Green Hill Music Chart 2021 第6節結果

2021シーズン第6節(12月28日~1月3日)結果

 昨シーズンとなる2020年度から大幅に仕様変更を行ったGreen Hill Music Chartですが、今季は新たに長期に渡りチャートインしている曲に対してポイント獲得条件を付け、チャートの活性化を促進する「リカレント・ルール」を導入します。詳しいルールにつきましては下記のリンクをご覧ください。

 

amano-yuuki.hatenablog.jp

  また、このチャートで用いているBillboard Japanのダウンロードストリーミングルックアップの要素を含め、Billboard Japan全体の仕様解説も掲載しておりますので、併せてご覧いただければと思います。

 

amano-yuuki.hatenablog.jp

 

 それでは第6節の結果です。今回は冒頭にあるように年末年始の集計分となります。

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2021 Round 6 Result

 LiSA「炎」が年末の大型音楽番組出演効果を活かしルックアップで再び首位に立ち29Pt.まで伸ばし首位獲得。年を跨ぎ12週連続での1位となった。

 「Dynamite」はダウンロードで1つ順位を落としたが2位をキープ。大晦日紅白歌合戦で歌番組では初歌唱となった「夜に駆ける」が順位を伸ばし3位まで再浮上。年末年始で全体的にストリーミング回数が下がる中、「夜に駆ける」はストリーミング回数を上げてきている。「虹」はストリーミングで1つ順位を上げた(回数は大幅に落ちている)ものの、ダウンロードで3つ順位を下げ獲得ポイントはダウン。「Step and a step」もストリーミング回数は下がったものの、ここでのポイントを先週より1ポイント増やして5位をキープした。

 今週初登場は元日リリースのEXILE TRIBEのシングルのみ。基本再登場は年末の大型音楽番組の影響を受ける形となったが、それとは関係無く「廻廻奇譚」は続伸。6位まで順位を伸ばし上位を虎視眈々と狙っている。

 

 つづいて、今週の結果を受けてのアーティストランキング上位40組はこのようになりました(ポイントの増減に伴う順位変動に対し赤文字青文字表記)。

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Artist Ranking 21-6

 今週はトップ10に変動無し。ただ10位BTSが9位SixTONESに同点、8位NiziUが7位瑛人に1Pt.差に迫っており、ここは次節順位が入れ替わりそうです。

 菅田将暉は今週14Pt.を獲得しましたが、昨年分の18Pt.を失い順位を後退。欄外ではNEWSが46位に浮上。しばらく強力なシングルCDのリリースが無いだけに、ポイントを稼いでおきたいところだろう。

 

 現在の暫定年間ランキング、およびアーティストランキングの上位50組はこちらからご覧ください。

amalabel.g3.xrea.com

 以上が今週のチャートでした。

 

 さて来週はYOASOBIが初のCD(EP盤、アルバム扱い)をリリース。その楽曲がどれだけの結果を初週から残してくるか。シングルCDではPoppin'Party、sumikaが上位進出を狙う形になりそうだ。年が変わり展開が変わるのか。それとも、「炎」の連勝はまだまだ続くのか。来週のチャートもぜひご覧ください。

Green Hill Music Chart 2021 第5節結果

2021シーズン第5節(12月21日~12月27日)結果

 昨シーズンとなる2020年度から大幅に仕様変更を行ったGreen Hill Music Chartですが、今季は新たに長期に渡りチャートインしている曲に対してポイント獲得条件を付け、チャートの活性化を促進する「リカレント・ルール」を導入します。詳しいルールにつきましては下記のリンクをご覧ください。

 

amano-yuuki.hatenablog.jp

  また、このチャートで用いているBillboard Japanのダウンロード、ストリーミング、ルックアップの要素を含め、Billboard Japan全体の仕様解説も掲載しておりますので、併せてご覧いただければと思います。

 

amano-yuuki.hatenablog.jp

 

