Billboard Japan 2020年上半期チャート(アルバムチャート)

 昨日はBillboard Japan上半期チャートの楽曲別(シングル)チャートについて触れましたが、今日はアルバムチャートについて触れたいと思います。

 

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 まずアルバムチャートについて。Billboard Japanのアルバムチャート「Hot Albums」はCD売上ダウンロード売上バンドル売上のみ集計対象となり、1曲単位での売上はアルバムチャートに反映されない)、ルックアップの3要素となる(ツイートやMV再生数等は含まれない)。オリコンの合算アルバムランキングはCD売上ダウンロード売上Billboard Japan同様、バンドル売上のみ対象)、ストリーミング回数(収録曲全曲の合計回数)が対象となるため、2週間の集計期間の違い以外にも差異があるので、見比べる際には留意しておきたい。

 

 それでは本題。Billboard Japan Hot Albums上半期チャートはKing Gnu 「CEREMONY」 が1位、Official髭男dism 「Traveler」 が2位、BTS 「MAP OF THE SOUL : 7」 が3位と言う結果となった。

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 「CEREMONY」は今年1月のリリース。昨年のHot 100年間4位、今年上半期でも3位になった「白日」をはじめ、その後リリースされた「飛空艇」「傘」等が収録され、アルバムにツアーのチケット先行予約が特典として付けられたのもCD売上を押し上げた。とは言えダウンロードも上半期1位と、決して特典だけで売れている訳では無いところも証明しており、ルックアップも2位としっかりCDも聞かれている。また、 「CEREMONY」 のリリースに合わせ前作の 「Sympa」 もダウンロードとルックアップで上位に食い込み上半期17位となっている。旧作の売上やレンタルと言った波及効果もまた、人気の高さを示す結果と言えるだろう。

 2位の「Traveler」は昨年10月リリース。従って発売して今季の集計期間(昨年11月25日以降)までの約1ヶ月半の実績が欠ける形となるが、それでもCD売上は5位、DL売上2位、ルックアップは「CEREMONY」を上回り1位となった。「CEREMONY」も同様だが、昨年大晦日紅白歌合戦初出場による影響が大きいだろう。なおルックアップについては今季の集計期間が始まってから「CEREMONY」のリリースまで2ヶ月弱あったため、その間でのアドバンテージが大きく作用したと言えそうだ。

 3位の「MAP OF THE SOUL : 7」はCD売上2位。とは言えサウンドスキャンは輸入盤が集計対象外のため、それを含んだ場合はKing Gnuを上回っている可能性が高い(おそらくオリコンBTSが1位になると見られる)。しかしCD売上では 「Traveler」 を上回っているものの3位に甘んじたのは、CD売上以外の要素が伴っていないと言えるだろう(両者のCD売上差は8.3万枚。BTSのダウンロードは9位だったため、CD売上差を逆転するまでの差では無いと思う。となると…)。

 同様に4位のジャニーズWEST 「W trouble」 と5位のKis-My-Ft2 「To-y2」 もCD売上の順位から逆転している。CD売上差は3,150枚差と僅差、リリースも 「W trouble」 の翌週に 「To-y2」 がリリースされ集計期間はほぼ同等だったが、ジャニーズ系で音楽配信が無いため、ルックアップの差でCD売上の差を覆す結果となった。なお、ベスト5は順位こそ変わっているが、CD売上の上半期ベスト5に入ったアルバムがそれぞれランクインしている。Hot AlbumsはシングルチャートであるHot 100とは違い、CD売上に対する係数処理が無いため、CD売上の枚数がそのままポイントとして加算される点、またダウンロード数がCD売上に比べ低い点もあり、CDに関わる要素が強く出る傾向にある。

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Billboard JAPAN Hot Albums 2020 Mid-Year


 

 6位以下はバラエティーに富んだ面々が並んでおり、6位は「ヒプノシスマイク」のBad Ass Temple 「Bad Ass Temple Funky Sounds」 がCD売上、ダウンロード売上共に上半期トップ10入り。ヒプマイは他にもアルバムがリリースされているが、これだけが特出して高い成績を残している。7位には木村拓哉のソロアルバム 「Go with the Flow」 。8位は三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE 「RAISE THE FLAG」 。「天気の子 complete version」 は昨年11月、今季の集計に入った直後でのリリース。CD売上こそ32位だが、ダウンロード3位、ルックアップ19位と、CD売上以外の部分が強かった。そして10位にはすとぷり 「すとろべりーねくすとっ!」 がランクイン。ただCD売上7位から三代目JSB、「天気の子」にも逆転されたのは、ダウンロードとルックアップに問題がありそうだ。なお三代目JSBジャニーズWESTと、「天気の子」はBad Ass Templeと、すとぷりはKing Gnuとそれぞれ同日リリースだったため、週間首位を逃している。

 

 Billboard Japan Hot 100の登場、普及により、1曲単位でのチャートが主流となり、シングルCDのリリースがメインとなっている日本では元々欧米と比べ存在感が薄かったアルバムチャートの影が更に薄くなる心配もあり、更にCD売上、ダウンロードの減少も追い打ちをかけるだろう。Billboard Japan Hot Albumsは本家アメリカのThe Billboard 200とは異なり単曲ダウンロードやストリーミング回数を含まない、あくまでパッケージ単位での評価に徹しているが、これが今後どのように見られるのか。仮にオリコン合算アルバムランキングに、現在取り入れられていない単曲ダウンロード売上が組み込まれた場合は、CD売上以外の部分でもHot Albumsとそれなりの差が出ると思われるだけに、チャートの構成に関する部分でも今後アルバムチャートがどのように推移していくのかにも注目したい。