ビルボードジャパン年間チャート 2016 その1

 ようやく時間が出来たので、昨年2016年のBillboard JAPAN年間チャートをここで振り返ってみたいと思います。

 まず各チャートの年間ランキングが12月8日に発表されました。まずはシングル総合チャートとなるHot 100の年間チャート上位を見ていきます。

1位 AKB48「翼はいらない」(CDセールス1位)
2位 RADWIMPS前前前世」(ダウンロードラジオ1位)
3位 星野源「恋」
4位 AKB48「君はメロディー」
5位 SMAP世界に一つだけの花」(ツイート1位)
6位 ピコ太郎「ペンパイナッポーアッポーペン」(MV再生回数1位)
7位 AKB48「LOVE TRIP」
8位 AKB48「ハイテンション」
9位 星野源「SUN」

16位 嵐「I seek」(ルックアップ1位)


 年間1位を獲得したのはAKB48「翼はいらない」となった。AKB48が年間首位を獲得するのは「恋するフォーチュンクッキー」以来3年ぶり4度目となる。またAKB48は年間ベスト10に4曲がランクインしているが、これは2015年の1曲(8位に「僕たちは戦わない」)から大幅に勢力を伸ばす結果となった。
 これはBillboard JAPANのCD売上調査元であるサウンドスキャンが2016年2月から集計対象を変更したのが大きな要因となり、それ以前までは計上していなかった劇場盤と呼ばれるパッケージが計上されたため(「唇にBy My Baby」は変更前のため、劇場盤分が計上されていない)、「翼はいらない」は250.7万枚を計上。オリコン(151.9万枚)とは100万枚近い計上差が生じ問題視された。しかしこれは出荷枚数(日本レコード協会からは2ミリオン認定されており、最低でも200万枚は出荷されている)や総選挙での総投票数から判断すると、むしろ250.7万枚の方が正しいと見るべきで、オリコンの数字は何らかの補正(ジャニーズからの圧力との噂もあるが…)をかけているようである(最近問題視されている“精査”は昨年9月以降に適用されており「翼はいらない」に関しては無関係。従って総選挙シングルの売上に関しては4年前の「さよならクロール」辺りからオリコンの数字は怪しむべき)。またAKB48とその支店、欅坂46を含め、オリコンサウンドスキャンでは数万枚(AKB48は10万枚以上)の計上差が生じており、これらもオリコンでは“精査”とは違う何らかの減算処置がなされているようである(乃木坂46はそれほどでもない)。「オリコンはファンもアンチも騙していた」とも言えるだろう
 しかしAKB48が万全かと言えばもちろんそうではない。推定CD稼働であるルックアップの年間順位でAKB48を中心に見てみると…(一部抜粋)

1位 嵐「I seek/Daylight」
2位 星野源「恋」

32位 AKB48「LOVE TRIP」
36位 AKB48「君はメロディー」
49位 AKB48「翼はいらない」

100位圏外 AKB48「ハイテンション」

※ 当初は近い順位でCD売上が低いの作品と比較していましたが、年間チャートでのCHART insightが発表されていないため、他作品との比較発表は伏せさせていただきます。ご了承ください。

 AKB48のCDが特典目当てで売れているのは周知の事実であるが、いくらレンタルを含めてのCD稼働とは言え、140万枚以上売れているとされるCDのが30位台まで低迷しているのは見過ごせないデータだろう。250万枚以上売れているはずの「翼はいらない」が49位(奇しくも「僕たちは戦わない」と同じ順位、それもあってか、昨年末の大型音楽番組では、オリコンBillboard JAPANでの年間1位であるはずの「翼はいらない」がほとんど(まったく?)聞かれなかった)であり、集計対象が5週間しか無かったとは言え、「ハイテンション」は100位以内にすら入れなかった。またこの4作のうち、レコチョクの年間チャートでランクインしたのは「君はメロディー」の81位が最高で、他は100位以内にランクインしなかった。これでは売上ほど世の中に周知されているかと言えば疑問が残り、「Billboard JAPAN Hot 100からCD売上の要素を外すべき」との意見が出て当然と言えるだろう。
 しかしながら「唇にBy My Baby」のカップリング曲だった365日の紙飛行機」が、規定によりCD売上とルックアップのポイントを得られないながら年間23位に食い込んだのは評価に値する(レコチョクの年間ランキングでは2位)。この曲がシングルの表題曲でCD売上が現行の基準で入っていたらどれだけ高い順位に入っただろうか。タイアップと楽曲次第では、まだまだ世の中に周知される曲を歌えそうではある。
 AKB48サウンドスキャンの集計対象変更により、「見えていなかった売上が見えたがために本来いるべき位置に戻ってきた」とも言えるが、CD売上偏重はBillboardが本来見せたいヒットチャートとの乖離を示す結果にもなったと言える。この年間チャートからCD売上の比重が下げられており、今後段階的に比重が更に引き下げられるだろう。まだまだ圧倒的な売上枚数を誇っているとは言え、もしオリコンを含めたCD売上チャートが見捨てられたら(ジャニーズが大きな顔をしている限りは無さそうだが…)、Billboard JAPANがCD売上の要素を全廃するとなったらどうなるだろうか。

 年間ランキングほどAKB48は安泰ではない。それは事実だろう。そして屋台骨を支えているのは、案外ジャニーズなのかもしれない。ジャニーズが配信に乗り出せば、必然的にCD売上チャートは存在意義を失うだろう。それは秋元一門を含め特典でCDを売っている歌手やグループにとっては死活問題となりえるだろう。


 記事が長くなってしまったので、第2弾は後日立ち上げます。