 それでは第5節の結果です。今回は冒頭にあるようにクリスマス週の集計分となります。第6節(12月28日~1月3日)は10日に更新する予定です。

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2021 Round 5 Result

 LiSA「炎」がルックアップで2つ順位を落としたものの、依然として高い数字を維持し11週連続1位。遂に10月の初登場から年内首位をキープする結果となった。

 「Dynamite」がダウンロードで3つ順位を伸ばし2位に再浮上。年末の大型音楽番組出演も影響しているだろう。「silent」はポイントを落としたものの、ストリーミングでは1つ順位を上げ前節につづき2位と同点の3位となった。「虹」、「Step and a step」はルックアップこそ順位を維持したが他でポイントを失っている。

 初登場は4曲。1年半ぶり、3人体制になって初のシングルとなったNEWSが6位。元欅坂46のセンター、平手友梨奈のソロ楽曲が12位、ゲーム「あんさんぶるスターズ!!」のCrazy:Bが14位。CDもリリースされたがダウンロードでトップ10入り。そして3年3ヶ月ぶりと久々のシングルリリースとなったMy Hair is Badが19位に入った。

 ランクアップでは「CDTV ライブ!ライブ!」でテレビ初披露となった「竈門丹次郎のうた」が一気にダウンロード2位に浮上し8位再登場。また「廻廻奇譚」が続伸しトップ10まで進出した。

 

 つづいて、今週の結果を受けてのアーティストランキング上位40組はこのようになりました(ポイントの増減に伴う順位変動に対し赤文字青文字表記)。

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Artist Ranking 21-5

 トップ10ではBTSが嵐に変わり10位に浮上。7位の瑛人まではそれほど差は無く、6位の米津玄師もポイントを失っている中、どこまで上がれるか。

 

 現在の暫定年間ランキング、およびアーティストランキングの上位50組はこちらからご覧ください。

amalabel.g3.xrea.com

 以上が今週のチャートでした。

 

 さて、既に結果は出ていますが、先に触れました通り第6節は10日を目途に発表します。年末年始、レコード大賞、紅白の効果がどう表れるのか。そこに新曲が入り込む余地があるのか。いつもと違い週末に発表するため、くれぐれもお忘れなく。

「Green Hill Music Grand Prix 2020」(後編)

 それでは昨日に引き続きましてオリジナル紅白歌合戦Green Hill Music Grand Prix 2020」後半戦の模様をお伝えします。後半は攻守が入れ替わり紅組が先攻となります。この後半戦は複数曲が年間チャート上位に入ったアーティストもいますので、その場合は2曲以上を紹介する形になります。

 

 それでは選出者の発表です。

「選出曲」歌手名(選出回数・2007年からスタートしたので今回が14回目)

 

21 「しあわせの保護色」乃木坂46 (9年連続9回目)


乃木坂46 『しあわせの保護色』

 

22 SixTONES (初選出

「NAVIGATOR」


SixTONES - NAVIGATOR (Music Video) [YouTube Ver.]

 

「Imitation Rain」


SixTONES - Imitation Rain (Music Video) [YouTube Ver.]

 

23 「ただ君に晴れ」ヨルシカ初選出


ヨルシカ - ただ君に晴れ (MUSIC VIDEO)

 

24 猫」 DISH//初選出


DISH// (北村匠海) - 猫 / THE FIRST TAKE

 

25 「パプリカ」Foorin (2年連続2回目)


<NHK>2020応援ソング「パプリカ」ダンス ミュージックビデオ

 

26 嵐 (14年連続14回目:皆勤出場継続

「カイト」


NHK2020ソング 「カイト」 スペシャルムービー

 

「A-RA-SHI : Reborn」


A-RA-SHI : Reborn [Official Audio]

 

27 「春を告げる」yama (初選出


yama - 春を告げる (Official Video)

 

28 「インフェルノ」Mrs.GREEN APPLE (2年連続2回目)


Mrs. GREEN APPLE - インフェルノ(Inferno)

 

29 「あなたがいることで」Uru (2年連続2回目)


【Official】Uru 『あなたがいることで』TBS系 日曜劇場「テセウスの船」主題歌

 

