2021年 上半期ランキングを改めて振り返る(3)

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  さて今回は6月28日と7月5日に発表されたCDTVオリジナルランキング」の上半期ランキングを振り返ってみたいと思います。

 

 まず「CDTVオリジナルランキング」についてですが、オリコン準拠のCDシングル1枚単位のランキングから、2017年4月以降Billboard Japan Hot 100準拠の1曲単位でのランキングに変更されており、今年3月までは土曜深夜に放送されていた「CDTVサタデー」でランキングが発表されていましたが、番組が終了(統廃合)し現在は月曜に放送されている「CDTVライブ!ライブ!」の中で発表されています(ランキングの日付は以前同様土曜日付となっている)。原則放送終了後にHP(↓リンク)で100位まで発表。放送が無い日に関しては通常の放送終了時間となる22:00前後に発表されています。

 

www.tbs.co.jp

 

  それでは、CDTVオリジナルランキングの上半期ベスト40を見てみましょう(集計期間は2021年1月2日付~6月26日付までの26週間と見られる)。

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CDTV 2021年上半期 40-21位

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CDTV 2021年上半期 ベスト20

・ 週間最高位は2021年上半期内での最高位。複数回記録はカッコ表記。

・ 週数は週間100位以内のランクイン回数。白抜きは6月26日付時点で週間100位圏外

※ 9位のDISH//「猫」は原曲と「THE FIRST TAKE ver.」を合算集計している

 

 このような結果となり、Billboard Japanとは4週間集計期間が異なるものの、優里「ドライフラワー」がBillboard Japan上半期ランキング同様に1位。2位には先日CD売上でミリオンを達成したSnow Man「Grandeur」が入り、3位にはBTS「Dynamite」が入った。一方でBillboard Japan上半期ランキングでは2位だったLiSA「炎」が、集計期間の影響から5位に後退している。

www.billboard-japan.com

 これだけを見ると集計期間と番組オリジナルの要素を加え「ああ、そうなのかな」との印象を受けるかもしれないが、なにぶん番組のランキングに対する説明が良くない。そのため、違和感を感じた視聴者も多かったのではないだろうか。

 

 まず毎週発表している「CDTVオリジナルランキング」に対する説明である。この時番組内では、「カラオケTwitter動画再生CDセールスダウンロードラジオ再生回数等を集計しランキングを作成」と説明している。それに加え番組内で上半期ランキングについて「みんなが聞いて歌った神ランキング」と表記している。

 実はこの時点でもはや矛盾してしまっている。「みんなが聞いて歌った」のであれば、曲を聞いたのか、歌ったのかの保証が無いTwitterの要素は必要無いだろう。そしてもう一つ問題があるのは、今や特典目当てで買う人が多い、聞いた保証が無いCD売上の要素は不要とまでは言わないが、そこまで重視される要素ではないだろう。しかし今のCDTVオリジナルランキングは、Billboard Japanが発表しているSoundScan Japan調べのCD売上と、オリコンのCD売上を1/2にして合算し、実質CD売上のポイント換算をBillboard Japanの1.5倍にして集計してしまっている(これによりバランス調整のためか、ダウンロードのポイント換算が、Billboard Japanの1/2に減算されている)。これは明らかに「みんなが聞いて歌った」と言う上半期ランキングのコンセプトとは異なる比重の掛け方と言えるだろう。

 そして何より、「CDTVオリジナルランキング」に対する説明の中で、最も重要に見えるストリーミング(サブスク)再生回数に対する言及が無い(「等」に含まれてしまっている)のも不信感を強めている。もう一つ欠けているルックアップ(CD稼働回数)についてはCD売上と比べ比重が低い分、説明も省けるが、ランキングを見て分かる通りほぼ上位はストリーミング上位勢で占められており(おまけを言えばポイント換算はBillboard Japanと同等)、ストリーミングをあえて説明から外す必要があっただろうか。あえて説明から省いた2つの要素は「みんなが聞いて歌った」上半期ランキングのコンセプトと合致しており、番組内での説明を鵜呑みした視聴者からすると、誤認する可能性も否定できない。

 従って「みんなが聞いて歌った神ランキング」の割に、「聞いた」「歌った」と言う根拠に欠けるTwitterが含まれ、CD売上が重視され、逆にダウンロードが軽視され、ストリーミングは説明すら省かれている、「看板に偽りのあるランキング」になってしまっているのである。「歌った」と言うカラオケの要素が週間ランキングより重視されていればいいのだが、コンセプトとは異なるランキングを作っている都合、おそらくそれはやっていないだろう。これでは違和感を感じるのは当然と言える。

 もし本当に「みんなが聞いて歌った神ランキング」にしたかったのであれば、通常の週間ランキングとは異なる比重をかけるしかなかった。ここまで書いた事を例に取れば、Twitterの要素を省き、CD売上の比重を減らし、逆にダウンロードルックアップ、そしてカラオケの比重を上げるべきだっただろう。もしくはわざわざ「みんなが聞いて歌った神ランキング」と言う触れ込みをする必要が無かったと言える。下手をすれば印象操作になりかねないだけに、わざわざそのような触れ込みを立てる必要があっただろうか。これではランキングに対する信用性が失われるもの当然だろう。

