今週から2025年度下半期に入るのに合わせ、Billboard Japanがリカレント・ルールの導入を発表した。
Billboard JAPANチャート、リカレントルールを2025年度下半期チャートより導入https://t.co/jwsAorQU9Z
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年6月2日
これはHot 100で52週チャートインした(53週目以降)楽曲と、Hot Albumsで26週チャートインした(27週目)作品に対しストリーミングでの獲得ポイントが通常より割合減算されるもので、今年のものは今週金曜日に発表される上半期ランキングや年間ランキングにおいて、数年前の曲が平然と入り続けている問題に対する処置と見られている(あくまでチャートインした週数で区切りを付けているので、数年前の曲でもチャートインが少なければ対象とはならない)。
↓昨年の年間ランキング。2023年以前の曲が散見している。
手前味噌ながらこのブログでは以前からリカレント・ルールの必要性について触れてはいたが、それが遂に実現する形となった。
また最近ではMrs. GREEN APPLEのフロントマン、大森元貴がオリコンでのインタビューで現在のチャートについて苦言を呈していた。今季ここまでチャートで他を圧倒している側からのこの発言も、ひょっとしたらルール導入を早めた要因になったのかもしれない。加えてこの発表を受けてか、このようなコメントも残している。
こういうのは触れ方がわからないけども、個人的な見解を。
— 大森元貴 / Motoki Ohmori (@MotokiOhmoriMGA) 2025年6月2日
烏滸がましさは大前提として、
きっと2025年の我々にとって大きな影響を与えるであろう改訂。
常に新しい音楽が生まれるわけで、なにを等しいとするかの判断として、とても健全な気がしています。
妥当な悔しさと安堵。…
本家アメリカのBillboardでは21週目以降は50位以内、53週目以降は25位以内に入らないとチャートから除外されるルールを採用していたが、日本ではストリーミングのポイントに限定する形で53週目以降に適用される形となった。またアメリカでは適用範囲外となっている(よね?)アルバムにも27週目以降に適用される。
現状「ライラック」が53週目以降で上位争いを繰り広げているが、先週のチャートでシミュレーションをしたところ、ストリーミングのポイントを半減させてみた結果、3位だった「ライラック」は12位まで下がる計算となった。

現状割合減算がどれだけのものになるかが不明だが、少なくとも上位から姿を消すのは間違えないだろう。また「ライラック」が稀な存在であるが、基本的に週間チャートの上位争いに影響するようなルールでは無い。現状20位近辺にいる100週以上チャートインしている曲がどこまで下がるのか。これは今週のチャートで注目しておきたい。
追記:その後の検証から、半減以下の38%ぐらいで運用されているようです。
ただこれを行っても再生数が維持されれば、今週下がった順位付近で来週以降常駐してしまう可能性が高く、週間チャートでは効果は限定的になる恐れもあるが、上半期や年間ランキングのように累積ポイントの影響が大きくなるランキングでは効果は見込めるだろう。もちろん好きで聴いているサブスクユーザーを悪くは言えないが、チャートの固着化についてはランキングのプレイリストだけを聴いているユーザーも関与している可能性が高く、これについては各サブスク業者側も対応を求めたいところだが、日本でのユーザーが多いとされるApple、Amazon、Spotifyが日本独自のランキングルールを導入できるかと言えば難しいと言わざるを得ない。
結局のところ、「このプレイリスト以外は聴かない」、「このアーティストの曲しか聴きたくない」、「好きでも無い曲を聴くのは苦痛」と言った日本人特有の保守的、内面的な気質と、「手っ取り早くランキング上位だけを聴きたい」タイパを求めるユーザーが影響し、ランキングがランキングを縛っているような経緯となっている側面もあるだろう。長時間の音楽番組で番組制作側は番組全体の視聴率を気にしたいところだが、わざわざタイムスケジュールを公開し誰がいつ出て来るかを明らかにして視聴率を犠牲にする可能性を作り出してしまっている現状からも想像ができる(一部では行っているが、海外のように番組が公式で出演者の歌唱シーンだけをピックアップした動画を公開すれば状況は変わりそうだが…)。「好きな曲しか聴きたくない」、「流行っている曲しか聴きたくない」と言った動向が、一昔前の曲にあった「退屈なヒットチャート」を作り出してしまっているのが現状と言える。実はこの問題は2018年頃から噴出しており、当時すでにヒットの盛りを過ぎていたはずのエド・シーランの「Shape of you」が日本では上位に留まり続けているのを海外から指摘された例もあり、ヒットの固着化についての予兆はこの時点で存在していた。それから時間が経ち、上半期や年間ランキングにおいて1年半以上前の曲の割合が増加傾向にあり、当年のヒット曲として扱うべき曲が見えにくくなってきているために、リカレント・ルールの導入に踏み切ったと予測できる。
リカレント・ルールの導入がファンの意識を変える事が出来るのか。そこが求められているようにも思える。