30 「まちがいさがし菅田将暉 (3年連続3回目)


菅田将暉 『まちがいさがし』

 

31 日向坂46 (2年連続2回目)

アルバム「ひなたざか」より

「アザトカワイイ」


日向坂46 『アザトカワイイ』

 

「ソンナコトナイヨ」


日向坂46 『ソンナコトナイヨ』

 

32 「香水」瑛人初選出


香水 / 瑛人 (Official Music Video)

 

33 「夜に駆ける」YOASOBI初選出


YOASOBI「夜に駆ける」 Official Music Video

 

34 「Dynamite」BTS (3年連続3回目)


BTS (방탄소년단) 'Dynamite' Official MV

 

35 「Make you happy」NiziU初選出


NiziU 『Make you happy』 M/V

 

36 「白日」King Gnu (2年連続2回目)


King Gnu - 白日

 

【四天王・降臨】

37 LiSA (2年連続3回目)

「紅蓮華」


LiSA 『紅蓮華』 -MUSiC CLiP YouTube EDIT ver.-

 

「炎」


LiSA 『炎』 -MUSiC CLiP-

 

 

38 Official髭男dism (2年連続2回目)

「I LOVE…」


Official髭男dism - I LOVE...[Official Video]

 

「Pretender」


Official髭男dism - Pretender[Official Video]

 

【総大将・出撃】

39 あいみょん (3年連続3回目)※ 2年連続での紅組総大将

「裸の心」


あいみょん - 裸の心【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

 

マリーゴールド


あいみょん - マリーゴールド【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

 

40 「感電」米津玄師 (4年連続4回目)※ 初の大トリ


米津玄師 MV「感電」

 

 

 以上40組がGreen Hill Music Grand Prix 2020選出アーティストとなりました。これらの曲で来るべく来年に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。2021年シーズンはすでにスタートしています。この年間、および上半期表彰につきましては来年以降、一度選出された作品に関しては以降選出されないようにする予定です。果たして来年、この舞台に進出出来るのは誰になるでしょうか?

 それではみなさん、よいお年を

 

「Green Hill Music Grand Prix 2020」(前編)

 お待たせしました。今年1年の音楽界をリードした男女20組、計40組を2日間に分けて発表いたします「Green Hill Music Grand Prix 2020」。今回はエアコミケ2との連動開催として30・31日の発表となり、今日は前編となります。

 

 それでは今大会の選考ルールをご覧ください。

Green Hill Music Grand Prix 2020(開催は今回で14回目)
規定

  • 今シーズン活躍したアーティストのみが選出される
  • 年間チャート上位からはBillborad JAPAN Hot 100(CDシングル表題曲、リードナンバーには一部条件あり)とその要素となっている楽曲単位のダウンロード、ストリーミング、シングルCDのルックアップ(CD稼働数)から3曲ずつ。Hot Albums(一部条件あり)から2作、アルバムCDのルックアップから1作が選ばれ、年間チャートから15組が選出される。
  • それ以外から「ワイルド・カード」としてGreen Hill Music Chart の2020年シーズン年間チャート「Season Hit 100」(楽曲別)から2曲、「Artists 50」(歌手別)から3組を選出し、紅白20組、計40組を選出する。
  • 実際の紅白にあるとされる事務所枠、レコード会社枠は無し

 

 果たして今年、日本の音楽界の中心に立った40組は誰になるのか。

 

 それでは、白組の先攻でGreen Hill Music Grand Prix 2020選出アーティストの発表です。今回も出来る限り公式のMVにリンクしておりますので、ぜひご覧の皆様自身によりその楽曲をお楽しみください。

 

【ワイルド・カード 「Artists 50」 選出者】

「選出曲」歌手名(選出回数)

 

1 「アカシア」BUMP OF CHICKEN (2年ぶり8回目)


Acacia

 

2 「ANIMA」ReoNa 初選出


【SAO】ReoNa - ANIMA (Music Video YouTube EDIT ver.)

