今年の音楽賞レースを占う(日本有線大賞)

 12月に入りましていよいよ今年も大詰め。音楽界も年間ランキングの発表がこれから続々行われますが、ここではこれからテレビ放送で行われる音楽賞レースの展望をお送りします。まずは日本有線大賞からです。


第46回日本有線大賞(11日・TBS系で放送)
http://ranking.cansystem.info/grandprix/information/

有線音楽優秀賞(大賞候補)
AKB48(3年連続)
大月みやこ(5年連続)
きゃりーぱみゅぱみゅ(初)
JUJU(4年連続)
西野カナ(4年連続)
氷川きよし(13年連続)
水森かおり(7年連続)
山本譲二(32年ぶり)

新人賞(最優秀は決めない)
新里宏太
福田こうへい


 有線業界2位のCANSYSTEMのリクエストデータを基に決定する伝統のタイトル。2010年、12年は11月に開催されたが、今年は12月に開催が戻っている。

 例年通りポップス系から4組、演歌・歌謡曲系から4人が候補として上がっている。上記の通りCANSYSTEMのリクエストデータを基に(有線業界で大きなシェアを誇るUSENのデータは用いられておらず、売上など他の要素も一切取り入れられていない)受賞者が決定するため、2011年にふくい舞が大賞を受賞した時の様な事も、CANSYSTEMへのリクエスト次第では起こりえる。そのため、CANSYSTEMのチャートアクションを見ている人なら自ずと大賞候補は見えてくる「波乱も大番狂わせも無い」タイトル戦である。

 CANSYSTEMのHPからここ最近のチャートアクションが見られるのでそれを参考に検討すると、昨年7度目の大賞受賞となった“絶対王者氷川きよしが今年もやはり本命。昨年は水森かおりとの一騎討ちの様相もあったが、今年は氷川が抜けており1強状態と言える。水森は昨年大賞を逃し涙したが、今年も大賞には手が届かなさそうだ。
 ポップス勢の比較となると、今年はかなり横一線のように思える。今年もJUJUは安定勢力だったが、昨年と比べ西野カナの状態は良く、AKB48も「恋するフォーチュンクッキー」が有線でも好推移。きゃりーぱみゅぱみゅも「にんじゃりばんばん」次第では上位争いとなりそうだが、氷川、水森と比べるとやはり一枚落ちる。
 今年の日本レコード大賞・最優秀歌唱賞を受賞した大月みやこと、実に1981年以来となる有線音楽優秀賞受賞の山本譲二は、先日の日本作詞大賞でも優秀賞を受賞した曲が好推移。ただこちらも氷川、水森と比べると不利は否めないところか。やはり今年も氷川きよしが8度目の大賞を受賞するものと思われる。


 しかし8組中6組が3年間同じ顔ぶれと言うのは、もちろん結果を残しているのはあるにせよ、真新しさに欠ける面も否めない。USENのデータを用いていた全日本有線放送大賞(現:ベストヒット歌謡祭)が2011年(正式には2012年)から賞レースを取りやめている事を考えると、真の意味での有線大賞を決めるべく両社が共同開催するのを望む声があってもおかしくないだろう(ただ両社の関係は裁判沙汰が起きるなど険悪)。奇しくも今年のUSEN年間ランキングは同じ11日に発表される事になっている。配信が音楽の主流になりつつある今、有線が生き残るために行える事を業界全体で考えるべきではないだろうか。