Billboard Japanは2024年の年間ランキング(23年11月27日~24年11月24日)を発表し、シングル総合チャートであるHot 100はCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」が、またアーティスト別の獲得ポイントから算出されるArtist 100ではMrs. GREEN APPLEが年間1位を獲得した。
注:この記事は速報版として予約投稿による掲載です。正式な結果は必ず公式のものと照合し、ご確認ください。
「Bling-Bang-Bang-Born」は1月7日に配信リリースされ、3月20日にはドラマ「不適切にもほどがある!」主題歌「二度寝」との両A面シングルとしてCDでもリリースされている。アニメ「マッシュル-MASHLE-」第2期「神覚者候補選抜試験編」主題歌となっていたが、そのオープニングムービーに合わせたダンスが流行し、一気に人気に火が付いた。Hot 100では13週連続を含む計19週に渡り首位を獲得。年明け以降、上半期のチャートを席捲しダウンロード、ストリーミング、ラジオ、MVの4部門で年間1位となり他を圧倒した。
一方Mrs. GREEN APPLEは昨年のレコード大賞で「ケセラセラ」が自身初となる大賞を受賞し、これがシングル盤としてリリースしていない曲としては史上初のなる大賞受賞となった。ここから「ケセラセラ」がチャート上位に長期滞在。更に4月にリリースされた「ライラック」もHot 100での週間1位は2回に留まったものの、現在に至るまで長期に渡り上位に入り続け、年間では「ケセラセラ」と5位、6位を占めた。また「青と夏」が9位、「ダンスホール」が10位に入り、年間ベスト10に4曲。20位以内では「Soranji」、「Magic」、「点描の唄」を含めた7曲が入っており、100位以内では17曲がランクインし、新旧を問わずミセスの曲が年間上位に名を連ねた。アーティスト別の獲得ポイントでは期間中新規リリースが無かったCD売上を除く5部門で年間1位となり、こちらも他を圧倒した。
Hot 100の年間2位にはtuki.の「晩餐歌」がランクイン。TikTokから配信を始めたこの曲は昨年9月にリリースされ、当初からサブスクでも人気が出ていたが11月ごろから本格的に人気に火が付き、週間チャートでの1位は1回だけだったもののロングヒットとなり、年間2位となった。
また3位にはドラマ「Eye Love You」主題歌のOmoinotake「幾億光年」が入った。1月の配信リリース時には高い推移を記録していなかったものの、ドラマの展開に合わせ盛り上がりを見せ、ストリーミングでは長期に渡りトップ10をキープ。Hot 100での週間1位は無いものの年間ではベスト3入りを果たした。
この2曲に共通するのは、「Bling-Bang-Bang-Born」と時期が重なり(「晩餐歌」はAdo「唱」とも時期が重なっている)、週間チャートでは首位獲得がままならなかったものの、年間では結果を残しているところだろう。
一方Artist 100では年間2位にback numberが入った。Hot 100年間ランキングでは20位以内に入っていないものの、100位以内には10曲がランクイン。ただ特徴的なのは、最上位が2020年8月にMVで発表した(翌21年8月に配信リリース)「水平線」であり、年度期間内にリリースされた「新しい恋人達に」や「冬と春」が引っ張り上げた感じではない。しかしながらストリーミングとカラオケで年間2位に入っており、地力を見せた感はあるものの、印象としてはそれ程強い物は無いように思える。
このback numberの例が、Billboard Japanの年間ランキングにおける顕著な問題と言える。この年間ランキングはストリーミング(サブスク)再生数が大きく影響しており、ストリーミングの年間100位以内かつ、Hot 100年間ランキングに入っている曲は92曲にも及んでおり(逆に言えば、ストリーミングで年間100位以内に入れなかった曲は8曲しかHot 100年間100位以内に入っていない)、ほぼ必須事項と言える結果となっている。ただストリーミング再生数に関しては以前にも指摘した通り、ランキングのプレイリストや特定のアーティストの曲だけを聴くユーザーが日本では多く、その影響が他国と比べ大きくなっている。これが利用者数の増大により、更に影響を増してしまっている傾向がこれと言えてしまうのではないだろうか(余談だが、CD売上100位以内で、Hot 100年間ランキングに入ったのは、今年は「GOAT」1曲のみとなった)。
今年に限らずストリーミングの影響が大きくなった頃からの年間ランキングを見ると、特に上昇する起因が無かったにも関わらず何年も前の曲が散見している。ミセスやback numberの曲もこれに該当するものも有るが、これが果たして健全な年間ランキングと言えるかと言えば疑問が残る(少なくとも昨夏以前の曲が上昇起因も無く入っているのはよろしくない)。もちろんこれを「今年はヒット曲が少なかったから」と切り捨てる事も出来るが、その取り上げるべきヒット曲が旧譜によって埋もれてしまうのもヒットチャートとしては如何なものだろうか。以前からこのブログでも度々呼び掛けているが、一定週数チャートインした曲に対する抑制措置となる「リカレント・ルール」の導入は「待った無し」のところまで迫っているのではないだろうか。もちろん運営も検討しているだろうが、今年は旧譜の目立つ年間ランキングになってしまったように思えてならない。ただこのランキングを作り出したのは、他ならぬ日本の音楽ファン、音楽ユーザーであり、その「民意」が現れたのがこの年間ランキングである事には違いない。その点は留意する必要があるだろう。
データ面については改めて記事にする予定です。