 

 ちなみに「日経エンタテインメント!」のこの記事ではBillboard Japanが発表していない部分についても掲載されており、ここも参考になる部分があるので、合わせて紹介しておきたい。

style.nikkei.com

  先ほどリンクで示したBillboard Japan上半期ランキングはベスト10までの紹介だったが、ここでは20位までの詳細な(各要素別を含めた)結果が掲載されている。CDTVオリジナルランキングでは上半期2位だったSnow Man「Grandeur」はBillboard Japan上半期ランキングでは18位乃木坂46「僕は僕を好きになる」はBillboard Japan上半期ランキングでは20位以内に入っていないこの2曲は上半期のCD売上1位と2位であり、CDTVオリジナルランキングでは明らかにCD売上が作用して順位を伸ばしている

style.nikkei.com

 更にSnow Man「Grandeur」のCD売上以外の記録を見てみると、Twitterも上半期1位となっており、先ほど触れた「聞いた」「歌った」と言う根拠に欠ける2要素両方で1位となってしまっている。CD稼働回数であるルックアップでは4位と高い順位を記録しているが、累計CD売上で大きく劣るLiSA「炎」が3位となっており、売上相応に、かつ長期的にCDが聞かれているかと言う点では疑問が残る。

 

 

 このような点から、CDTVオリジナルランキング「みんなが聞いて歌った神ランキング」とは到底呼べないものであるにも関わらず、このような触れ込みをしてCD売上を重視したランキングを発表しており、印象操作を起こしかねない状態となっている。これは2017年4月のランキングリニューアル以降からの問題であり、今に始まった事ではない。おそらくオリコンとの関係性を保つためだろうが、それがランキングの信用性を失う原因になってしまっているのであれば、当たり前だが改善が必要だろう。ただBillboard Japan Hot 100で6月からCD売上のポイントに対する係数処理(割合減算)の適用範囲が大幅に引き下げられ、CDTVオリジナルランキングでもこれが適用されている傾向が見られているため、この効果次第では今回浮き彫りになった問題が下半期以降改善される可能性もある。

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追記:7月26日の番組内で放送された7月の月間ランキングを見ると、20万枚以上のCD売上がある関ジャニ∞「ひとりにしないよ」やENHYPEN「Given-Taken」がトップ10入りを逃していた。5月の月間ランキングで上2曲と同等の売上があったジャニーズWEST「サムシング・ニュー」が月間3位だったところからも、上記「CD売上のポイントに対する係数処理」の効果が見えており、週間ではそれほど結果が変わらないかもしれないが、月間や年間単位となると、CD売上一辺倒では5月以前の曲より不利を伴うだろう

 

  いずれにせよ、日本の音楽番組では珍しいフルコーラスでの歌唱披露など、視聴率は高くないながら他局の音楽番組にも影響を与えている「CDTVライブ!ライブ!」の根幹とも言えるランキングが、ヒットチャートと呼ぶには中途半端な構造になっているのは番組のためにも良くないだろう。そして今回、不必要な触れ込みにより印象操作をされかねないランキングを発表してしまった事については猛省を促したい。25年以上に渡り音楽ランキングを中心に発表していた番組であれば、誠意ある番組とランキングづくりをしてもらいたいものだ。

Green Hill Music Chart 2021 第34節結果

2021シーズン第34節(7月12日~7月18)結果

 昨シーズンとなる2020年度から大幅に仕様変更を行ったGreen Hill Music Chartですが、今季は新たに長期に渡りチャートインしている曲に対してポイント獲得条件を付け、チャートの活性化を促進する「リカレント・ルール」を導入します。詳しいルールにつきましては下記のリンクをご覧ください。

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   また、このチャートで用いているBillboard Japanのダウンロードストリーミングルックアップの要素を含め、Billboard Japan全体の仕様解説も掲載しておりますので、併せてご覧いただければと思います。

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※ ここ最近、木曜日までにブログを更新出来ない場合が多くなっていますが、今後は統一して金曜日にブログを更新する予定とします(主に配信での金曜リリースに対応できるため)。ツイッターではなるべく水曜日までに、HPは木曜日までに更新予定ですので、早くご覧になりたい方はそちらをご覧ください。

 それでは第34節の結果です。

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2021 Round 34 Result

 BTS「Permission to Dance」が3日間の集計だった1週目からストリーミングで過去2番目の記録となる週間1996.6万再生まで伸ばし1位。ダウンロードは僅かの差で逆転されたものの、「Butter」につづき首位獲得に成功。BTSはEP盤リリースの影響もあり、今週もトップ10に3曲がチャートインし合計39Pt.を獲得している。

