Green Hill Music Chart 2022 第24節結果

2022シーズン第24節(5月9日~5月15日)結果

 

 昨シーズンから導入した「リカレント・ルール」について、今季は仕様変更を行い獲得ポイントについても制限を設けました。詳しくはリンクをご覧ください。

amano-yuuki.hatenablog.jp

 

 また、このチャートで用いているBillboard Japanのダウンロードストリーミングルックアップの要素を含め、Billboard Japan全体の仕様解説も掲載しておりますので、併せてご覧いただければと思います。

amano-yuuki.hatenablog.jp

 

 それでは第24節の結果です。まずは11位以下を発表します。

2022 Round 24 Result

 今週は31曲がポイントを獲得。前節から大きく順位を上げたのが「FEARLESS」。ストリーミングで順位を伸ばしトップ10まであと一歩のところまで順位を伸ばした。逆に「残響散歌」は乱高下を繰り返し前々節と同じ21位に逆戻り。「カメレオン」も今週は大きく順位を落とした。

 初登場は多めの8曲。ピックアップすると、ポルノグラフィティ岡野昭仁King Gnuの井口理とミクスチャーファンクバンドBREIMENによるコラボ曲「MELODY(prod.by BREIMEN)」が12位。アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」から「ENJOY IT!」が14位。7日のJAPAN JAM 2022で初披露された「うぉ」が15位。ゲーム「アイドルマスター シャイニーカラーズ」から「FELICE」が16位。11ヶ月ぶりのシングルとなった「愛・魔性」が23位。12ヶ月連続リリースの第5弾となる「LiE LiE LiE」が30位に入った。

 

 つづきましてトップ10の発表です。

2022 Round 24 Top 10

 トップ10圏外から「Habit」がトップ10に進出。ストリーミングで順位を上げポイントを伸ばした。

 初登場は2曲。映画「シン・ウルトラマン」主題歌「M八七」が3位。ドラマ「恋なんて、本気でやってどうするの?」主題歌「初恋が泣いている」が9位に入った。なお前者は今週、後者は6月8日にシングルCDがリリースされる。

 首位争いは共にポイントを落としたもののアニメ「SPY×FAMILY」主題歌による1・2体制は変わらず。「ミックスナッツ」はこれで3週連続1位となった。ただ「喜劇」も順調にポイントを伸ばしており、ロングヒットに繋がりそうだ。

 

 今週の結果を受けてのアーティストランキング上位40組はこのようになりました(ポイントの増減に伴う順位変動に対し赤文字青文字表記)。

Artist Ranking 22-24

 トップ10ではYOASOBIが6位に後退。来週以降も大きくポイントを落とすため、順位に大きく影響しそうです。そしていよいよ来週には首位が入れ替わりそうです。

 

 その他、現在の曲別暫定年間ランキングはこちらからご覧ください。

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 以上が第24節のチャートでした。来週もぜひご覧ください。

ストリーミング回数に対するBillboard Japanの苦慮

 前回の記事

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 Billboard Japanは先日4月20日でのストリーミング回数に対する変更点に加え、5月11日に更なる追加対策を講じてきた。今回はストリーミング回数では無く、Hot 100へのポイント換算に関わる部分に手を加えてきた。

 今回の変更点は再生数が一部の業者に大きく偏っている楽曲に対し、Hot 100へのポイントを引き下げる施策となり、CD売上(現在は5万枚以上)にかけられる係数処理と同様の処置と言える。

 

 これだけを見ると前回の変更点と変わりないように見えるが、それが施行されて以降のデータで分かった部分についてもここでは触れていきたい。

 

 まず前回の再生数そのものに手を付ける変更点だが、これは再生回数キャンペーンによる再生数の増大ではなく、業界シェアの低い業者において不自然に再生数が高い楽曲に対しての施策だったようだ。具体的に言えばAWAのラウンジ機能がこれに該当するようで、ファンダムがその機能を使って特定の楽曲の再生数を意図的に上げる行為が行われているようだ。なお業界シェアがそれなりにあるLINE MUSICについては、これに該当しないようである。