 

3 「RUN」Sexy Zone (4年連続5回目)


Sexy Zone「RUN」Music Video(short ver.)

 

4 「New Romantic Sailors」Guilty Kiss初選出


【試聴動画】ラブライブ!サンシャイン!! Guilty Kiss「New Romantic Sailors」「Love Pulsar 」「Phantom Rocket Adventure」全曲試聴!

 

5 「Your Song」Hey!Say!JUMP (7年連続9回目)


Hey! Say! JUMP - Your Song [Official Music Video]

 

6 「Time」宇多田ヒカル (5年連続8回目)


宇多田ヒカル『Time』

 

【ワイルド・カード 「Season Hit 100」 選出者】

 

7 「Birthday」Mr.Children (2年ぶり10回目)

(公式MV無し)

 

8 「春はゆく」Aimer (2年連続2回目)


Aimer 『春はゆく』MUSIC VIDEO(主演:浜辺美波・劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」Ⅲ.spring song主題歌/FULL ver.)

 

9 「D.D.」Snow Man初選出


Snow Man「D.D.」MV (YouTube ver.)

 

10 「檄!帝国華撃団<新章>」天宮さくら、東雲初穂、望月あざみ、アナスタシア・パルマクラリス初選出


PS4『新サクラ大戦』オープニングムービー

 

【年間チャート選出者】

 ここからは複数要素で年間チャート上位になった場合、複数曲が選出される場合があります。

 

11 「星影のエール」GReeeeN (11年ぶり3回目)


GReeeeN - 「星影のエール」MUSIC VIDEO

 

アルバム「YOUR STORY」より

12 「STAYIN' ALIVE」JUJU (9年ぶり3回目)


JUJU 『STAYIN' ALIVE』 Music Video

 

13 「Walking with you」Novelbright初選出


Novelbright - Walking with you [Official Music Video]

 

14 「竈門炭治郎のうた」 椎名豪 featuring 中川奈美初選出

(公式MV無し)

 

アルバム「天気の子 complete version」より

15 「グランドエスケープ feat. 三浦透子RADWIMPS (2年連続5回目)

(公式MV無し)

 

16 TWICE (4年連続4回目)

「Feel Special」


TWICE "Feel Special" M/V

 

「I CAN'T STOP ME」


TWICE "I CAN'T STOP ME" M/V

 

アルバム「Bad Ass Temple Funky Sounds」より

17 「Bad Ass Temple Funky Sounds」Bad Ass Temple初選出


ヒプノシスマイク「Bad Ass Temple Funky Sounds」Bad Ass Temple

 

18 「bud guy」Billie Eilish初選出


Billie Eilish - bad guy

 

19 「Mazy Night」King & Prince (3年連続3回目)


King & Prince「Mazy Night」Music Video

 

20 「未完成」家入レオ (4年連続6回目)


家入レオ -「未完成」(Full Ver.)

 

 

 まずは以上の紅白10組ずつ、20組の発表となりました。いずれも今年話題となった楽曲ばかりかと思いますが、ご覧になっている方々の印象に残っている曲はありましたでしょうか?

 明日は後半の模様をお送りします。どうぞお楽しみに。

【エアコミケ2・特別寄稿】コロナ禍により迎えたCD売上基準の終焉。それに抗う音楽業界とオリコン

 2020年は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより、世界中が影響を受けた年として人類史が続く限り語り継がれるでしょう。もちろん日本の音楽業界も例外では無く、ライブなどのイベントの中止により深刻なダメージを受けてしまいました。その中には、CDの特典として行われるイベントも含まれており、特典によりCDを売っていた歌手・グループにとってはまさに死活問題と言えます。

 

 しかし、全てがそうではないが、特典頼みにより構成されているCD売上を扱っているランキングは果たしてヒットチャートと言えるのか。その点をおざなりにして慣例的にそれをヒット曲の基準として伝え続けていいのか。そして、たった1週間の1位がヒット曲と言えるのか。その点を置き去りにした結果、売れている曲とヒット曲との乖離が鮮明になったと言えるのが2020年の日本の音楽業界ではないだろうか。