 前節首位を獲得した「三原色」は英詞版の「RGB」と合算集計となったが、前節からポイントを落とし2位に後退。「Butter」も一歩後退で3位。4位には「Cry Baby」がこの位置まで浮上。先週の「FNS歌謡祭 夏」と「音楽の日」で披露されており、その効果が出ているようだ。なお今週、複数要素でポイントを獲得したのはこの4曲だけとなっており、その影響で今週は26曲がポイントを獲得している。

 そのような状況もあり初登場は9曲と多め。Snow Manは「Grandeur」のミリオン達成も重なってか、今までにないルックアップ数を記録。リカレント・ルールにより「D.D.」はポイントを得られなかったが、過去にリリースした3曲が全てルックアップのトップ10内に再浮上した。「U」は先週公開されたアニメ映画「竜とそばかすの姫」主題歌。シングルCDは8月18日にリリース予定となっているが、映画公開後に勢いが付きダウンロードでBTSを逆転した。この映画からは「歌よ」も14位に初登場している。「SMILE〜晴れ渡る空のように〜」は桑田佳祐ソロとしては初の配信シングル。東京オリンピックの民放共同企画「一緒にやろう」応援ソングとなっている。

 「アイドルマスター シャイニーカラーズ」の放課後クライマックスガールズが15位。「ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」メンバーによるユニット、QU4RTZが17位。「あんさんぶるスターズ!」のCrazy:Bはダウンロードでポイントを獲得し26位。 アニメ「僕のヒーローアカデミア」主題歌の「Merry-Go-Round」が18位。バーチャルYouTuber星街すいせいの新曲が22位に入った。

 なお今週は現在年間暫定1位の「ドライフラワー」がリカレント・ルールによりチャートアウト。年間暫定6位の「夜に駆ける」、同3位の「怪物」も同じくリカレント・ルールにより週間チャートから姿を消した。これで現在、今季の週間チャート全てでチャートインしている曲は「Dynamite」のみとなった。

 

 つづいて、今週の結果を受けてのアーティストランキング上位40組はこのようになりました(ポイントの増減に伴う順位変動に対し赤文字、青文字表記)。

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Artist Ranking 21-34

 トップ10ではBTSがLiSAを上回り2位に浮上。1位YOASOBIとは250Pt.離れているため、簡単には追いつけないがどこまで迫れるか。またあいみょんが昨年のポイントを失い10位に後退。あいみょんはしばらくポイント減がつづくため、Snow Manとの差は一気に縮まる可能性があります。

 

 現在の暫定年間ランキング、およびアーティストランキングの上位50組はこちらからご覧ください。

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 以上が今週のチャートでした。

 

 

 さて来週は上位進出が予想される新譜が不在で谷間の週となりそうだ。好調を維持しているBTSの2曲に対し、「竜とそばかすの姫」主題歌「U」がどこまで迫れるか。来週のチャートもぜひご覧ください。

Green Hill Music Chart 2021 第33節結果

2021シーズン第33節(7月5日~7月11)結果

 昨シーズンとなる2020年度から大幅に仕様変更を行ったGreen Hill Music Chartですが、今季は新たに長期に渡りチャートインしている曲に対してポイント獲得条件を付け、チャートの活性化を促進する「リカレント・ルール」を導入します。詳しいルールにつきましては下記のリンクをご覧ください。

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   また、このチャートで用いているBillboard Japanのダウンロードストリーミングルックアップの要素を含め、Billboard Japan全体の仕様解説も掲載しておりますので、併せてご覧いただければと思います。

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 それでは第33節の結果です。

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2021 Round 33 Result

 YOASOBI「三原色」が3日間の集計だった1週目からストリーミングで大きく順位を伸ばし一気に首位まで浮上。先週日曜日に行われたオンラインライブの影響が強く、今週も4曲がチャートインしている。今週金曜日には英詞版となる「RGB」がリリースされ、「三原色」の売上・再生数に合算されるため、来週も上位争いは間違えないだろう。

 BTSは新曲とEP盤のリリースにより「Butter」が前節からポイントを伸ばしての2位。新曲「Permission to Dance」は3日間の集計ながら3位に初登場となった。特に後者は今週大幅にストリーミング回数を伸ばしてくる事が確実視されており、来週は「三原色」との首位争いとなるだろう。

 「夜に駆ける」はポイントを落としたものの3位と同点の4位。4週連続1位だった「Pale Blue」はレンタル解禁の効果でルックアップでは首位に立ったものの、ストリーミングではポイントを失い5位まで後退。「Cry Baby」は「THE MUSIC DAY」での披露による効果もあり今週も続伸。なお8月18日にリリースされるアルバム「Editorial」に収録される事が9日に発表された。「不思議」は土曜日にレンタルが解禁されルックアップで2位に浮上。一気に順位を戻してきた。