 そして今回のHot 100へのポイントを引き下げる施策は、LINE MUSICやRakuten Muiscで行われている再生回数キャンペーンにより増大した再生数を記録した楽曲に対するものだが、これはCD売上の係数処理と同じように、一定以上の再生数を記録した週間上位の楽曲が対象となってそうだ。

 

 以前も触れたが、このようなチャートに影響を及ぼす変更は年度初め、もしくは下半期突入時、四半期の区切りと言ったタイミングで行われるのが理想だが、今回はそれを待たずに行われるのは、それだけ事態を重く見ての事だろう。CD売上とは異なり、1週間だけの結果で年間ランキングの上位が決まってしまう訳では無いストリーミング回数でのチャートにおいて、今回の変更はこのような施策やファンダムの自発的行為により年間ランキングに影響が及ぶ可能性があるところまでを見込んでのものと見られる。

 

 そしてこれによりストリーミング回数の説得力が失われる事が、音楽チャート全体の信用性に関わる問題に発展する可能性まで考慮した結果と言えそうだ。これも繰り返しになるが、キャンペーンによる再生数だけでは現状、週間チャートで1位になっても年間ランキングでは100位以内にすら入れず、もちろん1億再生まで達するような事はない。ヒット曲の基準としての1億再生の価値は変わらないものの、このような施策をしている曲が繰り返し週間チャートで1位になる事により、ストリーミングのチャートがイメージを悪くし、特典商法で説得力を失ったCD売上のランキングの二の舞になりかねない。

 

 ただ上記にも示した通り、CD売上とは異なり1週間だけの結果では年間ランキングに影響が及ばないのがストリーミングのチャートである。従って週間1位の価値はCD売上やダウンロード売上の週間1位よりも低いと言えるだろう。どうしてもオリコンを基準に考えてしまうと1位を取るのが重要視されそうだが、本来ヒット曲と言えるのは1位になるより、いかに上位に長く留まり続けられるかが重要ではないだろうか。Billboard Japan Hot 100も同様であり、「たった1週間の結果だけでヒット曲が分かる」のは不可能である。1位と取った翌週に見向きもされない順位に落ちては、「1位を取った記録」だけが残り、「人々の記憶」には残らないだろう。それでも前者をヒット曲と言えるだろうか? それはただの「ファンダムのがんばり」でしか無い。日本ではオリコンの影響でその「がんばり」だけがヒット曲として扱われ過ぎていたのではないだろうか。ビルボードはCD売上と今回のストリーミングへの対応により、ヒットチャートとしての機能と信頼を確保しようとしており、それが実際機能している。「ビルボードオリコン、ヒットチャートと売上ランキングはまったくの別物」である事を改めて知る必要があるだろう。

 

 そのオリコンは、今回の件については現状まったくの無反応である。「売上として反映させたいから」と言うのであれば、CD売上にかけられている精査と矛盾している対応と言えてしまう。やはり「CD売上はジャニーズが関わって、ストリーミングは関わっていないから」と言う、あくまでジャニーズが関わっているか否かの判断のように思えてならない。もちろん下半期に入った時点で対応する可能性はあるが、あまり期待は出来そうにない。単なる数字だけでは、もはや信用を得る事は出来ないのではないだろうか。

Green Hill Music Chart 2022 第23節結果

2022シーズン第23節(5月2日~5月8日)結果

 

 昨シーズンから導入した「リカレント・ルール」について、今季は仕様変更を行い獲得ポイントについても制限を設けました。詳しくはリンクをご覧ください。

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 また、このチャートで用いているBillboard Japanのダウンロードストリーミングルックアップの要素を含め、Billboard Japan全体の仕様解説も掲載しておりますので、併せてご覧いただければと思います。

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 今週の結果をお伝えする前に重要な変更事項が発表されましたので、まずはそれについてお知らせします。