 

 今月4日に発表されたBillboard Japan年間ランキング2020のHot 100ではその傾向がくっきりと出ている。このコロナ禍において日本の音楽業界で急速に進んだのがストリーミング(サブスク)の普及である。

www.billboard-japan.com

 1位は明日行われるNHK紅白歌合戦への出場が追加発表されたYOASOBIの「夜に駆ける」。年間ランキングにおいて初めてCDシングルのリードナンバー以外の(CD関連のポイントがまったく無い)曲が年間1位となり、年間上位でCD売上が高い曲は15位の「D.D.」(CD売上年間3位)まで見ないと出てこない。

 「D.D.」より上位の14曲(「感電」以上)でCD売上年間100位以内に入っている曲は3位の「紅蓮華」(CD売上40位)、4位の「I LOVE…」(同58位)、9位の「炎」(同34位)の3曲のみ。それ以外の11曲中7曲はCDシングル化されていない曲となる。

 そして「感電」以上の上位14曲全てに該当するのは、ストリーミングの年間ランキングが20位以内(最低でも「炎」の18位、ただしたった8週間でここまで来ている)。ダウンロードも「イエスタデイ」の25位を除けば14曲中13曲が年間20位以内となっている。

 

 これをHot 100年間ランキングの100位以内に広げ、その100曲がCD売上、ダウンロード売上、ストリーミング回数の年間100位以内にどれだけランクインしているかを2017年度からの比較でまとめてみるとこのような結果となった。

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Billboard JAPAN Hot 100 2020 年間ランクイン比較

 この4年間でこの3要素についてはポイント換算率の大きな変更は行われていないため(あえて言えば20年に入り、ストリーミングのポイントが有料アカウント・無料ユーザーでの区分が出来たぐらい)、データの連動性について問題は無いと見られる。これを見ても分かる通り、CD売上で年間100位以内に入った曲が今年は23曲まで減ってしまっている一方、ストリーミング年間100位以内が今年は79曲にまで激増。昨年までの徐々に増えつつあるところから、今年は一気に勢力を伸ばす結果となっている。

 このブログでも以前取り上げたLINE MUSIC高橋明彦COOに対するインタビュー記事(今年2月の記事)において

「ぶっちゃけて言ってしまえば「成長が一定」なんです。ストリーミング・ミュージック、サブスクリプションサービスには力があり、諸外国で見られるように、もっとぐぐぐっと、一気に伸びていく力があるのに、そうなっていない」

 と語っていましたが、その「一気に伸びる力」が今年になって表れました。

av.watch.impress.co.jp

 またこの記事には

「LINE MUSICは元々、「LINEというソーシャルメディアを使い、友人の間で音楽をシェアしあう」姿を想像していました。しかし、この機能は想像していたようには使われず、思ったほどの効果を得られませんでした」

 とあったものの、コロナ禍の時期から日本でもTikTokによるヒット曲が誕生し、その後押しもあり、年間ランキングの勢力図を一気に入れ替える結果となり、時代はコロナ前とコロナ後で大きく動いたと言えるでしょう。

 

 

 遡って年間ランキングの話に戻り、「感電」以上の14曲を対象に週間チャートでの結果を見てみると、Hot 100で2020年度に週間1位を獲得していない曲は「紅蓮華」、「白日」、「宿命」、「マリーゴールド」、「裸の心」、「イエスタデイ」、「Make you happy」、「まちがいさがし」、「感電」の9曲(「マリーゴールド」は昨年週間1位有り)。「D.D.」も「Imitation Rain」に阻まれ週間1位を逃しているが、年間では上回る結果となっている。

 前回の「エアコミケ・特別寄稿」でも伝えているが、「たった1週間の1位」だけでヒット曲として扱ってしまう、1位だけを扱ってしまう、1位以外に価値は無いと言う概念そのものが否定されなくてはいけない。Billboard Japan Hot 100においても週間チャートにおいてはCD売上の影響力が強くオリコンと変わらない印象があるが、その1位を取った曲のそれ以降がどうなっているのか。そこまで見ないとヒット曲とは言いづらいだろう。

