Green Hill Music Chart 2023を振り返る

 2023年も残すところあと半月となりましたが、今週は2023年度のGreen Hill Music Chartを振り返ってみたいと思います(ごめんなさい、Grand Prixの事前特集は来週にします)。

 

 まずは楽曲別の年間ランキングとなる2023 season hit 100をご覧ください。

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 このような結果となり、「アイドル」が711Pt.と圧倒的な数字で年度代表曲となりました。またダウンロード、ストリーミングと、今季からルックアップ(推定CD稼働数)に代わり取り入れられたMVの部門でも1位となり、現行のチャート方式に変わった2020年度以降初となる3部門完全制覇を達成。週間チャートでもリカレント・ルールが適用されまでの20週間、週間首位を走り続けその後もストリーミング、MVで高い順位をキープし3要素とも200Pt.を超える数字をマークし、日本の音楽史上前例の無い大ヒットと言える結果を残しました。

 年間ベスト10を見てみると、チャートイン15週未満の曲が3曲食い込んでいる。昨年、一昨年と見ても15週以下の曲はベスト10に入っていないが(2020年は「Dynamite」が14週で10位に入っている)、今年度は下半期の中心となった曲が年間ランキングでも健闘する結果となった。これはチャート要素がルックアップからMVに変わり、シングルCDのリリースがポイント獲得条件から無くなったところも影響していると見られる。実際「唱」、「SPECIALZ」、「勇者」はMVでもポイントを稼いでおり、その点が大きく作用したようだ。

 

 つづいては各要素別に見ていきたい。

 

 ダウンロードは年々市場規模が落ちてきており、週間チャートの水準も下落傾向にあるため、瞬発的に売れた曲が上位に入りやすい状況になりつつある。しかしながら長期的に売れ続ける曲もあるため、そう言った曲が上位に残りやすくなっているようだ。実際ポイント上位9曲が年間ベスト10に入っており、年間上位ともなると、ヒット曲との相関性が有る結果となっている。

 ただそれ以下となると、そうとも言い切れない部分が浮かび上がってくる。ダウンロード10位の「星月夜」以下、40Pt.台の「心得」、「コイコガレ」、「ホワイトノイズ」はそこまで上位には食い込んできていない。もちろん「ヒットしていない」とは言い切れないが、それだけ影響力が他の要素と比べ劣ってしまっているようだ。なおダウンロード売上の年間ランキング同様、アニメ主題歌が強い傾向がここでも見られている。

 

 つづいてストリーミング(オーディオストリーミング)だが、他の要素と比べると週間チャートの順位変動は少なく、そのため上位に入っている曲はより多くのポイントを得られる状態になっている。今年は3曲が200Pt.を超え、100Pt.以上も11曲と上位は昨年を上回るポイントとなっており、ジャニーズ勢を除けばストリーミングのポイントが高い曲で年間ランキング上位が占められている。

 ストリーミングで週間10位以内に入るための必要再生数は昨年とほぼ変わっていない。これはストリーミング市場が頭打ちした訳では無く、ユーザー数の上昇によりようやく多様化が見られるようになったようだ。ただ依然としてランキングや特定の歌手のプレイリストだけを再生するユーザーが多くいるため、順位の変動が他国と比べ少ない傾向が続いている。現状はストリーミングでのポイントが年間ランキングに与える重要性が高いが、今後順位変動が激しくなれば、ポイントの変動も多くなり、ポイントの面でも他要素との均衡化にもつながるだろう。

 

 そして今季から取り入れられたMV再生数(ビデオストリーミング)は、上位8曲が100Pt.以上を記録。役割としてはダウンロードとストリーミングの中間のような位置付けになり、またここには基本音楽配信を行っていないジャニーズ勢も入り、上位10曲中5曲がジャニーズ勢となった。

 ただ年間ランキングで見ると「怪獣の花唄」や「第ゼロ感」のように、必ずしも上位の曲が高いポイントになっているとは限らない。MVが話題となった「オトナブルー」や、シーズン終盤に思わぬ躍進を見せた「粛聖!! ロリ神レクイエム☆」のような、メインストリームとは異なるヒットも映し出しており、同じく映像を伴うTikTokでの人気も影響を受けているだろう。そしてジャニーズ勢だが、ルックアップではほとんどのグループがポイントを獲得出来ていたが、MV再生数でははっきりと明暗が分かれている。

 

 その部分を含めて、今度はアーティスト別の年間獲得ポイントランキングとなる、Artists 50を見てみたい。

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 このようになっており、YOASOBIが「アイドル」のポイントだけでOfficial髭男dismの年間ポイントを上回り1位を獲得。前年のトップ10はヒゲダンを含め、Ado、Snow Man、米津玄師、King & Princeの5組が今年度もトップ10入り。Mrs.GREEN APPLEは前年29位、Vaundyは59位から躍進。前年ノーポイントだったキタニタツヤが10位に食い込んだ。

 ルックアップの要素が廃止され、影響が懸念されたジャニーズ勢は上記2組に加えSixTONESが18位、Hey!Say!JUMPが29位に入っているが、昨年ベスト20に入っていたなにわ男子は60位まで後退し、50位以内に入っていたWEST.、KinKi KidsKis-My-Ft2、NEWS、Sexy Zoneはポイントを獲得出来ず、ランキングから姿を消している。STARTO ENTERTAINMENTに業務が移行し、今までのCD販売一辺倒から販売方式を変えて来る可能性があるが、現状MV再生数ではジャニーズの中でも得手不得手がはっきりと分かれる結果となった。

 

 果たして2024年度はどのようなシーズンになるのか。その模様は毎週、このブログで発表する予定なので今シーズンもぜひご覧ください。