 Billboard Japanは今週5月11日発表分のチャートより、ストリーミング再生数市場全体のバランスから大きく乖離した楽曲に対し、Hot 100に反映させるポイントに独自の係数(減算)処理を行う事を明らかにしました。

 これは先日4月20日に行われたストリーミング回数そのものに対して係数処理をかける方法を強化した形となり、今週ストリーミングチャート1位だった「ラナ」めいちゃんが、Hot 100へのポイントでの順位では20位圏外となっています。

 Green Hill Music Chartでは今回の決定に従い、Hot 100に対するポイントでの順位(Chart insightでの順位)でポイントを付与していきます。

 

 それでは第23節の結果です。まずは11位以下を発表します。

2022 Round 23 Result

 今週は30曲がポイントを獲得。全体的にランクアップが多いが、前節の上位が崩れてのポイントアップと言えるだけに、粘り強くポイントを重ねている曲は評価すべきだろう。

 初登場は4曲。一昨年の年末にリリースされた「想うた 〜親を想う〜」が今週急浮上し18位。Hot 100ではラジオでのポイントがあり、それが起因した可能性がある。ドラマ「ムチャブリ! わたしが社長になるなんて」主題歌「Tamed-Dashed」が21位。HKT48、IZ*ONEにも所属していた宮脇咲良が所属している韓国人4人、日本人2人のK-POPユニット、LE SSERAFIMの「FEARLESS」が24位に入った。

 

 つづきましてトップ10の発表です。

2022 Round 23 Top 10

 現在年間ランキング暫定首位の「残響散歌」が5位まで復帰。リカレント・ルールの対象になっていないルックアップの順位が再浮上し順位を伸ばした。

 トップ10での初登場はPSYとBTSのSUGAによるコラボ曲「That That」1曲のみ。ちなみにあの「江南スタイル」のリリースから7月で10年になる。

 首位争いは「喜劇」が2位まで再浮上。そして首位は「ミックスナッツ」で変わらず2週勝ち抜き。アニメ「SPY×FAMILY」主題歌による1・2位独占の形となった。

 

 今週の結果を受けてのアーティストランキング上位40組はこのようになりました(ポイントの増減に伴う順位変動に対し赤文字青文字表記)。

Artist Ranking 22-23

 トップ10ではOfficial髭男dismが7位に浮上。差の近いSnow Manもポイントを重ねており両者とも6位のback numberに接近しつつあります。そしていよいよ2位King Gnuが1位BTSを射程圏内に捉えました。来週はいよいよポイントリーダーが入れ替わるのか。

 

 その他、現在の曲別暫定年間ランキングはこちらからご覧ください。

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 以上が第23節のチャートでした。来週もぜひご覧ください。

Green Hill Music Chart 2022 第22節結果

2022シーズン第22節(4月25日~5月1日)結果

 

 昨シーズンから導入した「リカレント・ルール」について、今季は仕様変更を行い獲得ポイントについても制限を設けました。詳しくはリンクをご覧ください。

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 また、このチャートで用いているBillboard Japanのダウンロードストリーミングルックアップの要素を含め、Billboard Japan全体の仕様解説も掲載しておりますので、併せてご覧いただければと思います。

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 それでは第22節の結果です。まずは11位以下を発表します。

2022 Round 22 Result

 今週は29曲がポイントを獲得。前節1位だった「CALL 119」が15位まで後退。CDリリースに合わせダウンロードやストリーミングでキャンペーンを行っていたため、その効果が切れたようだ。

 初登場は7曲。アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第2期エンディング「夢が僕らの太陽さ」が14位。実写映画版「ホリック xxxHOLiC」主題歌「Habit」が16位。ジミン(BTS)とハ・ソンウン(元Wanna One)による「With You」が19位。ゲーム「ウマ娘」1周年記念曲「We are DREAMERS!!」が20位。「劇場版ラジエーションハウス」主題歌「More Than Words」が23位。ドラマ「やんごとなき一族」主題歌「Walkin' In My Lane」が25位。aikoの新曲「ねがう夜」が28位に入った。