 今週初登場は他に5曲。今回は配信リリースとなった「Super Summer」が8位。ENHYPENの日本1stシングルは17位、前節に引き続き「THE FIRST」の課題曲が18位にチャートイン。スマホゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」収録曲が22位。優里としては初のセルフカバー曲「シャッター」が24位に入った。なお3曲が再登場となったが、「僕が僕じゃないみたいだ」はルックアップで20週目のトップ10入りとなったため、来週以降はリカレント・ルールの対象(ポイント獲得条件が5位以内)となる。

 

 つづいて、今週の結果を受けてのアーティストランキング上位40組はこのようになりました(ポイントの増減に伴う順位変動に対し赤文字青文字表記)。

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Artist Ranking 21-33

 今週は珍しくランクダウンが目立つ週となっている。まずOfficial髭男dismが8位に後退。ポイント獲得はあるものの、それ以上に昨年分のポイントが減っています。上位を見てもKing & Prince、瑛人、ジャニーズWESTSEKAI NO OWARIが後退。今週はYOASOBIが39.5Pt.、BTSが38Pt.を獲得し、この両者だけで全体の半分近いポイントを稼いだのが要因で、YOASOBIは1,000Pt.の大台が目の前。BTSは2位LiSAとの差が1Pt.まで接近しています。

 

 現在の暫定年間ランキング、およびアーティストランキングの上位50組はこちらからご覧ください。

amalabel.g3.xrea.com

 以上が今週のチャートでした。

 

 さて来週は本文でも書いた通り、今週首位を獲得したYOASOBI「三原色」とBTS「Permission to Dance」との首位争いになると見られる。BTSは「Dynamite」も再浮上しており、来週も大量得点の可能性がある。一方現在年間暫定ランキング1位の優里「ドライフラワー」がリカレント・ルールによりチャートアウトの危機となっており、こちらも気にしておきたいところだ。果たして来週のチャートの行方は? ぜひご覧ください。

音楽チャートの見方(CD売上編)

 毎週のように伝えられている音楽チャートですが、集計対象となる業者の違いによりそれぞれ異なる数字が出されており、どれをどう見ていいのかが分からないと言った事もあるかと思います。そこで今回はストリーミングダウンロードCD売上と分けてBillboard Japan、オリコン日本レコード協会それぞれの違いを解説したいと思います。ここではCD売上についてです。

 

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 レコード盤やカセットテープに代わる新たな音楽メディアとしてCDが登場したのは1980年代。以降、音楽産業の主流として流通してきたが、2000年代に入りパソコンの発達により違法なコピーCDが横行し売上が減少に転じると、その対策として楽曲のダウンロード販売が開始。2010年代に入るとストリーミング配信も本格化し、アメリカではレコード盤の売上がCD売上を再逆転する現象も見られる程、CDの売上は低下していきました。

 日本でも2000年をピークにCDの生産枚数が低下。その後、違法コピーによる売上の低下もあったものの、2000(ゼロ)年代後半に入りCDに特典を付けて販売する売り方が本格的すると、諸外国と比べCD売上の減少が鈍化。更にオリコンダウンロード売上を2018年度(アルバムは2016年11月)まで取り入れなかったためにCD売上がヒットチャートの中心に居座り続けた事も相まって特典商法がエスカレートする結果となり、結果CD売上と楽曲人気が釣り合わない事態に発展。オリコンが自滅し、Billboard Japanが台頭する要因となってしまった。

 日本ではCDプレーヤーの保有率が20%台前半まで落ち込んでいるとの調査結果もあり、また遅ればせながらストリーミング産業が本格化している事から、CD売上は今後も減少の一途を辿るものと見られている。すでに楽曲人気を示すデータとしての有用性が失われつつあるが、オリコンBillboard Japan、日本レコード協会とではそのCD売上の扱いがどうなっているのか。それぞれ見て行きましょう(ここだけはオリコンを筆頭とします)。

 

 ・オリコン

 オリコンがシングルランキングをスタートさせたのは1968年。以降日本における音楽ランキングの代名詞的存在として音楽業界に影響を与え続けてきた。基本的に「オリコンランキング」と呼ばれるのは現在でもCD売上だけのランキングとなる(オリコンチャート」は現在、正式な呼称としては用いられていない)。なおアルバムランキングは1987年10月からスタートしている。

 全国の調査協力店での売上をサンプルとして、全国の推定売上枚数を算出し発表しており(集計対象店舗での総売上ではない)、同一タイトルのカセットテープ、アナログレコードなども売上として合算している。また、手売りやイベント会場限定盤等のPOSを通さない売上データについても、オリコンによる審査次第では自己申告により集計の対象となる場合もある。なお輸入盤については週間ランキングで一括計上される(デイリーランキングには含まれない)。

 一部では週間ランキングの締め切りが日曜日17:00との噂もあるが、それは20年近く前の話(デイリーランキングが発表される前)との情報もあり、現在ではほとんどの店舗が閉店時間、または24:00まで集計対象とみられている(そもそもそれではデイリーランキングの締め切りが各日17:00じゃないとおかしい。ただオリコンもこの話を完全に否定している訳ではないので、不安なら店舗に問い合わせを)。

