np、#nowplayingが必須との話もありますが、それはアメリカでの話であり、おそらくアメリカ国内からのツイートで無ければ無効。また「ついラン」とは調査機関が違うため無関係)。

 2021年9月8日発表分よりポイント換算が減少しており、効果としても低く、逆にタイムラインの目障りになるとイメージ的に逆効果となる恐れがあるため、変にツイートに組み込むのは考えものです。またアメリビルボードで新設されたツイート数を基にした「HOT Trending Songs」対策としてもツイートを繰り返しているファンもいますが、アメリカでは「若者のTwitter離れ」が起こっており、このチャート自体価値と注目度が低く、労力を注ぐだけの価値は無いと言えるでしょう。

 

Music Video 重要度:高い
 2015年度後期から用いられるようになったミュージックビデオの再生数による要素。本家アメリカではストリーミング要素の一部となっているが、Billboard JAPANではオーディオストリーミングとは別計上されている。

 MVの再生回数に関しては現在YouTubeGYAO!での再生回数が対象となっており、「国際標準レコーディングコード」であるISRC(International Standard Recording Code)の登録を受け、それを附番した公式の動画に限るため、ISRCの附番が最低条件となります。2020年度まではユーザー生成コンテンツであるUGC(User Generated Contents)の再生数も有効でしたが、これについては2021年度から新しい週間チャートTop User Generated Songsの対象となり、Hot 100には影響しなくなりました。

 チャートについてはストリーミング同様、有料アカウントと無料ユーザーの再生回数を分類し、それぞれに異なる換算率を用いポイント化するため、総再生数とポイントの順位が異なる場合があります。目安となるポイント換算は0.05%です。2021年3月3日発表分よりポイント換算が引き上げられ、ストリーミングに近い換算率になったため重要度が増していますが、ストリーミング程再生回数が見込めないため、あくまで予備的な存在として見るのがいいでしょう。

 なおYouTubeで表示されている再生数は全世界での再生数となり、Billboard Japanでは日本国内での再生数が対象となります。またYouTubeが発表している週間ランキングは国際基準のため金曜日から木曜日までの括りとなり、Billboard JAPANの週間チャートと集計期間が異なり、公開から1年を過ぎた映像に関しては原則ランキングから外される措置が取られています。

 

Karaoke 重要度:普通
 2019年度から導入された要素。通信カラオケDAMを運営する株式会社第一興商と、JOYSOUNDなどを運営する株式会社エクシングから提供される、カラオケ歌唱回数を元に独自のポイントを付与したランキング・データを用いる。
 Billboard JAPANでカラオケの要素が取り入れられるのはこれが初めてでは無く、過去に2014年と2015年にBillboard JAPAN Music Awardsの投票要素として取り入れられていました(この時はDAMのみが対象)。

 

 Chart insightではこの8要素のうち3要素の合計ポイントで示される3つのハイブリッド指数があります。

 PC版の画面からは右側のピンク縁の部分にあるラジオボタンを切り替えて更新すると、選択したハイブリッド指数のチャートが表示されます。

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Hybrid PC

 スマホ版はピンク縁の部分をタップするとPC版と同じように3種類のハイブリッド指数が表示されるので、同じようにラジオボタンを選択して更新すると対応したチャートが表示されます。

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Hybrid SP

 表示出来るハイブリッド指数は以下の3つです。

・BUZZ(DownloadTweetMusic Video

 デフォルトはこれが表示されます。週末に発表されているHOT BUZZ SONGはこの順位によるものです。

・CONTACT(DownloadStreamingLook up

 総合的な楽曲接触指数となる。CD売上をルックアップに置き換え、その曲がどれだけ聴かれているかが分かります。

・SALES(CD SalesDownloadStreaming

 その曲がどれだけ売れたかが示されている。オリコン合算ランキングと要素は同じだが、Billboard Japanは1曲単位での集計となるためポイント配分が異なります。

 

 公式のFAQもリニューアルされましたのでご覧ください。なお日本でのチャート要素(ポイント換算)変更には、日本レコード協会などの外部調査機関による根拠が必要となります。

 シングル総合チャートであるHot 100では以上の8つの要素を合算しチャートが構成されており、アルバム総合チャートとなるHot AlbumsではCD Sales、Download、Look upの3要素で構成されています。