 

 つづきましてトップ10の発表です。

2022 Round 22 Top 10

 今週は11位以下からの進出は無し。前節3位の「カメレオン」は前節盛り返したものの乱高下する形となっている。

 初登場は3曲。ドラマ「マイファミリー」主題歌「それを愛と呼ぶなら」が8位。ドラマ「金田一少年の事件簿」主題歌「The Answer」が3位。ドラマ「探偵が早すぎる」主題歌「Betrayal Game」が2位に入った。

 そして今週の1位は前節2位に上がった「ミックスナッツ」が登場3週目で首位に立った。同アニメ主題歌では「喜劇」もトップ10入りしており、「SPY×FAMILY」の人気の高さを伺わせる結果となっている。

 

 今週の結果を受けてのアーティストランキング上位40組はこのようになりました(ポイントの増減に伴う順位変動に対し赤文字青文字表記)。

Artist Ranking 22-22

 今週はトップ10に変動無し。ここ2節高得点を獲得している8位のOfficial髭男dismが7位Snow Manに接近。6位back numberとの差も少なく、ここの順位は近々入れ替わるかもしれません。

 

 その他、現在の曲別暫定年間ランキングはこちらからご覧ください。

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 以上が第22節のチャートでした。来週もぜひご覧ください。

Green Hill Music Chart 2022 第21節結果

2022シーズン第21節(4月18日~4月24日)結果

 

 昨シーズンから導入した「リカレント・ルール」について、今季は仕様変更を行い獲得ポイントについても制限を設けました。詳しくはリンクをご覧ください。

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 それでは第21節の結果です。まずは11位以下を発表します。

2022 Round 21 Result

 前節の32曲チャートインから一転、今週のポイント獲得は24曲と少なくなった(今季では第3節の23曲に次ぐ少なさ)。大幅に順位を伸ばしたのは「共鳴」と「陽はまた昇るから」。ただ前者はそれ程Hot 100での順位に変動が無く(289位→285位)、後者はダウンロード数では前週を下回っており、両者ともランキングの水準が低下したためのランクアップと見られる。

 初登場は4曲。アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第2期オープニングの「Colorful Dreams! Colorful Smiles!」が13位。先週アルバムをリリースしたJuice=Juiceの「プラトニック・プラネット」が16位(アルバムにはUltimate Juice Ver.として収録)。ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」のシングルが23位に入った。

 

 つづきましてトップ10の発表です。

2022 Round 21 Top 10

 今週は10位以内に初登場は無し。ただ3曲がトップ10に復帰する形で上昇しており、この中には第19節まで首位争いを演じ、前節急降下した「残響散歌」と「カメレオン」も含まれている。

 首位争いは登場2週目となった「ミックスナッツ」とシングルCDをリリースした「CALL 119」との争いとなり後者が制し登場5週目で1位を獲得した。ただキャンペーン効果で上昇した面とルックアップで1位を取り逃している辺りは盤石とは言えないだろう。来週以降どれだけこの水準を維持出来るか。一方「ミックスナッツ」はダウンロード、ストリーミングで1位と今後にも期待が持てる結果となった。

 なお先週首位を獲得した「kaleido proud fiesta」は今週ポイント圏外に下がってしまい、このチャートでは珍しい首位獲得から翌週チャートアウトとなってしまった。

 

 今週の結果を受けてのアーティストランキング上位40組はこのようになりました(ポイントの増減に伴う順位変動に対し赤文字青文字表記)。

Artist Ranking 22-21

 トップ10ではAimerが2つ順位を上げ3位に浮上。優里、YOASOBI共に昨年のポイントを失いつつあるのでAimerとの差は広がる一方だろう。そして1位BTSと2位King Gnuの差が50.5Pt.と縮まってきた。BTSも昨年のポイントを失っているため、上半期のうちに逆転する可能性があるだろう。

 

その他、現在の曲別暫定年間ランキングはこちらからご覧ください。

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 以上が第21節のチャートでした。来週もぜひご覧ください。