 2012年以降売上の対象となっていたミュージックカードについては2015年4月5日をもって集計対象から外されている。またライブチケット同梱シングルについても同年5月31日で集計対象から外されたが、2018年度から条件付きで再びこれが認められている。

 そして販促イベントにおける売上は発売前3ヶ月以内で、その時点で発売日、価格、商品内容が一般公開されているものについて有効となり、1イベントにつき「購入者数x3枚を上限」とするルール(従って必ずしもx3ではないため、3枚ずつ買えばいい訳では無い)を2016年9月から施行している(当初は「購入者数x2枚」だったが、2018年度から3枚に緩和された)。

www.oricon.co.jp

「販売施策イベントに基づく売上の集計ルールについて(訂正版)」2017年2月6日発表(pdf形式)

https://www.oricon.jp/files/2017/02/2017020604.pdf

 

 そのため、上記イベントでの売上は差し引かれて発表されるため、現在オリコンで発表されている一部作品の売上枚数は「純粋なCD売上枚数」とは到底言えないものとなっています。

 また(ミュージックカードやライブチケット同梱シングルを含む)これらの施策により、ジャニーズ事務所所属グループ(具体的に言えばKAT-TUNKis-My-Ft2が週間1位を取り逃しそうになったタイミングでその売り方に対する集計中止の発表、または翌週から突如、イベント売上に対する集計ルール変更の全体施行が行われており、ジャニーズ事務所のためのルール変更」とも疑われています。また上記イベント売上に対するpdfでは、『それまで一部の売上の影響が大きいアーティストに採用してきた厳格な基準を、全体にも適用する統一ルールといたしました』とあり、全体適用される2016年9月より前からこのルールを秘密裏に適用されていたアーティストが存在している事も明らかにされています(2014年ごろから48Gに適用されていた疑いが強い)。これもAKB48に200万枚を達成させないためにジャニーズ事務所オリコンに持ち掛けたルールとも噂されており(これにより、オリコンで最後に200万枚を達成したのがSMAP世界に一つだけの花」となっている)、48Gの人気低下を印象操作した疑いがもたれています。

 判断基準がCD売上のみだったがために、CD売上枚数に手を付ける形で歪みを正そうとしたものの、結果として一部の作品で意図的に減らされたCD売上枚数が公表され、それが一勢力の都合によるものである疑いまで持たれているのが今のオリコンの現状です。

 

 

Billboard Japan

 2008年のチャート開設時からCD売上はチャート要素として含まれており、Billboard JapanではSoundScan Japan調べのCD売上が使われている。オリコン同様、全国の調査協力店での売上をサンプルとして、全国の推定売上枚数を算出し発表しており(従って調査店舗数の大小が算出される売上枚数の大小とは関連せず、オリコンとの枚数差は集計ロジックの違いによりほぼ確実に出る)、またPOSを通すのが前提となっているため、一部会場限定盤やファンクラブ限定盤、輸入盤も集計の対象外となる(追記:これらについては以前と比べ、集計対象となっているケースが多くなっている)。

 以前は実店舗で販売されているパッケージのみが集計対象だったため、AKB48の劇場盤などが除外された売上が出されていたが、2016年2月からオンライン販売されているパッケージも集計対象となり傾向が一変。特にAKB48の総選挙シングルでは200万枚を超える数字が発表された際には戸惑いの声もあったものの、後述日本レコード協会のゴールドディスク認定との兼ね合いにより、オリコンが意図的に減算した売上枚数を発表している事が発覚する事態となった(出荷枚数に対し、オリコン発表の売上枚数ではあまりにも在庫数が多くなってしまうため)。なお以下のリンクには『複数枚購入を原因とする減算処理はしていません』とも記載されている。

www.billboard-japan.com

 これは調査対象を広げ、正確なCD売上の把握に努めたのと同時に、Billboard JapanがCD売上以外を含む複数要素を取り入れた音楽チャートであるため、特典効果を含む「調査範囲内での純粋なCD売上」を示しても他の要素でヒット曲を示す事が出来るためだと見られている。もちろん、単位が「枚」であるため、この数字にCD売上以外の要素が含まれている事はあり得ないBillboard Japanが原則、木曜日と月曜日に発表しているCD売上速報は、当たり前だがCD売上のみの数字である)。オリコンと比べ売上枚数が大幅に高く出ている場合は、オリコンが意図的に売上枚数を減らして発表している疑いが強く、逆に枚数が大幅に低く出されている場合は、SoundScan Japanの集計対象外である特殊な販路における売上が多いと見るのが正しい見方と言える(両方が相まって、結果的に同じぐらいの数字になる場合もある)。あと両社の差が5%程度であればただの集計誤差であり、集計店舗での売上云々を指摘するのは野暮だろう。

 

 

