SixTONES vs. Snow Man (今後について)

 ジャニーズ史上初となる2組同時デビューとなったSixTONES vs. Snow ManのCD発売週はSixTONESの勝利で幕を閉じた。

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SixTONES vs. Snow Man Chart insight

 その順位内訳を見てみるとラジオ(黄緑)はSnow Manが上回ったものの、他の要素ではSixTONESが上回っている(カラオケもSixTONESは300位以内に入っている)。Snow Manは発売前までラジオでのオンエアがほとんど無かった分、発売週にオンエアが集中したようだが、それだけではSixTONESとの差を詰められなかった。なお、この週のラジオ1位FAITH「Party All Night」は67位のため、ラジオのポイントは1,000ポイント前後と見られ、大勢には影響が無かったようだ。

 

 続いてポイントの内訳を見てみよう(上がSixTONES、下がSnow Man)。

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SixTONES summary

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Snow Man summary

 CD売上(黄)が両者とも75%近い比率だが、Snow Manは若干75%以上になっている。また全体の比率で見るとSixTONESの方がルックアップ(橙)、ツイート(水)の比率が高い半面、ラジオ(黄緑)がやや押しつぶされている。MV再生数(赤)ではそれ程の差にはなっておらず、ルックアップとツイートの差によるところも大きかったようだ。ツイートによる影響はCD売上のポイントが関係しないカップリング曲にも表れており、SixTONESは「Telephone」が16位、「NEW WORLD」が17位。Snow Manは「Crazy F-R-E-S-H Beat」が18位、「Snow World」が23位に入っており、いずれも3,000ポイントを上回っている。

 

 ちなみに独自集計したポイント表を見てみると…

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SixTONES vs. Snow Man Sales

※ SixTONESSnow Man共にBillboard JAPAN Hot 100の規定により、CD売上の獲得ポイントが係数処理(売上枚数により割合は異なる)されている。そのため、CD売上では4倍弱の差があるモーニング娘。'20とのポイント差が半分近くまで詰まっている。

 SixTONESSnow ManはCD売上以外(一番右)で1万ポイント近くを稼いでいる。これは音楽配信の無いジャニーズ勢では今までに無い高い数字であり、それだけ両軍の戦いが激しかったと言えるだろう。

 ちなみにCD売上以外でもSixTONESが優勢だった。

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SixTONES vs. Snow Man Contact

 こちらはダウンロード、ストリーミング、ルックアップを足した、楽曲接触指数を示すCONTACTの上位となるが、ルックアップの1位と2位だけの結果でこれだけ高い順位にいるのは、嵐や米津玄師レベルでないと成し得ない事となる。通常、ルックアップの1位は2,000ポイントにも届かず、1,000ポイントに達しない週もあるだけに、ここでも3,600ポイント以上の争いになったのは、特典による売上があるものの、CDがそれだけ聴かれた証拠とも言える。

 

 と、やはりCD発売週だけに激しい戦いが繰り広げられた。さて、今後についてだが…

 

  • CDTVの扱いはどうなるのか?

 現在CDTVの番組内でのメインランキングであるオリジナルランキングはBillboard JAPAN Hot 100で用いられている要素にオリコンのCD売上を加え構成されている。

amano-yuuki.hatenablog.jp

 しかしオリコンが両者合算の枚数となってしまい、この番組での取り扱いがどうなるかが不明瞭である。これについては今週(2月1日深夜分)では判明しない可能性がある部分となるが、最近気になる傾向が見られており、Billboard JAPANとオリコンの表記揺れに対応出来ていない傾向が見えている。

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CDTV error

 45位と67位(一番上と一番下)は同じ曲であるが、歌手名の表記揺れ(CV:の表記が有るか無いか)に対応出来ていない(ちなみに上はオリコンの表記となる)。もしこの表記揺れの対応が整わなかった場合、オリコンの表記であるSixTONES vs Snow Man「Imitation Rain/D.D.」の扱いとして、SixTONESにのみオリコンの売上枚数が計上される可能性がある。もちろん均等割りされる可能性もあるが、来週以降影響が出た場合はその傾向が表れるだろう。

追記:2月8日深夜放送分のランキングから、オリコンの枚数は両者に折半され反映されているようです。

 

  • 今回のSixTONESSnow ManのCD売上は過去の記録と比べていいのか?

 一部ファンが今回のSoundScanでのCD売上を持ち出し「ジャニーズ史上最高」と言っているのに対し、記録保持者だったKAT-TUNのファンがお怒りのようですが、個人的な意見としては、数字としては「注釈付きであれば」併記しても問題は無いと思います。

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ジャニーズ デビューシングル 初動売上

※ SixTONESSnow Manオリコンでは合算集計のため、グループとしての記録は無し

※ KAT-TUNの当時、SoundScanの集計は実店舗販売分のみ

※ KAT-TUNの当時、オリコンは精査による売上減算が無い

※ KAT-TUN以外はイベントへの抽選申込券が特典として付与

 うん、めんどい(ぉ KAT-TUNも通常盤+限定盤6種だったが、それでも75.4万は大した数字だと思う。それと間違えなくSixTONES vs. Snow Manオリコン132.8万枚は参考記録としても使えない。

 結果、KAT-TUNはすごい。

 