日本で音楽ストリーミングの再生数が信用されない不幸

追記:

 5月11日発表分の週間チャートから新たな抑制処置がとられるようになりました。これについては後日改めてブログにする予定です。

 

 

 今週4月20日発表のBillboard Japan週間チャートで1つ大きな動きがあった。ストリーミングの要素に対し以下のような変更点を加えたのである。

 これは主にLINE MUSICやRakuten Musicで行われている、期間内での再生数に応じて特典が得られたり、その特典に応募出来る権利が与えられるキャンペーンで生じた再生数に対する抑制処置と見られている(CD売上はそのままの数字を出しHot 100でポイント化する際に一定以上の売上を記録している曲については調整しているが、ここでは再生数そのものに手を付けている)。

 またここ最近では、それらのキャンペーンにより得たユーザーにより、局地的に集中した再生数でその他のストリーミング業者での再生数と著しい差が生じ(実例として、ある業者では上位だが、他の業者ではデイリー200位以内にも入っていない曲がある)、それにより多数のストリーミング業者で上位に入っている曲を上回ってしまう現象も起こってしまっている。これについては公式のPodcastでもチャートディレクターの礒崎氏が触れており、問題の是正が行われる可能性をうかがわせた。

 本来であればこのような影響の大きい変更はこの時期であれば下半期の開始まで待つところだが、事態を重く見たBillboard Japan側が下半期を待たずこの変更に踏み切ったのは大きな意味があるだろう。

 

 ただLINE MUSICやRakuten Musicが行っている事が「悪」なのか? と言われれば、そうとも言い切れない部分がある。

 もちろん再生回数キャンペーン自体はコアファン向けの施策であり、CDに特典を付ける商法をデジタル化したとも言える。特にLINE MUSICのランキングはこのようなキャンペーンをしている曲が上位を占めており、他のランキングと比べ明らかに様相が異なる(さすがに年間ランキングとなると他との差は少なくなる)。ただこれらのキャンペーンをやっている曲が総じてその他の業者を含めたBillboard Japanやオリコンのストリーミングチャートで上位に入っているかと言えばそうでもない。一部の突出した再生数を誇っている曲が問題視されているのである。

 そして再生回数キャンペーン自体は「ユーザー獲得のための営業努力」である点も考慮しなくてはならない。この点はCDと言う統一規格の中で行われている事とは一線を画しており、それにより一定の効果が得られているのであれば業者としては「成功している」と言えてしまうのである。日本におけるストリーミング市場はまだまだ成長の余地を残していると言われており、これらの施策で得られるユーザーもいるのもまた事実と言えるだけに、頭ごなしに再生回数キャンペーンを「悪」と決めつけるのは良くないだろう(ただ、ここで得られたユーザーが推し以外の曲を聴くかとなると話は別になりそう)。

 

 

 しかしながら今回のBillboard Japanでの変更は、ストリーミングでの再生回数に対する信用性を失いかねない事態となっている。残念ながら今の日本の音楽ファンからは、未だにストリーミングでの再生回数は信用を得るに至っていない状況であると言え、昨年の日本レコード大賞で大賞を受賞したDa-iCEの「CITRUS」に対し、1億以上のストリーミング再生数があるにもかかわらず「買収」や「出来レース」との批判が続出したところからもそれがうかがい知る事が出来る(ジャニーズが彼らを音楽番組から締め出し認知度を抑制していた点も延焼の原因となっている)。1億ストリーミング再生を達成するような曲はヒット曲である事が周知されていれば、このような事にはならなかったはずだ(ただ大賞候補だったAwesome City Club「勿忘」は2億ストリーミングを記録しており、大賞を分けた差は売上が少なかったとは言え、シングルCDをリリースしたか否かの差ではないかと疑われている)。

