存在意義を問われるCD売上の要素 ヒットチャートにCD売上は必要か?

(おもしろ同人誌バザール8において、東京・神田神保町会場で当「“天”レーベル」が購入者に差し上げたペーパーです。大阪会場で手に入れた方々へ向けて、ほぼ同じ内容で掲載します)

 

 先週発表(10月28日付)の週間チャートにおいて、CD売上1位はスターダストプロモーションの男性アイドルグループONE N' ONLY(ワンアンドオンリー)の「Category/My Love」となったが、Billboard JAPAN Hot 100ではCD売上100位圏外であるものの、週間ストリーミングチャートでは22週連続1位(当時)を記録していたOfficial髭男dism「Pretender」が登場27週目にして初の首位獲得。CD売上1位のONE N' ONLYは5位と伸び悩んだ。しかしこのチャートを元としているCDTVではONE N' ONLYが初登場1位を獲得。「Pretender」は2位となり、CD売上の扱いが明暗を分ける結果が出された。

 Billboard JAPAN Hot 100において、CD売上1位がそのままHot 100でも1位になるケースが多い(今季これが覆されたのは48週中11回)。しかし週間1位になれないものの上位に長く留まり、週間1位を獲得した曲より年間チャートではかなり上の方に入っている曲も多い。今季の場合はKing Gnu「白日」(週間最高5位)菅田将暉「まちがいさがし」(同2位)Foorin「パプリカ」(同7位)など、ストリーミングの影響が大きくなり、週間1位で一気に稼ぐより、ストリーミングでコツコツ貯める傾向が強くなったため、「実は週間1位になっていない曲の方がヒット曲ではないか」との声も聞かれそうである。

 そうなると「週間1位とは何なのか」「CD売上だけで1位になるのは時代錯誤」との意見も出てくるだろう。先週のHot 100とCDTVがまさにそれである。しかし逆の意見として「ストリーミングの比重が強すぎる」「週間チャートの結果と年間チャートの結果が食い違う」との声も出てきそうだ。

 そもそも週間1位はその時のメンバーにより難易度が異なる。今季のCD売上で見てもAKB48が162.8万枚を売った週もあれば、ジャニーズWESTがたった1.2万枚で2週連続首位になった週もある。この2つが同じ価値だろうか。当然違うだろう。またCD売上が人気と比例しない例は今回頒布した「J-POP Analyze 2019 夏コミ号」でも示した通りであり、上記ONE N' ONLYは先週のHot 100初登場5位から、今週のチャートでは一気に100位圏外まで転落している(順位は把握しているが、本当に酷い順位)。これで人気があると言えるだろうか? CD売上1位になった事で、その人気の無さがあからさまになったとも言えるだろう(アメリカでもBABYMETALのアルバムが先週初登場13位になったものの、ポイントのほとんどがCD売上だったため今週のチャートでは200位圏外に落ちている)。

 世界の音楽チャートの基準はCDからダウンロード、そしてストリーミングへと移っており、日本でも週間ストリーミングチャートの水準が、今年初め頃は10位で100万再生に達していなかった週もあったが、今週は10位で200万再生を超えている。この急速な普及にチャートが対応しきれていないとも言えるが、この流れを無視する訳にもいかないだろう。その結果が今年の、まさに平成から令和へと変わるような転換期の年間チャートとして残りそうである。そして問われるだろう。「週間1位とは何なのか?」。それは“もはや説得力の無い宣伝文句”でしか無いのではないだろうか。それでも「連続1位」を煽るオリコンは、時代遅れの象徴と言えるのではないだろうか。