 オリコンとSoundScan Japanの差を簡単にまとめると…

そもそも集計業者が違うのだから、計上される枚数に違いが出るのは当たり前(各マスコミで内閣支持率が微妙に異なるのと同じであり、違ってはいけない理由は存在しない)

・両社とも集計対象となっている店舗での売上枚数をサンプリングし、全体の売上を推定算出している(従って、たとえ両社の集計対象店舗がまったく同じだとしても、推定売上枚数を算出する方法が異なるため枚数に差は出る集計対象店舗での総売上枚数では無く、集計対象店舗数の大小が影響している訳でも無い。ただしSoundScan Japanの方が若干高く出る傾向はある)。5%程度の差であれば集計誤差範囲であり、気にするだけ無駄。

オリコンではCDを多数買わせる施策を取っているCDについては1会計あたり上限3枚に扱われ、本来の売上から割り引かれる(上限3枚なので、1会計3枚ずつ買っても、それが3枚としてカウントされる保証は無く、中にはゼロになった例もある)。

・SoundScan Japanは一部店舗販売していないパッケージと輸入盤については集計対象外となっている(ただしこのケースは年々減りつつある)。

・当たり前だが、CD売上以外の要素が入っている訳が無い(単位が「枚」の時点で他の要素が含まれていると考える方がおかしい)

・「CD売上」と書いてあるのだから、「出荷枚数が発表されている」と考えるのもおかしい(出荷枚数は下記日本レコード協会の欄を参照)。

・「オリコンが正しい」との固定概念こそが間違え。むしろCD売上枚数の改変(減算)を公に認めているのはオリコン。減算処理を行わないと示しているのがSoundScan Japan(Billboard Japan)

・従って「オリコンが純粋なCD売上で、ビルボードはCD売上以外の要素が含まれている枚数」は完全な誤解となり、差し引かれているオリコンの数字こそ怪しまなければならない

 

 

日本レコード協会

 日本をはじめ、各国のレコード協会が一定数量の売上、もしくは出荷があった作品に贈られるのがゴールドディスク認定となる。

 日本では1989年1月21日以降にリリースされた作品を対象として、一定数量以上の出荷枚数(売上ではない)があった作品に対し同年4月以降、申請に基づきゴールドディスク認定を行っている。認定は月末〆の翌月10日発表(土・日・祝日の場合は前後する)。2003年6月までは洋楽と邦楽で基準が分かれていたが、現在は統一され以下の基準となっている。

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ゴールドディスク認定基準

※ 以降100万単位でダブル・ミリオン、トリプル・ミリオン…となる。

 

 海外ではCD売上(出荷数)に加え、ダウンロード売上ストリーミング回数を含める形でゴールドディスク認定を行っている国もあるが、日本では現在、CDの出荷枚数のみで認定が行われている。また、日本レコード協会でのデータを基に行われるのが「日本ゴールドディスク大賞」となる。

 

 なお日本レコード協会に加盟している事が条件となるため、インディーズ等、加盟していないレコード会社については対象となっていない。

 

 

 ご覧いただいた方々の参考になれば幸いです。

Green Hill Music Chart 2021 第32節結果

2021シーズン第32節(6月28日~7月4日)結果

 昨シーズンとなる2020年度から大幅に仕様変更を行ったGreen Hill Music Chartですが、今季は新たに長期に渡りチャートインしている曲に対してポイント獲得条件を付け、チャートの活性化を促進する「リカレント・ルール」を導入します。詳しいルールにつきましては下記のリンクをご覧ください。

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   また、このチャートで用いているBillboard Japanのダウンロードストリーミングルックアップの要素を含め、Billboard Japan全体の仕様解説も掲載しておりますので、併せてご覧いただければと思います。

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 それでは第32節の結果です。

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2021 Round 32 Result

 米津玄師「Pale Blue」がダウンロードとストリーミングで2Pt.ずつ失ったものの、レンタルが解禁されルックアップで1Pt.回復させ首位をキープ。これで4週連続首位となった。ただその1Pt.が無ければ逆転を許していただけに微妙な勝負だったと言える。なお登場5週目だが、早くも累計100Pt.を超えた。

 2位には「夜に駆ける」が再登場。これは英詞版となる「Into The Night」がリリースされ、Billboard Japanでは『原曲の言語違い』であるため、売上・再生数が合算されたための再登場となる。YOASOBIは今週初登場した「三原色」の英詞版「RGB」を来週16日にリリースすると発表しており、同様に合算集計される見込みだ。

 「Butter」は今週のポイントで年間暫定10位に浮上。同じくBTSの「Dynamite」は今週「炎」を上回り、年間暫定2位に浮上している。4位キープの「怪物」はルックアップが2Pt.増え、前節より獲得ポイントを伸ばしている。「BURN」はきっちりルックアップで10Pt.を確保した。

