※ こちらの記事は2014年仕様です。2015年後期以降のものにつきましては下記リンクをご覧下さい。
http://blogs.yahoo.co.jp/amano_redstar/67660507.html
日本の音楽界の基準として長年売上チャートを発表してきたオリコンだが、音楽配信やCDに付属する特典の影響が強くなり、今や単純なCDの売上(MUSIC CARDもカウントしていたが、2015年4月に対象外となった)だけでは支持されているアーティストや曲が分かりづらくなっており、音楽ファンからのオリコンに対する支持も日増しに落ち込んでいるのが現状である。先月のSexy ZoneとMr.Childrenが同日リリースした祭には、Sexy ZoneがMUSIC CARDを含む都合33種リリースを慣行し、さらに火曜付けデイリーチャートではライブチケット同梱シングルを再発送したEXILE TRIBEがMr.Childrenを上回り2位に入る動きを見せ、オリコンの現状を露にする事態となり音楽ファン以外にも波紋を広げたのは記憶に新しいところだろう。とは言え芸能界・音楽界の(悪しき)利権・権力により、オリコン以外の音楽チャートが陽の目を見ていないのも現実である。
そこで当ブログでも今年から月1回取り上げているBillboard JAPANについて改めて取り上げてみたい。今のオリコンでは満足できないと言う方の参考になってもらえば幸いである。
・ Billboard JAPANとは?
日本でもオリコンが毎週「オリ☆スタ」を金曜日に発売しているが、それと同じようにアメリカの音楽週刊誌として発売されているのがBillboardである(ただし現在は上記「オリ☆スタ」のような一般書店で取り扱っている冊子ではなくなっている)。その誌面で発表されているのがBillboardチャートであり、Billboard JAPANはその日本版となります(日本では今現在、Billboard JAPANの名が付く冊子は登場していない)。
BillboardはCD売上のみならず、ラジオでのオンエア回数等をランキング要素として取り入れた音楽チャートとなっており、2008年にスタートしたBillboard JAPANも日本の音楽事情を配慮し、アメリカとは異なるランキング要素を取り入れ音楽チャートを発表しています。
Billboard JAPAN公式HP
http://www.billboard-japan.com/
・ Billboard JAPANのチャート要素
Airplay
Billboardチャートにおける根幹とも言うべき存在がラジオでの放送回数を元に集計したエアプレイチャートとなります。これはプランテック調べの全国FM23局、及びAM9局での放送回数(ワンコーラス、もしくは60秒以上でBGMでは無いオンエアである事)を元に、聴取可能人数、ならびに平均聴取率を考慮してポイント化したチャートとなっており、1回のオンエアに対して放送局や放送時間に応じて“1票の格差”を付けてランキングを作成しています。従ってほぼ無名ながら、首都圏のラジオ局でパワープレイ(ヘビーローテーション)となった曲が時折上位に入ってくる事もあります。
Airplay年間チャート
http://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=top_airplay_year&year=2014
CD Sales
Billboard JAPANにおけるCD売上チャートは、サウンドスキャン調べのものをパッケージ合算し再集計したものが用いられています。従って一般的な店舗で販売されているパッケージのみが集計され、オフィシャルショップやライブ会場限定盤、MUSIC CARDのみのパッケージなどは集計の対象外となります。このため、オリコンとはかなり違う結果が出る場合もあり、その場合は特殊な販路での売上が多いと推測できます。ただオリコンが約32,000店から集計しているのに対し、サウンドスキャンは4,100店と少ないため、一部店舗での売上が集中した場合もオリコンと思わぬ差が生じる時があります。なお、総合チャートにおいてアルバムのみに収録されている楽曲は、アルバムの売上は集計されません。
ちなみに、サウンドスキャン調べのCDチャートは2015年からBillboard JAPANが業務を引き継ぐ事となりました。
CD Sales年間チャート(上がシングル、下がアルバム)
http://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=sales_year&year=2014
http://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=albums_year&year=2014
Download
2011年シーズンから取り入れられたのがiTunesでの売上を元に構成されたダウンロードの要素。これはiTunesでの販売数をそのまま使用しているのではなく、それを基準にその他の配信業者のDL数を類推し再計算している数字が用いられています。ただやはりiTunesで配信されていない曲(主にジャニーズ系)はここでのポイントは得られないものと考えていいと思います。
追記:新たにレコチョクが加わる可能性があります
Look up
2014年シーズンから新たに用いられるようになったのが、CDDBへのアクセス数となるルックアップの要素。音楽CDをオンライン環境上の音楽機器(パソコンを含む)に入れた際に、自動的にCDのタイトルや楽曲データをダウンロードする機能がそれに当たり(使用する機器、およびソフトにより、FreeDBやallmusicなど違うデータベースにアクセスするものもある)、サウンドスキャン調べのCD売上では対象外となっている部分の売上や、複数種購入により増大した売上からの購買者実数の洗い出し、さらにレンタルCDなど買わずにCDを手に入れ、楽曲を入手した人数の反映と言った、売上の補助的要素として用いられています。ただしこれが反映されるのは現在シングルCDのみで、アルバムは反映されていません。
Tweet
これも2014年シーズンから新たに用いられるようになった要素。Twitterにおいて1つのツイートにアーティスト名と楽曲名が含まれているツイートを集計し、ポイント化したのがツイートの要素となる。この要素で積極的な動きを見せているのがK-POP系で、特に東方神起は他を圧倒するツイート数で他の要素をカバーしている。この要素に関してはまだ音楽ファンに周知されていない部分もあるため、他のアーティストのファンも対抗するようになるとチャートがどう変化するかは今後の見どころでもある。
なお、Look upとTweetの要素はBillboard JAPAN独自のものであり、アメリカBillboardで用いられているYouTube等のストリーミング閲覧回数はBillboard JAPANでは採用されていない。
追記:ストリーミング閲覧回数を日本でもチャート要素に加える準備があるようです。
http://blogs.yahoo.co.jp/amano_redstar/67543733.html
2014年度からのチャートリニューアルのお知らせ
http://www.billboard-japan.com/special/detail/771
【参考】売上だけで音楽ヒットチャートは作れない、データのハイブリッド化を進めるビルボードジャパンの取り組み(MarkeZine)
http://markezine.jp/article/detail/21568
なお現在、2014年の年間総合上位100曲を対象に毎年恒例の「Billboard JAPAN Music Awards 2014」の投票が行われている。今回は上記Tweet要素の周知の目的を兼ねてか、Twitterとカラオケの2要素のみでの投票となっているので、興味のある方は参加してみてはどうだろうか。また今回は年間チャート公開に合わせ、年間総合上位100と、アニメ主題歌と声優限定のHot Animationの年間上位20にランクインした楽曲での各要素別ランキングと各楽曲別のポイント比率を公開している(下記リンクの順位=年間ランキングではない。またHot Animationは対象となる楽曲限定で順位付けしている)。この機能は来年春(4月?)を目処に週間チャートにも導入される予定となっており、興味深い内容となりそうだ。
http://www.billboard-japan.com/common/special/award/2014/
こんな感じでしょうかね。ちょっと至らない部分もあったかもしれませんが、今のオリコンに満足できない人はご覧いただければと思います。