以前の記事から2023年度仕様に変更しました。新たな仕様変更が発表、またはその傾向が見られた際には追記します(2024.08.23追記)。2023年度の集計は2022年11月28日から、週間チャートでは12月7日発表分からとなります。
なお、2023年11月27日から2024年度の集計に入りましたが、現状2023年度からの更新部分が大きな変更点が見当たらないため、ここでの記述はそのまま2024年度でも利用できます。
警告:「チャートハックは楽しいですか?」
チャートハックは、そのチャートの価値を落とします。自分たちの手により価値を落としたチャートは、勝ち誇れるものでしょうか。
ビルボードチャートは「ヒットチャート」であり、単なる「売上ランキング」のオリコンとはまったくの別物です。「推しの人数比べ、推し活の場」ではありません。またヒットチャートにおいて「たった1週間の結果」は何の意味も成しません。本当に人気があるのであれば長期間上位にいるはずです。
それでも根拠の無い「空虚」を求めますか? たった1週間の結果だけで勝ち誇りますか?
・ Billboard JAPANとは?
一般的に「全米チャート」と呼ばれるBillboardの日本版。2008年からチャートの発表を開始しており、現在は6つの要素を用いている。
シングルチャート(Hot 100)は1曲単位での集計となり、シングルCDのカップリング曲、アルバムのみ収録されている曲、配信限定などCDでリリースされていない曲もチャートイン出来る(もっとも「シングルランキング=シングルCDのランキング」の認識は日本ぐらいでしかない)。
アルバムチャートは2つの要素を用いており、本家アメリカにある1曲単位でのダウンロード、ストリーミングによるポイントは取り入れられておらず、あくまでアルバムパッケージ単位での集計となっている。
週間チャートの集計期間は月曜日から日曜日まで(アメリカは金曜日から木曜日となる)。一般的にビルボードチャートと呼ばれているのは、毎週水曜日に発表されるシングル総合チャート「Hot 100」と、アルバム総合チャート「Hot Albums」となり、「Hot 100」は2017年4月以降のCDTVオリジナルランキングのベースとなるチャートとなっています。
現在Billboard JAPANでは以下の6つの要素を用いており、Hot 100、Hot Albumsではそれぞれ週間300位以内に入るとポイントを獲得し、その合計で順位が決定します。
2023年度からの変更点
2022年10月26日に2023年度のチャートからルックアップとツイートの要素を廃止すると発表がありました。
なおこの2要素はポイント換算が低く、廃止されても総合チャートに対する影響は軽微です。これを機に、無意味なチャート対策と言うものを止めてみてはどうでしょうか?
・ Billboard JAPANのチャート要素(チャート解析サービスCHART insightでの並び順に紹介。現状Hot 100の要素ではないUGCは除く)、変更があり次第追記。
2024.3.25 update
CHART insightのページがリニューアルされました。
CD Sales 重要度:最も低い
Billboard JAPANにおけるCD売上は、オリコンではなくSoundScan Japan調べのものをパッケージ合算して集計されています(SoundScanはニールセン傘下のグループであり、オリコンとはまったく無関係)。オリコンでの“精査”のような減算対策は行っていませんが、ファンクラブ限定盤やライブ会場限定盤、輸入盤など、オリコンでは計上される一部の特殊販路盤が計上されないものもあります(ただし、最近ではこの状況も改善されつつあります)。またオリコンとの計上枚数差は上記理由以外に集計ロジックそのものの違いにより、ほぼ確実に多少の誤差は出ます(ただし、集計対象店舗だけの売上だけではなく、その売上を元に全体の推定売上を算出する大まかな方法については大差ありません)。
オリコンのように1日単位での発表は行っておらず、Billboard JAPANのHPで原則木曜日に水曜日までの中間速報、月曜日には週間の速報がされます(いずれも5位まで、大型連休・祝日により1日遅れる場合もある)。なおオリコンより早いタイミング(18:00以前)で速報される場合もあります。
Hot 100においては2017年度以降、週間で一定の売上を上回った場合はポイントが割合減算(係数処理)される措置が取られています(アルバム総合チャート「Hot Albums」ではこの措置はとられておらず、ポイント未発表のためポイント換算は不明)。