 

amano-yuuki.hatenablog.jp

 

 今回も2020年度のCD売上週間チャート1位、および週間10万枚以上の売上を記録した曲のHot 100での当週、および翌週の順位をまとめたので、それを参考にしてもらいたい。

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2020 CD売上1位 比較(上半期)

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2020 CD売上1位 比較(下半期)

※ 翌週黒塗りは無料ユーザーが確認出来ない部分のため非公表。Week 3のMAG!C☆PRINCE「Try Again」は全要素が100位圏外のため、一般向け有料アカウントでも確認不可

 

 当たり前だが、本当にヒット曲であれば翌週急落する事はない。極端な話、1位だけを取って翌週急落している曲は、ただの自己満足であり「何も得られていない」だろう。もし本当に「たった1週間のオリコン1位、ビルボード1位」に価値と意味があるのなら、発表以降その曲を気にする人がいてもいいはずだ。ただ現実問題、1位になっても翌週50位以下、100位以下になる曲がこれだけあるのだから、もはやCD売上だけで得た1位には意味も価値も無いと言える。ジャニーズのファンが「連続1位を継続させよう」と呼び掛けているのもただの自己満足であり、外野には響かずヒットには繋がっていない。今年の年間ランキングでは関ジャニ∞ジャニーズWEST、Hey!Say!JUMP等がジャニーズでは100位以内に進出出来なかった(上記3組はいずれもCD売上では30位以内)。しかしCD売上でこれ以下の曲やシングルCDとして売っていない曲、また週間チャートでは10位以内はおろか30位以内にすら入っていない曲が100位以内に進出している現実はしっかりと見るべきだろう。

 

 となると、もはやCD売上を中心に語る事が「時代遅れ」ではないだろうか。オリコンを伝える事自体が、世の中のミスリードに繋がっているとも言えてしまうだろう。オリコン音楽配信(ダウンロード、ストリーミング)のランキングと、それらをCD売上と合算したランキングも発表しているが、CD売上単体のランキングに比べ扱いがあまりにも小さく、合算ランキングもCD売上に偏重している点からもヒット曲を示しているとは到底言いづらい(そもそもシングルCD単位での集計と言う時点で論外)。オリコンはあくまでCD売上のランキングであり、その点は年間ランキングのページを見ても分かる。

www.oricon.co.jp

 オリコン年間ランキングの表記は「歌手別総売上、CD売上、ダウンロード売上、ストリーミング回数、合算ランキング」の順となっている。対してBillboard Japanの年間ランキング表記は「総合チャート、それに付随するチャート、ストリーミング回数、ダウンロード売上、CD売上」である。両者が何を重視しているか、これを見るだけでも明らかだろう。オリコンにとって合算ランキングは、CD売上から比べたらただのオマケ程度でしかないのかもしれない。

 

 しかしながらこれまで日本のレコード売上から市場の動向を発表してきた長年の実績が、オリコンに対する一般的なイメージを定着させている。そこに利益率の高いCD売上を重視したい音楽業界の思惑、そして一般向けに販売されていた冊子(最終的には「オリ☆スタ」)では最終的に年間の6割以上で表紙を飾り、最近ではCD売上の集計方法にすら関与しているともされているジャニーズ事務所、更には電通と言ったところも、オリコンを後押ししているとも考えられる(電通はビデオ・リサーチとニールセンとの視聴率調査時代からの因縁も関係していそうだ)。