 今週の初登場は7曲と多め。「キセキ結び」は先月25日にリリースされ、初動は300位圏外だったが2週目に大きく順位を伸ばした。「DREAMY COLOR」は毎年リリースされている会員権付CDに収録されている曲。「ポリゴンウェイヴ」は9月からAmazon Prime Videoで配信が開始される「The Masked Singer」日本版テーマ曲。「Be Free」はSKY-HI(日高光啓)が主催するオーディション「THE FIRST」での課題曲。今週も月曜日に「Move On」がリリースされている。THE RAMPAGEは前作ポイントを逃していたが、今回はポイントを獲得した。

 なお「Cry Baby」が6週ぶりにトップ10復帰。一度はチャートから姿を消したが、ここに来て状態を上げてきている。

 

 つづいて、今週の結果を受けてのアーティストランキング上位40組はこのようになりました(ポイントの増減に伴う順位変動に対し赤文字青文字表記)。

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Artist Ranking 21-32

 今週はトップ10に変動無し。2位LiSAと3位BTSの差が詰まりつつあり、近々順位が入れ替わりそうです。また7位Official髭男dismと8位米津玄師は来週にも逆転する見込みとなっています。

 

 現在の暫定年間ランキング、およびアーティストランキングの上位50組はこちらからご覧ください。

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 以上が今週のチャートでした。

 

 さて来週はNiziU「Super Summer」、BTS「Permission to Dance」、ENHYPEN「Given-Taken」とK-POP勢が大挙参戦。ENHYPENは日本で初のシングルCDのリリースとなるが、現状CD売上以外の部分で不安が残るだけに苦戦する可能性もあるだろう。米津玄師を止めるのはBTSかNiziUか、それとも…。来週のチャートもぜひご覧ください。

Green Hill Music Chart 2021 第31節結果

2021シーズン第31節(6月21日~6月27日)結果

 昨シーズンとなる2020年度から大幅に仕様変更を行ったGreen Hill Music Chartですが、今季は新たに長期に渡りチャートインしている曲に対してポイント獲得条件を付け、チャートの活性化を促進する「リカレント・ルール」を導入します。詳しいルールにつきましては下記のリンクをご覧ください。

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   また、このチャートで用いているBillboard Japanのダウンロードストリーミングルックアップの要素を含め、Billboard Japan全体の仕様解説も掲載しておりますので、併せてご覧いただければと思います。

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 それでは第31節の結果です。

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2021 Round 31 Result

 米津玄師「Pale Blue」が前節からポイントを落としたものの22Pt.と高い数字をマークし3週連続首位。ただストリーミングの順位が続落しており、ルックアップで高い順位を維持出来るかが今後のポイントとなりそうだ。

 「Butter」はダウンロードで1Pt.失ったもののこちらも3週連続2位で100Pt.を突破。来週9日にリリースされるCDはアルバム扱いとなる予定で、ルックアップには関与しない見込みとなった。シングルCDがリリースされた「不思議」は3位に再登場。ダウンロードでもトップ10に復帰しポイントを重ねた。「怪物」はストリーミングとルックアップで1Pt.ずつ再浮上。「ひとりにしないよ」は星野源相手に10Pt.の確保に成功した。

 今週は他に初登場が1曲と少なめ。「Pale Blue」のカップリング曲となっていた「死神」が配信リリースされ7位にチャートイン。また「この新しい朝に」もシングルCDがリリースされ、ルックアップでポイントを獲得した。

 

 つづいて、今週の結果を受けてのアーティストランキング上位40組はこのようになりました(ポイントの増減に伴う順位変動に対し赤文字青文字表記)。

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Artist Ranking 21-31

 トップ10では先週も指摘した通り、Official髭男dismが7位に後退。これによりSixTONESが6位に浮上しています。また米津玄師があいみょんに変わり8位に浮上。ダウンロードで今週ベスト3を独占し、一気にポイントを重ねました。なお来週からNiziUのポイントが減り始めます。

 

 現在の暫定年間ランキング、およびアーティストランキングの上位50組はこちらからご覧ください。

amalabel.g3.xrea.com

 以上が今週のチャートでした。

 

 さて来週はYOASOBIが「三原色」と「夜に駆ける」の英語版となる「Into The Night」をリリース。またPerfumeも「ポリゴンウェイヴ」が好調な滑り出しを見せている。金曜リリースのため、まずはダウンロードで結果を残してきそうだ。米津玄師を止められるのは誰か。来週のチャートもぜひご覧ください。

2021年 上半期ランキングを改めて振り返る(2)

 

amano-yuuki.hatenablog.jp

  さて先ほどの続きです。ここでは上半期のアルバム、シングルランキングを見ていきます。

 

 まずはアルバムランキングです。

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 1位SixTONES「1ST」、2位YOASOBI「THE BOOK」となったが、なんとこの2つは同じ1月6日にリリースされている。同日にリリースされたアルバムが上半期で1位、2位は非常に珍しいが、この両者はまったく異なる売り方を見せている。

 まず「1ST」だが、こちらはジャニーズ事務所所属のグループとあってリリースはCDのみ。そのCD売上は57.2万枚を記録しアルバムCD売上でも上半期1位となっている。

