今年の音楽年末賞レースプレビュー

 今年も11月20日のベストヒット歌謡祭(放送は26日)を皮切りに年末の音楽賞レースがスタートします。この時点ではまだノミネートアーティストが出ていませんが、年末音楽賞レースの2大タイトルマッチ、11月のベストヒット歌謡祭、12月の日本有線大賞の有力候補を中心にここでピックアップしてみたいと思います。


 はじめにこの2つのタイトルを予想する上で重要な材料となるのが、日本レコード大賞の現在の行方であります。そこで今まで年末の音楽賞レースに参加していなかった「あの」有力女性アーティストの名前が浮かび上がってきたのです。
 今年のレコード大賞の行方は、6月時点では演歌歌手の中村美津子の名前が挙がっていましたが、9月時点になり状況が変化しました。

今年の最有力候補は「宇多田ヒカル」であると言う情報が入ってきました。

 確かに宇多田ヒカルは最終回が30%を超える視聴率を記録したTBS系で放送された人気ドラマ「花より男子2」の挿入歌である「Flavor Of Life」が現在64万枚(今年発売のシングルの中ではトップ)と言う大ヒットを飛ばしており、もし12月頭のノミネートが出た時点で彼女の名前があり大賞受賞となれば、背景を言わずとも納得のいく結果と言ってもいいだろう。
 しかしどうやら今年から国内に活動の拠点を移す際、契約した会社の重要ポストに、有力なレコ大審査委員がいるようである。さらに言えば受賞曲は「Flavor Of Life」ではなく、「Beautiful World」(こちらは現在22万枚で年間16位)になる見込みとなっている。

 とは言え、年末の賞レース絡みで宇多田ヒカルの名前が出てくること事態が初めて(3月に行われる日本ゴールドディスク大賞は2度大賞受賞)なので、ひょっとすると上記2大タイトルマッチ、またはMステスーパーライブやFNS歌謡祭、紅白歌合戦の出演も予想しておく必要があるだろう。そしてタイトルマッチに出場ならば有力候補の1人として挙げなければならなくなる。今年はこの宇多田ヒカルが参戦するか否かが大きなカギを握るのではないかと思われる。


 さて、その他の有力アーティストも探ってみよう。まずは演歌部門です。
 昨年、ベストヒット歌謡祭演歌・歌謡曲部門新設以来4連覇、日本有線大賞3連覇を達成していた氷川きよしが王座から陥落。ベストヒット歌謡祭水森かおりが征し、日本有線大賞でもタイトルを逃す結果となった。今年も水森かおり氷川きよしの一騎討ちではないかと思われるが、氷川きよしは7月に「きよしのソーラン節」と「あばよ」を同時リリースさせた。演歌界では1年1曲勝負が定番となっているが、これが仇となるのではないかと予想する。対する水森かおりは4月に発売した「ひとり薩摩路」で4作連続でオリコントップ10入りを記録しており安定感を見せている。また3ヶ月早くリリースできた分、人気面で勝る氷川きよしとのアドバンテージは少なくなるのではないだろうか。

 よって、ベストヒット歌謡祭演歌・歌謡曲部門は、水森かおりが王座を防衛すると予想する。

 一方ロック・ポップス部門であるが、昨年は日本ゴールドディスク大賞を含め3冠を達成したのは倖田來未だった。しかし彼女に昨年の勢いがあるかといえば疑問が残る。今年彼女が最も貢献したのが、自身のパチンコ・パチスロを作り上げたSANKYOの株価を上げたぐらいなのではないだろうか。となると、連覇はかなり怪しいと見ていいだろう。
 そこで相手探しとなるが、ベストヒット歌謡祭avexと業務提携しているUSENが主催しているためavex勢が強い状態にある(ここ7年連続で大賞はavex所属)。そこで浮上するのが大塚愛となる。倖田來未とは立場上、ライバル関係と言っていい状態で11月7日にはシングルを同日リリースする。ここでの結果はあまり反映されないだろうが、大塚愛が勝つようであれば十分なアピールとなるだろう。アルバムでも大塚愛はベストアルバムと2枚合算となれば倖田來未に引けをとらないだけに、avexのナンバー3が、いよいよナンバー2取りへ向けて機は熟したと言っていいのでは無いかと思う。

 それに待ったをかけそうなのがコブクロである。シングル「蕾」は「Flavor Of Life」に次ぐ今シーズン3位(44万枚)の売り上げを誇っており、アルバム「ALL SINGLES BEST」が累計300万枚を突破(今シーズンの売り上げは78万枚で年間4位)と非常に好調であるとともに、ベストヒット歌謡祭の司会は今年も堺正章と「藤原紀香」であると言う点もミソとなりそうだ。そんなコブクロも、実は上記2人と同じ11月7日にシングルをリリースする。この週はまさに、今年の賞レースを占う上での前哨戦となりそうな感じである。

 もう1人名前を挙げるとするならYUIであるが、こちらはセールス面で上記アーティストと比べると若干劣っている点は否めない。とは言え今年の上昇度はピカイチだっただけに抑えておく必要はあるだろう。

 宇多田ヒカル次第だが、今年のロック・ポップス部門は期待を込めてコブクロがタイトルを獲得すると予想する。おそらくコブクロなら日本有線大賞を含めた2冠も可能だろう。大塚愛はポップス系が有利なベストヒットでの逆転なら可能と見る。


 と、予想してまいりましたがいかがだったでしょうか。ノミネートが出た場合は直前にでも予想をして見たいと思います。