 ただ21世紀に入り音楽ダウンロードが普及していた中、オリコンがCD売上の意味合いを維持し続け、音楽業界はCD売上の利益の代わりになる新たなビジネスモデルを構築出来ず、ヒット曲の基準すら固執した結果が、今現在の売れている曲とヒット曲との乖離に繋がっているのではないだろうか。これはオリコンの功罪であり、ただでさえダウンロード売上が特化している曲に対する評価が10年以上に渡り放置されていたものを、今度は更にストリーミングでさえCD売上より評価を下げるようであれば、オリコンが目指している「ヒットの可視化」の方向性が一般的な感覚からかけ離れていると言われかねない。オリコンが可視化しているヒットとは商業的なヒットであり、大衆的なヒットとは違うものになっている。1990年代まではこれが符号していたが、今となってはマネーゲームの勝者と敗者を示しているだけとなってしまっており、これではオリコンの存在そのものが否定されて然るべきだが、それを音楽業界とそれを後押しする勢力により食い止められているのが現状のようだ。

 

 新型コロナウイルスによるパンデミックがいつまで続くかは想像しづらいが、これが解消されて以降も、以前のようなビジネスモデルが成立するとは思えない。本来ならCD売上がヒット曲の基準として成立していたのは2000年代(ゼロ年代)前半までと言えるが、日本はそれを2020年になっても引きずってしまっている。この後れを取り戻すには時間がかかるだろう。そして抗う勢力がその発展を更に遅らせるかもしれない。ただ、新たなチャンスの芽を潰すような真似はするべきではない。それを記してこそヒットチャートではないだろうか。

【Preview】Green Hill Music Grand Prix 2020

 当ブログの年末恒例企画「Green Hill Music Grand Prix 2020」の発表が近づいてまいりました。今回はエアコミケ2との連動開催となりますため、はじめてこのGrand Prixをご覧になる方もいるかと思います。そこで今回は「Green Hill Music Grand Prix 2020」の事前特集を行っていきたいと思います。

 

 「Green Hill Music Grand Prix」は当ブログでYahoo!ブログ時代の2007年からスタートした年間表彰です。当初は毎週このブログでもお伝えしていますGreen Hill Music Chartの年間上位に加え、オリコン年間ランキング上位、更にベストヒット歌謡祭、日本有線大賞の最優秀新人賞、および大賞(グランプリ)受賞者を加えたメンバーで男女別に20組、計40組を選出する紅白歌合戦方式の表彰となります。以降、選考基準をその度に見直し、今年はGreen Hill Music Chartが大幅にリニューアルされた事もあり、今まであった「その年のうちに1曲出せば実績枠で選ばれる」と言う概念が無くなり、より年間を通じたヒットが求められる選考となりました。

 

 それでは、その選考内容をご案内いたします。

【年間チャート選出】

※ 各年間チャートはBillboard Japanのものを参考とする。また歌手毎に各要素最上位の曲を代表曲とする

※ CDシングルの表題曲、もしくはリードナンバーの場合、Hot 100の順位がCD売上ポイントの順位を上回っている事が条件。同数の場合はルックアップの順位がCD売上ポイントの順位以上が条件

 Billboard Japanのシングル総合チャートであるHot 100年間上位からの選出。ただし、CD売上でゴリ押ししている曲については除外となります。

  • Billboard Japan Single CD Look Up 上位(3組

 Billboard Japan Hot 100の要素であるダウンロード売上ストリーミング回数、およびルックアップ(CD稼働数)の年間上位から各3組ずつを選出。なおルックアップの年間チャートはCHART insightの有料会員のみが閲覧可能な部分となるため、ここでは非公表とする。

※ Hot Albumsの順位がCD売上ポイントの順位を上回っている事が条件。同数の場合はルックアップの順位がCD売上ポイントの順位以上が条件

  • Billboard Japan Album CD Look Up 上位(1組

 アルバムからはアルバム総合チャートであるHot AlbumsとアルバムCDのルックアップから選出。昨年はここにアルバムの(バンドル)ダウンロード売上が含まれていましたが、市場規模の縮小と影響力の小ささを考慮して今年から選考内容から除外し、Hot Albumsからの選出を2組に増枠した。

 

 以上、年間チャートからは15組が選出される。

 