Update:
ルックアップが廃止されたためか、若干ですがポイント換算が上方修正されたようです。
週間チャートだけを見ればCD売上で稼いでおけばHot 100でも1位になれる可能性は高いですが、持続性と言う意味では他の要素に劣るため、年間ランキングでは100位以内も怪しいです(そのため重要度を「最も低い」としました)。また2021年度以降、係数処理の適用下限が大幅引き下げられ、CD売上とヒット曲の関連性が薄まっている現状を反映する対応も取られたため、今後は週間チャートでもCD売上だけで1位は取りづらくなる可能性があります。
Billboard JAPAN以外のCD売上の扱いについて、こちらでまとめてありますので、併せてご覧ください。
Download 重要度:普通
ダウンロード売上が取り入れられたのは2011年度から。現在はGfK Japan提供のiTunes、amazon、mora、mu-mo、レコチョクの販売実績に加え、これらの集計業者では集計対象外となっているレーベルの楽曲に関しては、集計開始当初から取り入れられている(上記集計対象外となっているレーベルの楽曲を含む)iTunesの販売実績(Luminate提供)から類推した売上を加えた形で構成されています(後者はアメリカで集計されたものであるため、前々週の金曜日から前週木曜日までの集計になっている模様)。売上として発表されるのはGfK Japan集計分、もしくはiTunes類推分のいずれかとなっている。
原則金曜日にGfK集計分の水曜日までの中間速報が行われ、週間の速報記事はありません。また現時点で週間のダウンロード数はトップ10のみ、週間チャートの詳細記事にて発表されています。
アルバムチャートは全曲一括(バンドル)ダウンロードの回数に限定され、アルバム収録曲の単曲ダウンロードはアルバムチャートに反映されません(ここは本家アメリカと仕様が異なります)。またシングルCDとして売られているパッケージ、および複数曲が収録されているデジタルシングルの全曲一括(バンドル)ダウンロード数は表題曲、またはリードナンバーのダウンロード数に対してのみ加算され、収録曲全曲に対しては加算されません。
CD売上同様一時的な売上により高いポイントとなる場合もありますが、ストリーミング(サブスク)の普及により市場規模が衰退しており、チャートに与える影響は年々低くなってきています。ただCD売上と比べ、継続的に売れる楽曲もあります。
2024.08.23 update
ストリーミング同様、ダウンロード売上に対しても一部業者での売上が極端に高い場合、その曲に対し通常より低いポイント換算が適用されます(↓文面で初めてそれが記載された記事)。
Billboard JAPAN以外のダウンロードチャートについて、こちらでまとめてありますので、併せてご覧ください。
Streaming 重要度:最も高い
ストリーミング回数は2015年度後期から用いられるようになった。以前はプチリリの歌詞表示サービスに対するデータアクセス数が用いられていましたが(2017年8月2日発表分まで使用)、現在はGfK Japan提供によるAmazon Music (Unlimited,Prime Music)、Apple Music、AWA、うたパス、KKBOX、Spotify、TOWER RECORDS MUSIC、LINE MUSIC、Rakuten Musicでの再生回数に加え、dヒッツでの配信再生回数、更にLuminateが提供するYouTube Musicでの再生回数を合算。プレイリスト型(dヒッツ、うたパス)とオンデマンド型(dヒッツ、うたパス以外)の市場規模やシェアを考慮し、それぞれの再生回数に対し係数処理をした上でポイント合算し順位付けしています。なお2020年度からアメリカ同様、有料と無料の再生回数を分類し、それぞれに異なる換算率を用いポイント化しています。そのため、総再生回数とポイントによる順位が異なる場合があります。本家アメリカのBillboardやオリコンではMV(ビデオストリーミング)の再生数を含んでいますが、Billboard Japanではこれを含まずオーディオストリーミングの再生数のみがここでは扱われます(日本レコード協会でのストリーミング認定も同様)。
