日本でもストリーミングによるレコード協会からの認定が行われるのか?

 一つ前の記事で今年は日本でも更にストリーミングの影響が強まり、それによりCD売上(ルックアップも含む)、ダウンロード売上、更にはラジオ発のヒット曲の低下を指摘してきましたが、今回はストリーミングによるレコード協会からの認定が日本でも行われるかどうかと言ったところを見ていきたいと思います。

amano-yuuki.hatenablog.jp

  現在日本レコード協会による認定は、CD売上によるゴールドディスク認定と有料音楽配信による認定の2種類があります(上がCD売上、下が有料音楽配信による認定。前者は毎月10日、後者は毎月20日に発表されている)。

www.riaj.or.jp

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 現在はBillboard JAPAN、およびオリコンが集計した回数を元に数字が発表されていますが、そこに日本レコード協会による認定が加わるかどうか。有料音楽配信による認定を2006年8月から始めている日本レコード協会であれば、これも早期に着手すると思われるだけに動向が注目されるところです。

 しかしながらどのようにストリーミング再生数を勘定するのか。そしてゴールドの基準をいくつにするのか。この2点が大きな問題となりそうです。

 Billboard JAPANとオリコンの週間ストリーミングチャートを見比べると、数百万単位で数字が異なる事が分かります。これは集計元となる業者の違いだけではなく、有料・無料のユーザーの扱いにも違いがあるからです。

www.billboard-japan.com

www.oricon.co.jp

(同じ週のストリーミングチャートだが、Billboard JAPANは1位564.5万回、オリコンは374.5万回)

 両社の違いを簡単に書くと、オリコンは一般的なストリーミングサービスであるオンデマンド型に限定しており、かつ有料アカウントのみの集計となっている。一方Billboard JAPANはオンデマンド型にプレイリスト型のストリーミングサービスを加え、更に無料ユーザーについてもフォローしている(ただしプレイリスト型、および無料ユーザーの再生数は割り引かれて計上される。集計元については下図を参照)。

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2020年度集計元(2019年12月時点)

 オリコンはユーザーが能動的に選曲した回数と言え、Billboard JAPANは全体的なストリーミング数をカバーしていると言える。このどちらを取り入れるかにより、週間はもとより累計でもかなりの差が生じる結果となるが、どちらかと言えばユーザーが自ら聞きたい曲を選んでいるオリコンの集計方法が適しているように思える。

 次にゴールド認定の基準についてだが、アメリカでは2016年に全米レコード協会がアルバムに対し「1CD = 10DL = 1,500St.」の基準を打ち出し、CD売上とダウンロード売上に加える形でゴールドディスク認定を与えている(ここでのDLは単曲ダウンロードとなり、バンドルダウンロードはCDと等価値と見られる。またストリーミング数はYouTube等のMV再生数も含まれる)。日本では現状、CD売上と有料音楽配信を加算する形では認定を行っておらず、それぞれに対し認定が行われているが(加算したらそれこそオリコン合算ランキングのようになってしまう)、ストリーミングに関してもそれ単独での認定となりそうである。

 ちなみに1DL単位での基準となると以下のようになる。

全米レコード協会「1DL = 150St.」

US Billboard「1DL = 125St.」(YouTube無料ユーザーの再生数は1/3に減算)

オリコン「1DL = 120St.」

Billboard JAPAN「1DL = 約131St.」(現在の推定ポイント換算から試算)

 これに全米レコード協会のようにMV再生数を含むかどうかで数字を変える必要があるが、最低でも日本のゴールド認定には1200万再生と言う基準が見えてくるだろう。現状日本ではCDや有料音楽配信と違い、この数字は1週間で記録できる数字では無い。とは言え今後のシェア拡大により、現在早くても1ヶ月近くかかりそうなこの数字の達成が近づく可能性もあるだけに、もしストリーミングによる認定を行う場合は、それを見込んだ数字を設定する必要があるだろう。なお、ミリオン相当の名称は「ダイヤモンド」となっている。

 

 もちろん現在、すでに検討を重ねているかもしれませんが、日本でも遅ればせながら主流になりつつあるストリーミング配信に一定の価値を付けるためにも、日本レコード協会のストリーミングによる認定は必要であると思います。