 ところが今回の件を受けて、「これじゃ3億とか5億とか言われても信用できない」との話も浮上している。とは言え再生回数キャンペーンで得られる累計再生数は高くても現状2000万程度で、1億どころか日本レコード協会での最低認定数である5000万にも程遠い数字となっており(3000万での認定は昨年度で廃止になっている)、1億再生以上の価値を落とす必要は無いと言える。

 だが何故日本の音楽ファンは未だにストリーミング再生数を信用しきれないのか。おそらく以下の点が引っかかっているのではないだろうか。

  • CDでの特典商法により生じた嫌悪感
  • 主にK-POPで見られるYouTubeでの再生回数疑惑
  • オリコンの影響力

 前述の通り、再生回数キャンペーンはCDでの特典商法の延長線上とも受け止められる。コロナ禍においてCDに特典を付けてイベントを行うのが難しくなったため、その特典商法をデジタル化した結果とも言えるだけに、そこでCDの特典商法同様、意図的に増大された数字を混ぜる事に嫌悪感があっても不思議ではないだろう。

 また日本においても影響力が強いK-POPYouTubeでの再生数に疑惑が寄せられている。これはここ最近に限った話では無いが(古くは「江南スタイル」から)、「PC数十台で同じMVをエンドレス再生している施設がある」疑惑も持たれており、一部K-POPのMVで億単位の再生数が目立っているが、イマイチ信用されていないのもまた事実であり(Billboardオリコンは国内での再生数のみ対象のため、表示されている全世界での再生数が反映されている訳では無い)、それが日本でのストリーミング再生数の信用性を落としている要因としても挙げられそうだ。

 そして日本において長らく音楽ランキングの主流として君臨し続けていたオリコンの影響力もあるだろう。一応オリコンもストリーミング再生数のランキングを発表しているが、それがCD売上のランキングと比べ取り上げられる頻度が少なく、結果ストリーミング再生数の信用性を引き上げられない(引き上げさせない)要因になっているとも言える。これはストリーミング数を加えている合算ランキングについても同様である(ただ合算の年間ランキングではストリーミング上位がCD売上上位を食い始めている)。

 

 この3点が相まって日本においてストリーミング再生数が信用されていない原因になってしまっているのではないだろうか。また、一人が複数カウント介入出来る(1人1票ではない)点も考えられるだろう。

 

 

 ただ世界的に見ればストリーミング配信の普及により音楽業界の売上は右肩上がりになっている(アメリカは底を打った時点から倍増している)。日本は諸外国と比べ音楽CDの価格が倍近く高く、それによる利益にも差があるため単純な比較は難しいが、日本の音楽業界全体の売上は下げ止まったままで上昇の気配がまだ見られていない。オリコンはあくまで業界向けのランキングであるため利益率の最も高いCD売上を重視しているが(逆に言えばダウンロードやストリーミングのランキングを意図的に目立させない事で、CD売上の優位性を保たせている)、それが音楽業界の世界的成長から取り残される原因になってしまっている可能性も否定できない。それに加え今回のBillboard Japanでのルール変更が悪い意味で音楽ストリーミングに対する不信感を強めたら、ますます日本の音楽市場が冷え込む可能性もあるだろう。

 

 ストリーミングの信用性とストリーミングでのヒット曲をどう広めていくか。再生回数キャンペーンに対する対策を含め、日本の音楽業界はこの問題に立ち向かっていかないといけない。日本の音楽市場はもうすでにかなりの遅れを取っているからだ。

Green Hill Music Chart 2022 第20節結果

2022シーズン第20節(4月11日~4月17日)結果

 

 昨シーズンから導入した「リカレント・ルール」について、今季は仕様変更を行い獲得ポイントについても制限を設けました。詳しくはリンクをご覧ください。

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 また、このチャートで用いているBillboard Japanのダウンロードストリーミングルックアップの要素を含め、Billboard Japan全体の仕様解説も掲載しておりますので、併せてご覧いただければと思います。

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 今週の結果をお伝えする前に重要な変更事項が発表されましたので、まずはそれについてお知らせします。