なお2022年4月20日発表分以降、業界シェアの低い業者での再生数が不自然に高い場合(主にAWAのラウンジ機能を使ったファンダムによる意図的な再生数の水増し行為)、再生数そのものに対し調整(下方修正)が行われる場合があります。ただしこれはシェアが高い業者の再生数に対し上方修正がかかるものではありません。
【チャートに関するお知らせ】
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2022年4月20日
2022年4月20日発表チャート以降、総合チャートのストリーミング指標およびストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”において、一部サービスの実再生回数に代わり、その市場シェアを鑑みた計算係数を採用することで、楽曲の総再生回数を算出しています。
また、同年5月11日発表分以降、業者での施策により再生数が不自然に高くなった場合(主にLINE MUSICでの再生回数キャンペーン)、Hot 100へのポイント換算が通常より低く設定されます(再生数は有効、原則1位のみ適用)。ただしLINE MUSIC自体も現在再生回数キャンペーンでの再生数については独自に調整を行っているようです。
【チャートに関するお知らせ①】
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2022年5月11日
2022年5月11日発表チャート以降、総合チャートのストリーミング指標に関して、一部サービスにおける施策によって、再生回数が市場全体の平均バランスから大きく乖離した楽曲に対し、独自の計算公式による個別係数を設定する場合があります。
【チャートに関するお知らせ②】
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2022年5月11日
これにより、総合チャートのストリーミング指標順位とストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”の順位が異なる場合があります。
LINE MUSICに「再生数キャンペーン」問題を直撃──今、音楽業界に必要なことhttps://t.co/yiAfDU53IZ #kai_you
— KAI-YOU(カイユウ) (@KAI_YOU_ed) 2022年10月15日
チャートハック目的で行われる特典商法について #LINEMUSIC に取材。音楽を楽しむため、広めるため、数字に頼らずできることは何か。
これもダウンロード同様、金曜日にGfK Japan提供分の水曜日までの中間速報があり、週間のストリーミング数はトップ10のみ、週間チャートの詳細記事にて発表されています。
Billboard JAPAN以外のストリーミングチャートについて、こちらでまとめてありますので、併せてご覧ください。
Radio 重要度:低い
CD売上と共に、Billboard JAPAN開設当時からあるラジオオンエアによる要素。プランテック調べの単純なオンエア回数では無く、(ワンコーラス、もしくは60秒以上でBGMでは無い)オンエア1回につき、そのラジオ局の聴取可能人数、ならびにその番組の平均聴取率を考慮してポイント化しランキングを作成しています(公式の説明では「ラジオ放送回数」とだけ書かれていますが、同一順位が下位でも発生していないケースが多いため、上記部分が適用されているものと見られます)。同社が発表しているエアモニ・ラジオオンエアチャートが元となっているようですが、これとは上記の要素があり順位が異なる部分があります。
多くのラジオ局でパワープレイ(ヘビーローテーション)を得た曲が上位の中心となり、リスナーからのリクエストもオンエアされれば反映されますが、オンエアされない限りはポイントにならないためリクエストの総数とも限りません。従って全要素の中でもファンの後押しが必ずしもそのまま反映されない要素とも言えます。また全体的には洋楽系が強さを発揮するチャートでもありますが、チャート要素が増え、これだけの要素では総合上位に入れなくなってきているのが現状です。
Billboardの本場アメリカにおいてはストリーミング配信が音楽産業の中心となっていますが、それでもラジオを聴く文化は今もなお根付いており、ラジオから新たな流行が発生する構図は変わっていません。しかし日本ではラジオが若者の選択肢から消えつつあり、ラジオでの流行が世間に響いていないのが現状です。ポイントは稼げる要素ではありますが、だからと言ってその後のヒットに繋がるかと言えば疑問が残るため、重要度は「低い」としました。