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 Billboard JAPAN Hot AlbumsはシングルチャートのHot 100と異なり、CD売上ダウンロード売上(バンドル売上のみ)ルックアップ(CD稼働数)の3要素のみとなっている。さらにHot 100で適用されている一定数量以上のCD売上に対するポイントの割引措置(係数処理)も行われていないため、CD売上でのゴリ押しが有効となっており、上半期ランキングではCD売上上位7作がトップ10に入り込んでいる。

 しかし2位に入った「THE BOOK」はCD売上では13位。これは限定的なCD販売を行っていたためであり、実際グラフで見てみるとCDが売れている時期と売れていない時期がはっきりと分かれている(黄色がCD売上の順位を表している。途切れている部分は300位圏外)。

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 しかしそれでも上半期2位になれたのは、アルバムダウンロードが6.5万DLと非常に高い数字を出していたからである。CDの販売方法によるところもあるが、物質(CD)を伴わない形であってもこれだけの売上を記録したのは特筆すべきだろう。なおアルバムダウンロードの売上上位からは上位4作がトップ10に入っている。

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 ちなみにCD稼働数を示すルックアップだが、YOASOBIがSixTONESを上回り上半期1位となっている音楽配信が無いCD売上1位のCDで聴くしかないCDより、DL売上1位でありCD売上13位の音楽配信でも楽曲を聴けるCDの方が多く聴かれているのは、SixTONESは売上ほど聴かれていない、もしくは長期に渡り聴かれていない結果とも言えそうだ。そしてアルバムCD売上が重要なこのランキングにおいて、先日リリースされたBTSのベスト盤「BTS, THE BEST」が現時点で88.7万枚を売り上げているため、すでにSixTONESを逆転しているものと見られる。BTSは上半期ランキングでもCD売上、ダウンロード売上共にトップ10入りしている「BE」が4位に入っており、2作品が年間ベスト10入りする可能性が高くなっている。いずれにせよアルバムチャートはCD売上の影響力が強いと言う点は頭の中に入れておくべきだろう。

 

 

 つづいてシングルチャートの方も見てみたい。

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 上半期1位はストリーミングでも1位になっていた優里「ドライフラワー。2位はダウンロードで1位となっていたLiSA「炎」、3位にはBTS「Dynamite」が入った。

 各売上要素別のトップ10と見比べると、ストリーミングでは10位の平井大以外全曲が上半期ベスト10入りダウンロードでもトップ10のうち8曲が上半期ベスト10に入っているものの、CD売上のトップ10で上半期ベスト10に入ったのは7位のNiziU「Step and a step」(CD売上9位)のみとなっている。シングルチャートであるBillboard JAPAN Hot 100では一定数量以上のCD売上に対してポイントの割引措置(係数処理)が行われており、これが下半期から条件が更に厳しいものとなったため、年間ランキングでは下半期にCD売上のみが突出している楽曲については、上半期にリリースされた同様の曲と比べ順位が大きく劣るようになるだろう。またこれに先立ち、3月からはCD売上のポイント換算が引き下げられており、12月初旬(3日かな?)に発表される年間ランキングを見る際には留意しておきたい。

 そしてもう一つ注目したいのは、上半期ベスト10のうち、週間チャートで1位を取ったのは2位のLiSA「炎」、5位のAdo「うっせぇわ」、7位のNiziU「Step and a step」の3曲だけ。1位の優里「ドライフラワー」、3位のBTS「Dynamite」も週間チャート1位は無く(4位YOASOBI「夜に駆ける」は昨年週間1位はあるが、今年上半期は週間1位が無い)、9位のEve「廻廻奇譚」は最高位7位、10位のYOASOBI「群青」は最高位6位となっている。

 日本では長らくオリコンが音楽ランキングとして定着しており、そこで週間ランキング1位になる事が名を挙げる手段として定着していた。しかしこれを見てどう思うだろうか。「週間1位にならなくても、ヒット曲になれる」事を証明していないだろうか。逆に言えば、週間1位になる事に固執し、翌週以降燃え尽きたように下位へと消えていくだけの曲をヒット曲と呼べるだろうか。いい加減1週間だけの結果でヒット曲を決め付けるのを止めるべきではないだろうか。1週間の結果だけでは何も分からない。そこだけの結果を切り取って人気を偽装するのを愚かだと思わなければいけない。それは人気があるのでは無く、ただ売れただけである。売れるだけなら人気が無くても出来る。それを人気があると勘違いするのは痛々しい。これは何も日本だけではない。日本以外でもそうだ。週間チャートとは、そのように見るべきではないだろうか

 

 

 最後に参考まで、当ブログで毎週発表しているGreen Hill Music Chartの上半期ランキングを紹介しておきます(宣伝) 

amano-yuuki.hatenablog.jp

 

 下半期にはいったいどのようなヒット曲が現れるのは。そして音楽業界の動きはどうなるのか。また年間ランキングの際には触れてみたいと思います。