2021年 上半期ランキングを改めて振り返る(1)

 今日は6月29日と言う事で、間もなく今年も半分が過ぎようとしています。依然として新型コロナウイルスへの対応に振り回されてはいますが、そんな最中2021年の上半期にヒットした曲をここで改めて振り返ってみましょう。

 

 まずはダウンロード売上から見てみましょう。

www.billboard-japan.com

 

 上半期1位となったのはLiSA「炎」。昨年10月にリリースされた曲だが、年末の大型音楽特番等でも数多く披露され、主題歌となった『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は日本の映画史上初となる興行収入400億円を記録しており、先日リリースされた映像ソフトでもDVD、Blu-ray合わせて発売初週に45万枚を超える売上を記録している。

 上半期での売上は39.7万DL。昨年度時点で58.7万DLを記録しており、上半期時点での累計売上は98.4万DL。また日本レコード協会では3月時点でミリオンに認定されている。ここまで数字を重ねていれば、遅かれ早かれ100万DLは達成されるだろう。そしてそれが、日本の音楽史上最後のダウンロードミリオンセラーとなる可能性が極めて高い。それは今季リリースされた曲のダウンロード数を見ると分かりやすいだろう。

 上半期2位のAdo「うっせぇわ」が29.4万DL、3位の優里「ドライフラワー」が26.7万DLと、今年話題になった曲のダウンロード数がこの数字となると、今後次第とは言え、ダウンロードではミリオンはおろかダブル・プラチナ(50万DL)も困難になるのではなかろうか。

 それだけ市場がストリーミングに移りつつある証拠でもあるのだが、Billboard JAPANでは3月からダウンロードのポイント換算を引き上げており、ダウンロード売上の価値を維持しようとしている。CDやストリーミングと比べ、複数枚購入、複数回再生の概念が基本的には無いだけに、数字がダイレクトに出てくるダウンロード売上の価値は保たれるべきだろう。

 

 なお、Billboard JAPAN、オリコン日本レコード協会でのダウンロード売上の違いについてはこちらでもまとめてありますので参考までに。

amano-yuuki.hatenablog.jp

 

 

 

 では続いてそのストリーミングの上半期ランキングを見てみたい。

www.billboard-japan.com

 以前も触れたようにBillboard JAPANのストリーミング数はオーディオストリーミングのみとなっており、ビデオストリーミング(MV再生数)を含むオリコンのランキングとは異なる部分があると見られるので、比べる際には留意しておきたい(集計期間も3週間異なる)。

www.oricon.co.jp

 

 上半期1位となったのは優里「ドライフラワー。この曲も昨年10月にリリースされており、11月には一気にチャート上位へと進出し、そのまま現在でもストリーミングチャートの上位をキープしている。上半期での再生数は2億7600万回、現在は累計再生回数が3億回を突破している。なお3億突破までの所要週数で見ても、現時点で歴代2位のスピード達成となっており、この曲に対する注目度の高さを示している。

www.billboard-japan.com

 

 その3億突破までの所要週数で現在歴代1位となっているBTS「Dynamite」が上半期2位。昨年の年間ストリーミングランキングで1位だったYOASOBI「夜に駆ける」が3位。この曲は現時点で2曲しか達成していない累計5億再生を記録している。4位のLiSA「炎」も先日、歴代3位のスピード記録で3億再生を記録した。

 ただひとつ気になるのが、上半期ベスト10の中で今年リリースした曲が9位のYOASOBI「怪物」しか無い点である(上位の再生回数と順位が異なるが、ポイントで順位を決定しているため、順位にズレが生じる場合がある)。ストリーミングの市場は順調に成長しているものの、利用者数が増えてもランキングの変動が活発化しておらず、それがBillboard JAPAN Hot 100やそれを基にしているCDTVオリジナルランキングの停滞を招いてしまっている。利用者数の増大による再生回数の増大に伴い、Billboard JAPANでは3月からストリーミングのポイント換算を引き下げ同時にMV再生数のポイント換算を引き上げている)優位性を下げたものの、やはりHot 100の上位に留まり続けているのはストリーミングの上位勢となっている。ストリーミングの順位変動が活発になれば停滞化している問題は解決できそうだが、日本人特有の保守的思考の影響が強いためか、解決に至っていないのが現状である。それが上半期ランキングにも関わらず、今年リリースした曲がベスト10に1曲しか入らないところからも見て取れる。これはBillboard JAPANのみならず、ストリーミングの配信業者にもリカレント・ルール(配信開始から一定期間、もしくは規定週数ランクインでランキングから除外、もしくは別途規定を設ける)などの対策が求められるところだろう。

 

 なお、Billboard JAPAN、オリコン日本レコード協会でのストリーミング回数の違いについてはこちらでもまとめてあります。

amano-yuuki.hatenablog.jp

 

 

 

 ちょっと長くなりましたので、つづきはまた後程。

 

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