  • Billboard JAPANのマスコミでの取り扱い

 何となく予想は出来ていたが、やはり木曜日の芸能ニュースで毎週Billboard JAPANのチャートを扱っていた番組が今週はそれを伝えませんでした。ここまでオリコン側の「3日でミリオン」やら「快挙」やら言っていたところ、「SixTONESは1週間で77万枚を売り上げ…」とは言いづらいでしょう。とは言え新聞までもが取り扱わなかったのは予想外でした。

 これが今週だけで済むのか、それとも2度と取り扱われなくなるのか。これは両ファンだけの問題ではなく、音楽業界全体の問題とも言えるでしょう。

 

 残念ながら可能性は低いでしょう。SixTONESのキャッチコピーに「ジャニーズをデジタルに放つ新世代」とありますが、もしそうであれば「JAPONICA STYLE」は既に配信されているはずです。「“ジャニーズを”デジタルに放つ新世代」ですから、ジャニーズがその気にならなければ、デジタルに放たれないのではないのでしょうか。

 それとSixTONESSnow Man単独でミリオンを目指したいのであれば、「そんな事をしてミリオンを目指せると思っているのか」と一蹴されてしまいそうです。

 

 オリコンについては、おそらく年間1位確定だと思います。AKBが例え、今年総選挙を復活させ、その投票券が付いたシングルをリリースして300万枚以上売り上げたとしても、オリコンが無理やりSixTONES vs. Snow Manの売上を上回らないように大幅減算させる事が充分見込まれます(もっとも、精査は元々AKBに200万枚を達成させないために作られたルール)。もしそうなった場合、オリコンでは史上初めて、CD売上年間1位では無いCDが年間1位となります。

 一方Billboard JAPANですが、参考として2018年のKing & Prince「シンデレラガール」は年間12位でした。ただ当時とは状況が変わっており、年間上位に入るにはストリーミングが必須とも言え、逆にCD売上は年間チャートにおいて“重要では無い要素”になりつつあります(CDシングルでリリースしていない曲がゴロゴロ入っている辺りからもお察し)。初動売上が70万枚台だった嵐「BRAVE」ですら昨年の年間チャートでは36位、ベスト50に入ったジャニーズの曲はこの1曲だけと、音楽配信に消極的なジャニーズ勢にとっては「週間1位は取れても、年間上位は厳しい」戦いになります。しかも…

www.billboard-japan.com

 CDを大量に売った後に音楽配信を開始しても効果は一時的なものとなってしまい、結局残るのはルックアップだけと言う傾向が嵐「BRAVE」から見て取れます。CDの売上が見込まれるジャニーズ勢はCD発売と同時、もしくは先行配信をしなければ音楽配信の効果が表れないかもしれません。

 

  • vs.企画はまたやるの?

 事務所が味を占めたのであれば、数年に1度はやるんじゃないかな。ファンはもうこりごりかもしれないが…

 

  • 最後に…

 今回の戦いで多くのファンが疲弊したとの声を聴きます。混乱の原因はオリコンの対応のまずさが最もなところで、競わせるべきところで競わせなかった事が、Billboard Japanでの過度な戦いに結びついてしまったのではないでしょうか。

 ジャニーズ事務所からすれば「Billboard Japanなんて余計なものを気にするからそうなるんだ。我々に尽くしてくれるオリコンだけを見ていれば、そんな事にはならなかった」と言ってくるかもしれません。しかしその、尽くしてくれるオリコンが余計な真似をしたからこその混乱となっては本末転倒であり、それをジャニーズがオリコンに対し指示したのであれば、「この戦いの真の黒幕は誰なのか?」とも言われかねません。以前の記事に「1位を取っても大した宣伝効果にはなりません」と書きましたが、オリコンでの対応により、1位を取って逆にバッシングの対象になってしまい、宣伝効果どころか逆効果にすらなりかねない事態にまで発展してしまっているようにも思えます。今回の件でオリコンもジャニーズも、失ったものの方が大きいように思えますし、そうでなければならないと思います。

 しかしながら「1位を取ってもただの自己満足でしか無い」とも書きました。これは今週、アメリBillboardのSocial 50で連続1位記録に並んだBTSのarmyにも言える事だが、「自分の生活を切り崩してまで音楽チャートのために尽くすのは如何なものか」とも思えます。

 楽曲に関係無いツイートに曲名と歌手名、メンションを付けたり、チャートのためにMVを見る、wikipediaを時間をかけて見る、不要なCDを何枚も買う。

 傍から見れば滑稽でしょ

 そこまでして得られるものは何? そこまでの時間とお金があったら他に何が出来る?

 もう少し冷静になって考えようよ。

 King Gnuやヒゲダンはそこまで必死になってる?

 アメリBillboardのSocial 50なんて他に誰が見てる?

 負けられないのは分かる。だが…

 自分の生活を壊してまでやるべきではないと思う

 全ての音楽は聴いてもらうためにあるのであって、

 音楽チャートのためにあるものではない。

 その点は心得ておくべきだと思います。

 ただその観点で見ると、今回のオリコンとマスコミの対応は、

 ジャニーズの楽曲は聴いてもらうためではなく、オリコンのためにある

 とも受け止められてしまいかねません。

 そうして得たオリコン1位、オリコン連続1位に価値はあるのでしょうか?

 ジャニーズのファンは考えるべきではないでしょうか?

 

 2020年、日本の音楽業界に出来たディストピアは、決して無かった事にしてはいけないだろう。胴元は信用を失い、ファンは疲弊しきった。その果てに得られたものに、対価となるだけの価値はあったのだろうか?