Green Hill Music Chartからの選出】

  残り5つの枠をかけた争いは、当ブログで毎週発表しているGreen Hill Music Chartの年間ランキングから選出される。

※ 2020年シーズン中にリリースした曲が対象となる(ページでは曲名・歌手名が黄色で表示されている) 

  曲別の年間ランキングとなるSeason Hit 100から上位2組、歌手別の年間ランキングとなるArtists 50から3組が選出され、計5組が「ワイルド・カード」として選出される。

 

  こうして選出された紅白20組が一堂に会します。

 

 そして、発表はワイルド・カードから登場し、年間チャート上位、そして複数の要素で年間チャート上位に入った歌手が後に登場する形となり、選出曲が複数になる場合もあります。最後の紅白2組ずつは「四天王」。トリ、大トリは「総大将」として扱います。総大将になるにはアルバムでの結果も求められ、昨年は紅組があいみょん、白組はback numberが総大将でした。

 発表は前半・後半2日間に渡り、Twitterで両日11:00から10分おきに速報(休憩あり)、16:30にこのブログで当日発表分をまとめて発表します。

 

 果たして今年選ばれた紅白40組は? そして四天王、総大将は? 史上初の大晦日を含めた開催となる「Green Hill Music Grand Prix 2020」。CDJの中止で暇をしている方も、レコード大賞紅白歌合戦のノミネートに満足していない方も、また日頃音楽にまったく触れていない人も、今年1年の総決算。ぜひ、お楽しみいただければと思います。

エアコミケ2に向けて

 12月28日から予定されていましたコミックマーケット99は来年5月2~4日(当初発表は5日までだったが、日程が短縮されました)に延期となり、今年はコミケが行われない年末となってしまいました。

 

 しかし中止となった前回と同日程でオンライン上で行われたエアコミケが今回も2日間の日程で行われます。当“”レーベルは新刊のリリース予定は無いものの、前回同様現在コミケで刊行しております「J-POP Analyze」と「Anison Analyze +」から特別寄稿をこのブログで実施。さらに当ブログの年末恒例企画となっておりますオリジナル紅白歌合戦Green Hill Music Grand Prix 2020」を当初の日程から変更して、エアコミケ2連動企画として開催します(前回の記事は以下を参照)。

 

air.comiket.co.jp

 

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 またTwitterでは、こちらもここ数年行っております「みんなで選ぶ、日本レコード大賞」を今年はエアコミケ2中夜祭として実施。Twitterの投票機能を使用した予選グループステージと決勝トーナメントを行います。

 

予選グループステージ(20:00から15分間、3組同時進行)

  • 優秀作品賞(大賞候補)10曲を3グループに分ける
  • 大賞有力候補である瑛人、DISH//、LiSAはシード扱いとし、予選では別組とする
  • バーニング系事務所からのワイルド・カード(優先権)でノミネートされている三浦大知DA PUMPは予選では別組とする
  • 演歌・歌謡曲系である純烈、氷川きよしは予選では別組とする
  • 秋元系である乃木坂46AKB48は予選では別組とする
  • Little Glee Monsterは組分けの制限を受けない

組み合わせ抽選の結果

 

決勝トーナメント(1回戦20:20から15分間、準決勝20:45から20分間、決勝21:10から20分間)

  • 1回戦は予選各組3位と4位の4組が対戦し、1位のみが準決勝へ
  • 準決勝は1回戦を勝ち上がった1組に予選各組2位の3組が対戦し、1位のみが決勝へ
  • 決勝は準決勝を勝ち上がった1組に予選各組1位の3組が対戦する。
  • 決勝で1位の得票率が50%以下だった場合、決勝の1位と2位だけで最終決戦(15分間)を行う
  • 準決勝までで1位が同点だった場合は、予選での得票数、得票率の順で勝者を決定する

 

 現在の予定はこのような形になっていますが、「Green Hill Music Grand Prix 2020」に関しては本人都合により予定通り行えない可能性もあります。またこれにつきましては改めて事前記事を投稿する予定です。

 

 と言うことで、前回につづきステイホームでコミケをお楽しみいただければと思います。