異常なバレーボール

 北京五輪男子バレーボールの東京大会(世界3都市で開催)が土曜日から開幕した。今更ながら言うまでも無いことではあるが、やはり「あの場」は異常な会場となっていることが改めて浮き彫りとなった。

 それは日本男子チームが…、ではない。しかしながらあの内容では、五輪出場の道はほぼ絶たれたと言ってもいいだろう。たとえ何かの間違え(TBSだからアルゼンチンや豪州辺りに「袖の下」を忍ばせる可能性は否定できない)で五輪に行けたとしても、惨敗するのは目に見えて分かる。五輪に行くのだけが目標であれば、その限りでも無いが…。正直言って、24-17からマクられるようでは、日本は世界と戦う資格など無い。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080531-00000094-mai-spo

 さて話を戻すが、前回のアテネ大会の最終予選も日本で開催されていた。また上位3ヶ国に五輪への出場権が与えられるワールドカップも77年以降日本で継続開催されている。これだけ重要な大会が日本で続けて開催されているのは、現在国際バレーボール連盟(FIVB)の会長であるR.アコスタ氏による影響が強い。彼は84年の就任以降、テレビを意識した改革に乗り出し、現在の得点形式であるラリーポイント制も彼の提案で試合の全て(以前は第5セットのみ)で使われるようになった。また日本におけるバレーボールの関心の高さを利用し、W杯の継続開催、また世界選手権も98年と06年と言う短いスパンで日本で連続開催され、記憶に新しいところでは06年の世界選手権で、優勝決定戦が日本の出場する5位決定戦の前座に成り下がった経緯もある。この関心を支えるために、フジテレビは91年からジャニーズの新人グループを大会に持ち出すようになったのではないだろうか。

 しかしその会場にいる客は、果たしてバレーボールにどれだけ関心があるのだろうか。先日のイタリア戦。日本は大量リードでマッチポイントを迎えながら、功を焦ったのかミスを連発し最終的には逆転を許してしまった。そんな中の最終セットは言うまでも無くボロボロな内容でイタリアに勝てる試合を落としてしまった。
 もしあの観客がバレーボールに関心がある血の気の荒い人たち(言い方が悪いが阪神ファンや浦和サポーター)だったらどうなるだろうか。ブーイングはおろか、応援用のスティックや他のものも選手たちに投げつけられるのではないだろうか。私はあの試合内容から言えば、それが普通だと思う。しかし第4セット終了時や試合終了時、選手たちに罵声やこのような行為に至った人はあの中にいるだろうか。ほとんどいないだろう。日本が恥ずかしい負け方をしたにも関らず、あの場の観客は何をしたであろうか。もしイタリアでこの最終予選が行われ、イタリアが同じような負け方をしたら…。韓国でこの最終予選が行われ、韓国が同じような負け方をしたら…。あの光景はそれに比べれば、明らかにギャップがある。対戦していたイタリアの選手たちも、きっと同じ思いをしたはずだ。あれでは見せかけだけの、ただの人形と同じである。


 6期24年快勝を務めてきたアコスタ氏が、今期(6月)をもって会長職から退任することがこの大会中に発表された。日本びいきとも取れるこの状態がどうなるかは次期会長次第と言うことになるが、この異常なバレーボールを果たしていつまでやらなければならないのか。その批判を権力で押さえつけている日本のメディアにも問題があると言えなくもないが…。