【有線大賞 終了】ヒット曲を共有する時代は終わったのか?

 2017年12月4日、50年目の節目を機に日本有線大賞が終了する。

 主に音楽を配信し続けた有線の役目は有線大賞が50年続いたところからも伺い知る事が出来る。自分のリクエストした曲が流れた時の優越感、満足感は利用した人にとっては思い出深いものではないだろうか。

 しかしそのレスポンスに、今の人たちは待ちきれるだろうか。今の時代、聞きたいと思った曲を検索すれば配信やストリーミング、更にはミュージックビデオで大概の曲は出てくるだろう。そしてそれは、有料・無料を問わなければすぐにでも聞く事が出来る。わざわざオンエアされるかどうか分からない有線やラジオ局にリクエストをする必要は、もはや無くなっていると言っていいだろう。

 しかしながらそのレスポンスの時間こそが重要とも言える。自分以外にもリクエストを出している人がいて、自分がリクエストした曲が流れるまでの時間は、新たな発見の時間にもならないだろうか。それまでの間に流れた曲の中から気に入る曲を知り、それを共有する人が増え、やがてそれがヒット曲としてその時代に残るものとなっていく形があったからこそ、有線やラジオが新たな楽曲の発見の場となり、現在まで繋がっていったのではないだろうか。

 日本有線大賞は「有線リクエストデータを元に選定する」(とは言え今回、ポップス系のノミネートはそれに沿っていないようだが…)と言う独自路線を貫いてきたが、時代の波に呑まれる形でその幕を下ろす事となった。しかし音楽を共有するツールとして、有線の役割は多大なものであった。ふとしたきっかけで耳にしたその気に入った曲を共有する場は、その曲を聞く事が出来るところであり続けるべきだろう。それがこの時代、どのような形で受け継がれるのか。今後の成り行きを見守りたい。