Music Video 重要度:高い
2015年度後期から用いられるようになったミュージックビデオの再生数による要素。本家アメリカやオリコンではストリーミング要素の一部となっているが、Billboard JAPANではオーディオストリーミングとは別計上されている。
MVの再生回数に関しては現在YouTubeとGYAO!での再生回数が対象となっており、「国際標準レコーディングコード」であるISRC(International Standard Recording Code)の登録を受け、それを附番した公式の動画に限るため、ISRCの附番が最低条件となります。2020年度まではユーザー生成コンテンツであるUGC(User Generated Contents)の再生数も有効でしたが、これについては2021年度から新しい週間チャートTop User Generated Songsの対象となり、Hot 100には影響しなくなりました(2024年3月25日にCHART insightのページがリニューアルされ、UGCのランキングが追加されましたが、現在のところHot 100にはこの要素は含まれていません)。
チャートについてはストリーミング同様、有料アカウントと無料ユーザーの再生回数を分類し、それぞれに異なる換算率を用いポイント化するため、総再生数とポイントの順位が異なる場合があります。
なおYouTubeで表示されている再生数は全世界での再生数となり、Billboard Japanでは日本国内での再生数が対象となります(ユーザー設定は無関係)。またYouTubeが発表している週間ランキングは国際基準のため金曜日から木曜日までの括りとなり、Billboard JAPANの週間チャートと集計期間が異なり、公開から1年を過ぎた映像に関しては原則ランキングから外される措置が取られています。
2023.01.16追記
GYAO!が3月いっぱいでサービスを終了すると発表がありました。
https://twitter.com/Yahoo_GYAO/status/1614880254157258753
2023.03.22追記
GYAO!での再生数は2023年3月15日発表分をもって集計対象から外されました。
Karaoke 重要度:普通
2019年度から導入された要素。通信カラオケDAMを運営する株式会社第一興商と、JOYSOUNDなどを運営する株式会社エクシングから提供される、カラオケ歌唱回数を元に独自のポイントを付与したランキング・データを用いる。
Billboard JAPANでカラオケの要素が取り入れられるのはこれが初めてでは無く、過去に2014年と2015年にBillboard JAPAN Music Awardsの投票要素として取り入れられていました(この時はDAMのみが対象)。
Chart insightではこの6要素のうち2~3要素の合計ポイントで示される3つのハイブリッド指数があります。
PC版の画面からはチャート表示の上にあるピンク縁の部分のラジオボタンを切り替えて更新すると、選択したハイブリッド指数のチャートが表示されます。
スマホ版はピンク縁の部分をタップするとPC版と同じように3種類のハイブリッド指数が表示されるので、同じようにラジオボタンを選択して更新すると対応したチャートが表示されます。
表示出来るハイブリッド指数は以下の3つです。
・BUZZ(Download、Music Video)2022年度以前はTweetが含まれる
デフォルトはこれが表示されます。
・CONTACT(Download、Streaming)2022年度以前はLook Upが含まれる
総合的な楽曲接触指数となる。
・SALES(CD Sales、Download、Streaming)
その曲がどれだけ売れたかが示されている。オリコン合算ランキングと要素は同じだが、Billboard Japanは1曲単位での集計となるためポイント配分が異なります。
公式のFAQもリニューアルされましたのでご覧ください。なお日本でのチャート要素(ポイント換算)変更には、日本レコード協会などの外部調査機関による根拠が必要となります。
シングル総合チャートであるHot 100では以上の6つの要素を合算しチャートが構成されており、アルバム総合チャートとなるHot AlbumsではCD Sales、Downloadの2要素で構成されています。