今改めて問われる国民の安全

 日本に住んでいる限り、地震の脅威に晒されてしまうことはご存知の通りである。今朝も中国・四国地方震度5弱の地震が発生し負傷者も出ている。しかし地震も怖いが、その際に発生してしまう二次災害もまた脅威となる。地震で割れたガラスでケガをしてしまうのもそうだが、ここで触れるのは日本はおろか、世界経済にまで飛び火しそうな二次災害のお話である。

 今日の毎日新聞一面にこのような記事が載っていた。
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20060612k0000m040050000c.html

 要は原発の近くにある断層が、活動していないと言う国や関西電力の発表とは裏腹に、実は活断層で想定以上の地震が起こる可能性があると言う地質調査が発表されたのである。もちろん、原発の事故は放射能漏れにつながり、チェルノブイリスリーマイル島の二の舞となり、最悪の場合数千万人単位の被爆者が発生する可能性がある。耐震強度偽装で今国会は揺れに揺れたが、また一つ新たな火種が出来たといっていいだろう。

 しかしなぜ数十年に一度のリスクのためにダムは作るのに、原発の建設は止められないものだろうか。非常に疑問である。

 その代表的な例が、静岡県御前崎市にある浜岡原子力発電所である。近い将来起こるのではないかと思われている東海地震震源地と推測される近くにある原発で、世界の原子力技術者からは「時限爆弾」と揶揄される世界でもっとも危険な発電所と言っていい原発である。ここが何らかの拍子で事故が起ころうものなら、総人口の半数以上に影響が及ぶと推測されているが、意外にもこの話題が表向きになることが少ない。

 BSE問題も指摘されるアメリカの牛肉も、結局は受け入れる形となってしまったこの国において、リスクが問われる問題が数多くあるのはどこも同じであるが、そのリスクを隠し通そうとしている動きが見え隠れしているような気がしてならない。未然に防げるトラブルをそのままにして、結局そのツケを国民が背負ってしまうのはもってのほかである。それで世界中から見捨てられる可能性も、この国は隠し通そうとしているのだろうか…。