 Billboard Japanは今週4月20日発表分のチャートよりストリーミング要素において、一部業者の再生数に対し、市場シェアに基づいた係数(減算)処理を行い再生数を算出すると発表しました。

 これは昨今問題視されている、期間中の再生数に応じ特典が得られる(応募出来る)キャンペーン、またそれにより得たユーザーによる一部業者に偏った再生数に対する抑制処置と見られます。これにより、該当すると見られる曲の順位が下落している傾向が見られますが、当Green Hill Music Chartではこれまで通りBillboard Japanが発表している週間ストリーミングチャートである「Streaming Songs」の順位を基にポイントを付与していきます。

 また、今季ここまでで今回の変更事項に抵触していると見られる曲もあるため、今季の上半期、および年間表彰に関しては、該当すると見られる曲については審査を得て選出するかどうかを決定します。

 

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 それでは第20節の結果です。まずは11位以下を発表します。

2022 Round 20 Result

 今週は今季ここまでで最多となる32曲がポイントを獲得。目立った上昇が無いが、なんと言っても前節まで4週連続1位だった「カメレオン」が16位、2位だった「残響散歌」が12位に急落する波乱の展開となっている。また上記変更事項に抵触したと見られる「CALL 119」のストリーミング順位が下落し、3週連続3位からこちらも一気に順位を落とした。

 初登場は6曲。誕生日の4月11日に合わせて配信リリースされた「LOVE SONG FOR YOU」が13位。ドラマ「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」主題歌の「六等星」が18位(シングルCDは6月22日リリース)。6月25・26日開催予定のライブツアー東京ドーム追加公演テーマソング「なんどだって約束!」が19位。朝ドラ「ちむどんどん」主題歌「燦燦」が21位(シングルCDは6月8日リリース)。映画「クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝」主題歌「陽はまた昇るから」が26位。ドラマ「正直不動産」主題歌「so far so good」が30位に初登場した。また新曲をリリースしたKing & Princeの2曲が再登場となった。

 なお23位の「Secret Touch」は今週でルックアップでの週間トップ10入りが20週に達したため、来週以降はリカレント・ルールが適用される。

 

 つづきましてトップ10の発表です。

2022 Round 20 Top 10

 この波乱の展開の中、ポイントを伸ばしたのは「W / X / Y」。INIの思わぬ下落もあったが遂にストリーミングで1位となり3位まで順位を伸ばした。

 トップ10でも初登場は6曲と、今週は全体で12曲が初登場、2曲が再登場と入れ替えの激しい週となった。5ヶ月ぶりの新曲となった「ASOBO」が9位。アニメ「SPY×FAMILY」主題歌「ミックスナッツ」が6位(シングルCDは6月22日リリース)。韓国では5日にリリースされたアルバムのリードナンバー「LOVE DIVE」が5位。約半年ぶりのシングルとなった「Lovin' you」が4位に入った。

 そして前節のベスト3が揃ってトップ10から姿を消す波乱のチャートは劇場版「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」主題歌「クロノスタシス」が2位、現在NETFLIXで配信されているアニメ「TIGER & BUNNY 2」主題歌「kaleido proud fiesta」が初登場で首位を獲得した。UNISON SQUARE GARDENは同アニメ第1期でも主題歌「オリオンをなぞる」を手掛けており、11年ぶりとなる2期でも主題歌を担当した。

 

 今週の結果を受けてのアーティストランキング上位40組はこのようになりました(ポイントの増減に伴う順位変動に対し赤文字青文字表記)。

Artist Ranking 22-20

 トップ10では優里が3位に再浮上。ただ5位Aimerとは20Pt.であり、YOASOBIも昨年のポイントが減り続けているため、一気に順位が動きそうな感じではあります。また今週最多ポイントを獲得したKing & Princeはなにわ男子を再逆転し12位に浮上。11位米津玄師までは差があるが、どこまで迫れるでしょうか。

 

 その他、現在の曲別暫定年間ランキングはこちらからご覧ください。

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 以上が第20節のチャートでした。来週もぜひご覧ください。